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転生を断ったら、日替わりでチート能力を届けられるようになった  作者: おもちさん
第1部  転生を断ったら、日替わりでチートスキルが届けられるようになった
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第13話  セルフ・取扱説明書

「第1回 このままでいいのか? レイラさんの扱いが悪いぞ討論会! パチパチパチー!」

「なんか始まったぞ」

「第1回っていう事はそれ以降もあるんでしょうか?」

「そうね、私の心の中ではすでに第5回まで催されたわ」

「そうか、闇が深いな」

「誰のせいよ?」



あれからグレンシルに向けて旅をしている。

地図係が戻ったおかげである。

今現在はというと、朝食を食べ終わった食休み中だ。

これから昼くらいまで二度寝したい所だが、ヒロインぶった女がそれを許さない。



「あのね、私ってもう少しチヤホヤされていいと思うの! だって美少女よ? 外見もホラ、露出ばっちりよ? こんな私を見てどう思う?」

「寒そうです」

「そんな装備じゃこの大陸でやっていけねえぜ」

「あぁ、もう……そうじゃない! タクミは思春期の男子でしょ? ホラ何か別のコメントあるでしょう?」



ーーオレは、病的な太ももフェチだ。

ほどほどに肉付きをしたもっちりとした質感と、柔らかな曲線が重要なのだ。



出てくんなよ性癖この野郎!

ほんとロクな知識出さねえな魔人王は。



「そもそも私は、タクミ様とレイラの出会いを知りません。経緯を聞かせてください」

「えーとだな、オレが部屋で寝てたらドアを破壊して乗り込んできた」

「賊徒じゃないですか」

「こいつを家に送り返したら一悶着あって旅に出ざるを得なくなった、あと誘拐犯にされた」

「疫病神じゃないですか」

「それからも金が無いとボヤいたり。『でっかい目的を持とう』なんて、そそのかしてきたり」

「擁護すべき点が見当たらないのですが」

「だ、そうだが?」

「ハイスミマセン……」



先ほどまでの威勢はどこへやら、すんごい小さくなってる。

少し可哀想な気がしないでもないが、コイツは調子に乗せちゃいけないタイプだ。

とんでもない暴挙に出る前にブレーキをかけて置かなくてはいけない。



「でもさぁ、もうちょっとあるでしょ? 適正なポジションがさぁ」

「適正ったってな、役割で自然と定まるもんだろ。お前は『何をする人』になるつもりだ?」



オレがそう言うと途端にモジモジし始めた。

すっげぇ嫌な予感がするのはオレだけか?



「あのね、そんなたくさんはダメだけど……ちょっとくらいなら、エッチな事してあげても」

「要るかボケ、焼くぞ」

「出しゃばらないでください。その役目は未来の私が請け負ったものです」

「これだもんなぁー」



結局その後も建設的な意見は出てこず、議題は保留となった。

第2回が起こらない事を祈るばかりだ。

果てしなく無駄な時間だからな。


そう言えば今日はまだ女神から連絡がないな。

もしかして忘れてるのか?

地面に『痴呆女神、今日のスキル忘れてるぞ』と煽ってみたものの返事が無かった。

やっぱりオレが『魔人王』であることが原因だろうか。

女神の対立軸の存在みたいだからな、今後アイツは敵になるかもしれない。


まぁ……その時はその時だな。



________________

_________



「え、嘘でしょ?」



私は思わず声を漏らしていた。

視線の先にはタクミをフォーカスしたモニターがある。

その光景を見て愕然としてしまった。

魔人王の力の一端がハッキリと映し出されたのだ。


魔人王の復活時期を計算してタクミを地上に送り込んだのだが、アイツが魔人王だった……?

いや、そんなハズはない。

前回の転生の時には一騎打ちの果てに相打ちとなったのだ。

だから魔人王とタクミは別人物である事は間違いない。


そうなると、何かイレギュラーが起きた事になるが……。


もしかして、憑依の秘術か?

それは対象者に力や知識を与える魔法だ。

魔人どもがどの程度まで憑依を使いこなせていたか、今は知る術もない。

だがその秘術でタクミに直接干渉したとしたら、これまでの事にも納得がいく。

なぜ、スキル以上の力を持っていたか。

なぜ、人間が魔人王の技を使えたのか。



そこまで考えて、大変な事に気づいた。

対魔人王用に送り込んだ転生者が、魔人側に取り込まれてしまった。

このままではマズイ、新たに誰かを送り込まなくては。



「転生者、次の転生者を準備しなきゃ!」



一人しかいないこの空間で、私の発言に反応するものはいない。

それでも自分に言い聞かせるように、言葉は漏れ続けた。

この状況下でさらに力を分配することは痛手だが、そうも言っていられない。


私は心の中で決心をした。

転生者であり、魔人王となったタクミを殺すことを。

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