FILE 2:1 上陸
ウロボロスに到着し、部隊全員が船の前に整列した。
今回の任務はアルファチームとベータチームの合同の任務で、ベータチームがMARSの主な護衛役、アルファチームは裏方に回ることになった。
誠一と龍牙はアルファチームだが、今回ベータチームに加わっての任務になる。
前回に一度龍牙は地雷原でのMARS使用時に現地で護衛したことがあったという理由で加わり、龍牙が信用出来る者として誠一がベータチームに加わった。
ベータ部隊隊長
「今回の任務はウロボロスでの任務になる。
つまり、青龍族、朱雀族、玄武族と出会うことがあるかもしれない。
近年青龍や朱雀の国とは衝突が絶えないことは皆知っての通りだ。
皆気を抜くな!
もともとやつらとの戦いは…」
ベータ部隊隊長の岩城 日景は絵に描いたような愛国主義者であり、他の国を徹底的に嫌う性格だ。
とは言っても嫌いなことに理由も特に無く、ただ流されやすい性格で自分が無い。
他のものが嫌っているから自分も嫌いなだけなのだ。
上のものには絶対服従、下のものはあごで使うただの胡麻すりバカである。
だから部隊のものにお世辞にも好かれているとはいえない。
岩城
「やつらが急に何をしかけてくるかわからない。
やられる前にやってやれ!
以上だ。」
ベータ部隊
「ハッ」
皆とりあえず返事はしたが、声にハリが無かった。
船での長旅などはどうということは無いが、岩城の長い話しは精神的に疲れるのだ。
現に今の話も30分もしょうも無い話、しかも以前に聞いたことのある話しとなれば疲れも倍増だ。
岩城
「アルファ部隊からは何もないのですか?」
一通り話し終わった後、岩城がニヤニヤしながらグランドを見た。
岩城
「まあ朱雀族といざこざがあった場合、朱雀の血族であるあなたがどちらに付くかわかりかねますがね。」
生粋の白虎族である岩城は朱雀族の血の通うグランドが同じ隊長の座にいるのが面白くない。
そうなると、どうしても悪口を言いたくなるのを我慢できないのだ。
グランドはいつものことだという顔でスッと皆の前に立った。
グランド
「皆知っての通り今回はウロボロスでのMARSの護衛任務となる。
各国の主要人物が集まるここでは些細な出来事でさえ戦争に発展しかねない、自分の行動には十分注意しろ。
自分の行動一つが戦争の引き金になると思え。
とっさの判断は自分が正しいと思うことをしろ。
俺は全力でお前達を隊長として守ってやる。
以上だ。」
アルファ部隊
「ハッ」
そういうと皆左手に右の拳を叩きつけた後、右膝と右の拳を地面につけた。
簡単に言うと敬礼である。
右拳が武力を表し、左手でそれを抑えることにより、自分で自分を抑えることを示し、膝と拳を地面につけることで、相手に対し手と足を捧げることを示す。
つまり、自我を抑えることにより冷静に判断し、手足を捧げてでもあなたに従うということを表している。
岩城
「…話しは以上だ、ウロボロスの対策本部へ向かう。
各自ジープに乗り込め。」
岩城は言葉少なめに専用車両に乗り込むとさっさと出てしまった。
白虎では、自己判断で隊長に対して敬礼する。
敬礼の人数はすなわちその隊長の信頼度を示しているのだ。
岩城は、アルファ部隊のグランドに対する信頼度が高さ、ベータ部隊の自分に対する信頼度の低さがダイレクトに伝わってくるために苛立っていた。
龍牙
「まったく、少しは皆の意見を聞こうとは思わんのかねえ、あのひとは。」
岩城が車両を一人で乗っていってしまったため、アルファ部隊とベータ部隊が3車両で向かう羽目になってしまった。
もともとの予定では1車両に5人ずつ分かれるはずが7人ずつ別れて乗ることになり、必然的にアルファとベータが混ざるジープが出てくる。
隊長の性格が部隊員に浸透しやすいが、ある理由でアルファ部隊とベータ部隊は相性がわるくない。
しかし、合同での実践はそうあるものではないのでどうなるか見当がつかない。
念のためベータ部隊と行動を共にする誠一と、龍牙、そして隊長のグランドがベータ部隊と同じジープに乗ることになった。
誠一
「まあそう言うな、自分が前で説明した時と、グラント隊長の話との違いを見なかったわけじゃないだろう?
なあ、一条。
おまえが甘いからだめになってんじゃねえのか」
誠一がぶっきらぼうに腕を組んでいる隊員を見た。
ベータ部隊には影の隊長、一条 栄一がいる。
岩城が隊長になれた理由がここにある。
一条が任を成功させ、その手柄を根こそぎ岩城が奪っているからなのだ。
当然、部隊隊員全員が抗議しようとしたが、一条がそれを制止した。
一条
「岩城は岩城、俺達は俺達だ。
任務はこなすが、あいつの命令を聞く必要は無い。
あいつをバカにするのはかまわんが、おれたちに飛び火が来るのはお門違いだ。」
グラント
「勝木、夏目、一条、そこらでやめとけ、おまえらがここで乱闘した場合、全員の頭ぶち抜いて止めるからな。
合同でやるからには馴れ合わなくていいから手を組むことだけを考えろ。」
誠一、龍牙、一条
「ハッ」
岩城
「対策本部まではどれくらいだ!」
同じ景色に見飽きた岩城は運転席の男に聞いた。
運転手
「はぁ、3時間もあれば着くかと。」
運転手がやる気の無い声で答える。
岩城は八つ当たりをするかのようにゲラゲラ笑い声を上げ、
岩城
「3時間?3時間だと?
3時間あれば白虎ではどこにでも行けるぞ!
まったく、なにが世界技術の中心国だ、車両一つの技術でさえ白虎に勝てんと言うのか?
ふははははは」
と、白虎はウロボロスより勝っていると言わんばかりの口調でふんぞり返りながら高笑いした。
しかし、運転手は起こる様子も無くさらりと、
運転手
「はぁ、こちらのジープは白虎産のものです。」
と、言って笑いをこらえるために咳払いをした。
岩城
「・・・・・」
とたんに岩城の顔が赤くなり、憤慨した様子で黙り込んでしまった。
お久しぶりです!え、誰かって?作者です…。
遅かったですね更新。
読んでる方には「もうコイツ書かないんじゃないのか?」と思った方も多いでしょう。
すいません。もうしません。ウソです。
更新しようにもなんだか忙しかったり、書けるときに思い浮かばなかったり、スランプ?的な感じですね。
さて、今回からウロボロス編ですのでFILE2:1ですね。
簡単に言えば根気が無いんです。
だから、皆さんが一話で書くことを4話で小出しにした感じですね。
小出しだからさくっと読める!ってことで勘弁してください。
FILE2:2更新は予定は未定でおねがいします。
それではいいお年を←ちょっと待て!