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転生を断ったら、日替わりでチート能力を届けられるようになった  作者: おもちさん
第1部  転生を断ったら、日替わりでチートスキルが届けられるようになった
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第2話  初日くらいゆっくりさせろ

 ぐぁぁ……頭いってぇ。視界がぼんやりするし、何より頭を鈍器でぶん殴られたみたいに痛ぇ……。

 しばらく痛みに耐えていると、周りのものが見え始めた。

 ここは家の中らしく天井が見えて、ボロボロの木の壁、使い込まれた家具が見えた。オレはベッドに横たわっているようで、変色した木製のベッドに寝ていた。


 どうやらここがオレの家、なんだろうか。何となく見覚えがある気がする。

 あの女神め。チートだの言う前に、もう少し良い暮らしを用意できなかったのか?

 大商人とか貴族の家の子にするとかさ。マジでつかえねーわ。


 オレはとりあえずベッドに横になった。特に動く理由もないし、腹も減ってないし。そういやメシどうすっかな、この部屋の中に食うものはあるのか?


 不安になったオレはベッドから手を伸ばして、引き出しやら戸棚を漁った。小さいパンが3つに保存用の干し肉が1つ見つかった。

 よし、これで2日は持つな。

 気持ちが軽くなったオレは本格的に寝る姿勢になった。今日は転生したばかりだからな、動くのは明日からでも遅くない。


「きゃぁーー! 助けてぇーー!」


 外から突然叫び声が聞こえた。若い女の声だ。なんか大変な目にあってるらしい。

 ……まぁ、助けになんか行かないけどね。そういうのは正義感タイプかモテたい系のヤツがやればいいんだ。


「助けてぇーー、このままじゃ魔物に、魔物にぃ!」


 ふーん、そっか。魔物に襲われてるんだ、大変だな。やっぱ転生した世界は剣と魔法の世界なんだろうな。

 魔物もゴブリンとかオークとか、ドラゴンとかいんのかな?


「あぁ、このままじゃ16歳美少女の私が、魔物に大切なものをー!」


 なんだ、まだそこに居んのかよ。つうか結構余裕あんじゃん。だんだん説明分っぽい叫び声になってるし。

 チラリと窓越しに外を眺めると、確かに若い女と数体の人型らしき何かと向かい合ってた。

 あ、やばい。今ちょっと女と目が合っちまった。

 さっさと寝てしまおう、次に目が覚めた頃には全て解決しているさ。


ーードォオンッ! 


 改めて身をベッドに沈めて寝入ろうとしたそのとき、けたたましい爆音が響き渡った。

 今にも倒れそうなマイホームは大きく揺らぎ、隙間だらけの壁はガタガタと鳴った。 

 そして珍入者によってドアは蹴破られた。

  


「助けろっつってんでしょうがぁーー!」


 

 さっきまで助けを求めてた女が、いきなり家に乗り込んできた。

 女というにはまだ幼い少女が居た。透き通るような蒼いサラサラのセミロングの髪に、大きな胸を強調するように胸元が大きく開いた服、そして妙に短いスカートをヒラつかせている。

 その女を見たオレの感想はというと……。


 寒そう。

 それか『そんな装備じゃこの大陸でやっていけねえぜ』だ。

 魔物に襲われるリスクがあんのにそんな軽装なんて有りえないだろ。

 思ったのはそれだけ。顔立ちも整っていて美少女だとは思うが、ほんとそんだけ。


「あなたねえ、普通女の子が助けを求めてたら飛びつくでしょ? アピールするチャンスでしょ!」

「なんだよそれ、知るかっての。人の二度寝を邪魔すんなよ」

「はぁー……、枯れたオッサンみたいなこと言ってる、私と歳変わんないくらいなのに」

「うっせ。つうか帰れ」

「無理、道に迷ったから」

「そうか、じゃあ出てけ」

「野宿になっちゃうからイヤ。夜は危険だから明日まで匿って」

「やだ」

「おねがい」


 何度言っても出て行かなかった。マジでここに泊まる気らしい。

 転生してからは平凡で静かな生活を送ろうと考えていたが、初日から静かではなくなってしまった。

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