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転生を断ったら、日替わりでチート能力を届けられるようになった  作者: おもちさん
第2部  転生を断ったら、女神と旅をすることになった
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第8話  夢中になれる幸せ

慌ててエレナリオを飛び出したオレたち。

気をとり直して次の街『ディスティナ』に向かうことにした。

荷物を宿に置いてしまった、という心配はない。

全員が腰に小さな皮袋をくくりつけており、それが荷物の全てだと言う。

……ごめんよ、父さん貧しくて。



街道をのんびり進んでいると、とある長閑のどかな村にたどり着いた。

あちこちに牛がいるようで、しょっちゅう

「ベェーッ」と鳴き声が聞こえてくる。


村の入り口には大きな馬車が2台ほど止まっていて、人が集まっている。

どうやらそれは辻馬車らしい。



「コモゾーク行きと、ディスティナ行きがあるようだけど。乗るの?」

「それは助かる。ディスティナ行きのを予約してきてくれ」

「はーい、ちょっと行ってくるわね」



無事に人数分の予約が取れた。

出立まで時間があるから、近くで時間を潰すことにした。


村のオバちゃんから搾りたてのミルクを購入。

それを片手に、丸太のベンチに並んで座る。

視界に映るのは広大な牧草地。

この豊かな時間が、たった銀貨一枚で手に入るんだ。

お金があるって、良いな……。



「なんか平和ねぇ。本当に内戦の最中なのかしら」

「戦地から離れておるからな。もっと南に行けば別世界じゃぞ? 戦略上価値が無い村などこんなもんじゃろう」

「ふうん。救世主様が現れてくれたら、この問題も片付くのかなぁ」



おい、その単語は出すんじゃない。

ホンワカ空間でトラウマをえぐってくるとは、なんて恐ろしいヤツだ。



「みんなは知ってるの? 救世主列伝のこと」

「ほぉう、伝記物の話か。暇潰しがてら話してはくれんか?」

「マリィ、他人事だと思うなよ。いずれ『聖女列伝』が生まれるだろうからな」

「ウグッ。今それを言うでない!」

「じゃあ、まずはエレナリオ編の魔物退治についてだけど……」



レイラの話はこうだ。

どこからともなく現れた「オレ」がエレナリオを皮切りに、各地を歩き回って様々なトラブルを解決する。

途中で恋仲の女ができて連れ添うけど、何者かの陰謀で引き裂かれてしまう。

失意の中、王国軍と共に魔人王と対決する。という話らしい。

恋仲の女ねぇ……そんなヤツが居たのか。



「そして魔人王と対峙たいじした救世主。決死の覚悟からか、城に火を放ったらしいの。そして壮絶な戦いの後に相討ち、その魂は天へと昇っていった……というお話よ」

「ほぉー。そんな風に語られておるのか。興味深いとは思わんか、タクミ?」

「オレにはなんの話だか、全くピンと来やがりませんな」



やっぱり都合の悪い所は改竄かいざんされてんのな。

王国軍の砲撃で魔人王もろとも殺されかけたのに、オレが火を点けた事になってるし。



「それよりもオススメの話は『迷宮探検記』かしらね。初代国王が王都ミレイアに眠る遺跡を冒険するんだけど、これがカッコイイのよね!」

「あー、それ知ってますよぉ。良い読み物ですよねぇ。地下迷宮にもぐってってー」

「そうそう、すっごい面白いの! 群がる魔物を倒し、卑劣なワナに惑わされつつ、幾多の苦難を乗り越えたその先には……!」



拳を握って語るレイラの後ろを、パッカパッカと馬車が横切っていった。

無我夢中のレイラはそれに気がつかない。



「おい、その話待った。馬車が今出ていったぞ?」

「ウソッ、あれは私たちが乗る馬車じゃない!」



慌てて追いかけてったところ、予約席には知らんヤツらが座っていた。

御者が客を取り違えてしまったらしい。

点呼くらい徹底してくれ。


ちなみに乗車中、レイラはずっと本の話をしていた。

そこまで物語が好きならお前も書いてみたら良い。

『聖女列伝』あたりがオススメだぞ。

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