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MARS  作者: k.go
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FILE2:2 地歴

 ウロボロス到着3時間後、ようやく対策本部の敷地内についた。

 重々しい扉が開かれ、中ではアスレチックでの軍事演習中と見える軍の小隊がちらほら見えた。


 龍牙

「これがウロボロスの対策本部か…。」



 白虎の対策本部と比べると綺麗で、まだ建てられてから10年も経っていないのだろう。

 周りの建物も同様に美しく、よく整備されている。

 それを見た龍牙は、うなだれるようにため息をついた。


 龍牙

「ずいぶんとまあ形だけはご立派な建物だな。」


 不服そうにジープの窓から辺りを見回す。

 それとは対照的に、ベータチームの新入りが興味津々と言った感じで、窓に食いつくように周りを見回している。


 ベータチーム新入り

「ここは、戦争とは係わりあってなかったようですね。

 ウロボロスの中でも一番綺麗に整備されてるし、建物も新しいですし。」


 その言葉に、ジープ内の空気は重くなり、半数以上が溜息をついた。

 なぜそのような状況になっているのかわからず、新入りは首をかしげていると、一条が新入りの頭に軽く手をのせた。


 一条

「そう見えるのか桐生きりゅう

 さっきから樹齢の長い木が一本も見あたらないというのに。」


 桐生

「はい?」


 よく見てみると生えている木は皆小さく、これから木を植えるであろう穴も多く見られた。


 一条

「お前はまず土地の風景は、その土地の歴史を語っていることを知ることが必要だ。

 戦争が多い土地かどうかは、木や建物を見るんだ。

 人の作りだす地獄の業火は、全て無に帰する。

 その地にどんな歴史があろうと、な。

 その後の土地は、いくら綺麗に見せても歴史を感じることはできない。

 ようするに、まだこの土地はできて間もない赤子同然なんだよ。」


 桐生

「つまり、戦火が激しかったところということですか?」


 一条

「そういうことだ。」


 誠一

「ここらが一番新しい戦争があったところで、ほんの20年ほど前はスラム地区だった。

 俺の顔も知らねえ親に捨てられた場所でもある。

 燃え尽きたついでに、治安維持のためにこんな重々しい建物建てたってところだろ。

 同時にグランド少尉に拾われたところだ。」


 グランド

「まだ少尉じゃねえ、准尉だ。

 それに、拾ったんじゃなくて、てめえを捕虜として縛り上げたところだ。

 敷地内にはいったんだから新入りも少し黙ってろ。」


 建物の横にある車両置き場にジープを止めると、すらっとした男が待っていた。

 薄い赤髪の所からしておそらく朱雀族と白虎族のハーフといったところだろう。


 案内人

「ようこそおいでくださいました。

 ウロボロス第一特殊部隊伍長、(とどろき)総司そうじと申します。

 今回の私の役目は、まあ雑用といったところですので、わからないことがあればなんでもお聞きください。」


 グランド

「アルファ部隊隊長ジェイド・グランドだ。

 本部長殿にお会いし、今回の任務の内容をお聞きしたい。」


 総司

「かしこまりました。

 こちらへどうぞ。

 ベータ部隊隊長の岩城様もすでにお待ちです。」


 一同はジープを降りるとすぐに、総司に対策本部内に招き入れられた。

 中は白い壁に部屋が点々としている殺風景な雰囲気に加えて、まだ塗ったばかりと言わんばかりにペンキの臭いが漂っている。

 総司は、聞きもしていないのにまるでマスクを着けているかのような、微動だにしない笑顔で敷地内の説明をしていた。

 見るものすべてが珍しい桐生は、総司の説明を真剣に聞きながら辺りを見回していた。


 桐生

「こちらの本部はコンクリート造りなのですね。

 白虎は、石造りなんですよ。」


 総司

「そうですか。」


 桐生

「ウロボロスでは樹木が名産と聞きましたが、木造には…?」


 そこまでいうと、一条が桐生の口をふさいだ。


 一条

「もう敷地内なんだ。

 すこしは黙っとけ。」


 そういって、一条また列に戻った。

 しかし、総司は笑顔のまま桐生に向き直った。


 総司

「気を使わなくてもかまいませんよ。

 桐生さんの言うことはもっともなことですから。

 確かにこの土地では大変良い樹木が取れますが、いささか小競り合いが多いもので、木造にするわけにもいかないのですよ。

 なにもかも燃えてしまいますからね。」


 桐生

「なるほど。」


 そんな話を聞きながら歩いているうちに、武装した兵二人が立つ突き当りの部屋の前に着いた。


 総司

「おっと、長話が過ぎました。

 こちらで本部長がお待ちです。

 皆さま、ご自分の手帳をこの二人に見せてからお入りください。」


 皆武装兵に自分の手帳を見せて中に入ると、そこにはすでに到着した岩城と恰幅かっぷくの良い男が立っていた。


 ウロボロス本部長

「ようこそウロボロスへ。

 本部長のサウル道源どうげんです。」


 グランド

「アルファ部隊隊長ジェイド・グランドだ。」


 グランドは無愛想にサウルに向かって会釈した。

 サウルは少しむっとした感じで、グランドをにらみつけた後、皆に座るよう言った。

 皆が席に着くと、入口の武装兵二人が扉に外から鍵をかけた。

ついにコメが来た!!

こんなにうれしいことはない!

はい、今までコメント来たのは知り合いのだけだったんでさみしかったんです。

読んでいてくれる人がいるから頑張れるってやつですね。

MARSもあと2〜3話くらいでケツに火が付く展開になる予定なんで、今後とも頑張るので皆さんよろしくです。

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