飛龍の日記
この話はCODEシリーズの外伝、日記系の話です。
しかし、後半のものなのでだいぶテイストが変わっていると思います。
俺の名は加羅飛龍。
高校から帰るある日、目の前にビルの屋上から軽く飛び降りてきた青年が現れた。彼は人差し指と中指を立てて力を込める。
すると、光の剣が発生した。普通の人なら驚くだろうけど、俺は驚かなかった。
「お前、力を持っているんだろう?」
彼がそう言って、光の剣を振り上げた。俺は咄嗟に鍵をポケットから取り出し、すぐに力を入れた。それは大剣になった。それで光の剣を受けた。彼は言う。
「ほう、オーバーコードか。お前はSNOWCODEの血を継ぐ者か。夢の力に打ち勝つ者なら、そこまで力はないはず。救世主は全員、大陸に行っている」
彼はすぐにある程度の距離を取った。
「お前、もしかしてカイン…鬼羽か?」
俺の言葉に彼は顔をしかめる。どうやら図星のようだ。鬼羽。彼はかつて、僕と対峙したことのある多次元の力を持つ人間である。
「俺とこないか?」
鬼羽がそう行ってきた。その目から本気のようだが、そうはいかなかった。彼らの目的は、人間の減少だ。
「答えはすでに分かっているはずだ」
そう言って、再び剣を振り上げる。彼は鼻で笑って、光の剣を構えた。
俺達が剣を交えようとしたそのとき、空から光が注ぎ、強烈な電撃が走った。俺達は剣を納めて互いに見合った。
「どうやら、位相の違う次元に移動した人間が多かったらしいな」
「壁、バランスの崩壊か。流石にお前達、上界にも問題だろう」
「ここは一時休戦といくか」
「だが、俺達でもあれには勝てんぞ」
その電撃から現れたのは、髑髏の頭の黒ローブの存在であった。大鎌を持っていたら、死神と言えるだろう。
「さて、どうする?」
俺の質問に彼は答える。
「あの神社に行くんだ」
彼は都会にある少ない自然を指差した。そこに、土が盛り上がった場所があり、次元の歪みも感じることが出来た。かなり、嫌な予感がしたが、ここは従うことにした。
神社のところに降り立つと、死神も追ってきていた。そこで、彼は鎌を振る。次元ごと、切り裂きながら刃が迫る。俺は高く跳んで避けるが、上界の使いは受け止めた。彼にはそれが荷が重すぎた。
次元の狭間に追いやられてしまった。切った次元はそのまま閉まってしまう。それは次元の修正作用であるのだろう。パラドックスが起こらぬように。流石に俺1人では、絶対に勝てないことは理解できた。
そこで、この神社の裏から別の世界への扉に飛び込むことにした。
すぐに別の世界に飛び出した。すると、追いかけてきた死神は消滅してしまった。意味が分からず、回りを見回す。そこは強烈に白いオーラが立ち込める世界で、そのため、黒いオーラのみの死神は存在できず、
消えてしまったのだろう。俺はこの世界で、追いかけてきた者と世界について探ることにした。周りはガラスの草原、空は白い淡い光が雲より注ぐ。風がそよぎ、人工物は何もなかった。とりあえず、エネルギーを感じる方向に向かうことにした。
しばらく進むとガラスの丘に出た。その下には、枯れ草の町があった。しかも、そこにいる住人は全てあの死神の姿をしていた。彼はこの世界の存在であったのだ。どうして、ここの住人が俺の世界で俺達を襲ったのか、調査することにした。一番高い建物に向かうことにした。
しかし、このまま行くとすぐにつかまってしまう。そこで、隠れながら町に行くことにした。ある家の中に侵入すると、黒いローブを1枚奪って、それを着て外に出た。これで、彼らにまぎれて建物に行ける。
町はうっそうとして覇気がなかった。まるで、民中は人目を避けるように過ごしている。死神の姿はどうもここのスタイルらしい。鎌はどうか知らないが。俺は高い建物に辿りつこうとしたそのとき、周りの町民の目が俺に集まった。そう、鎌がないことはここでは不自然なことなのだ。ここでは多勢に無勢。
すぐに鍵を取り出し剣に変化させる。しかし、鎌を持つ彼らに勝てる自信はなかった。物理攻撃だけでも…。そのとき、俺を後ろから掴む者がいた。その手は建物の中に導き、ドアに不思議な結界を張った。
「こっちだ」
死神の格好の助っ人は部屋の端にある奇妙な焼却炉を開けた。その中に入ると、そこは大きな木の上に出ていた。俺は助けた存在を見た。
その人物はフードを取ると思春期あたりの少女であった。すぐにこの場から消えるように言った。しかし、俺は首を振って拒否した。
「この民衆の誰かが俺の世界で俺を狙ったんだ」
それを聞くと不思議そうに彼女は首を傾ける。
「このべリアルの中にそちらに行く者はいないはず」
すると、どういうことだろうか。
「しかも、貴方を何故狙ったのか…」
「ベリアルって、何?」
「何って言われても…。貴方を狙ったのは、我々の苦手な本能で刈りたくなるプラスの気を持っているから。私はベリアルではないので、貴方を助けたんですが」
「じゃあ、君は?」
「ジングルという存在で、この世界の存在の4つのうちの1つ」
そこで、少々状況が見えてきた。すぐに少女は言った。
「ここは私が貴方を襲う理由を探って、それを止めさせるし、もう、貴方の世界に行かせない。早く貴方の世界に帰るべきよ」
俺にはここでは何も出来ない。それに従うことにした。もとに来た道を辿り、元の世界へ戻った。しかし、そこにはある人物が立っていた。
すぐに距離を取ると、その人物は腕を組んだ。彼は羽を生やしている。
「警戒するな、私は敵じゃない」
そこで、俺は鍵を取り出した。
「オーバーコードは効かないぞ」
そこで、彼が上界の者だと分かった。実体化しているということは、誰かが召喚したのだろう。
「何のようだ?」
「先ほど君が行ってきた場所の話を聞きたい」
あの世界は上界と関係があるようだ。
「なるほどな」
彼は俺の話をすぐに理解した。
「私は炎の紫雲。すでに気づいていると思うが、上界の者だ。あの場所は上界のパラレルワールド、暗界。破壊する為にここに召喚されたのだ」
そして、紫雲の後ろから1人の少女が現れた。
「私が召喚したの。SNOWCODEの血を受け継ぐ物、真理とでも呼んで」
彼女は未来が見え、彼らがこの世界に攻め込むことが分かり、紫雲を呼んだそうだ。紫雲の召喚方法も未来を見て分かったらしい。しかし、SNOWCODEの力に未来を見る能力というのは初めて聞く。すこし、いぶかしげに思った。それに、向こうにはこっちを攻め込むことに反対の人間もいる。破壊まですることはない。それを提案した。
「じゃあ、3人で向こうに行ってレジスタンスに加わってこちらの世界を守るのが良いと言うの?」
「あっちはあっちに任せて、2つの世界を完全に断絶する方が良い」
すると、紫雲が唸る。
「1つの世界を封印するなら、私では力不足だ。ただ、上界でそれが出来る存在を知っているが。龍に属する横臥だ」
「なら、そいつにやってもらおう」
俺達は上界に行くことになった。横臥を求めて上界に向かった。真理と俺は光の弾に入れられ、
彼女の召喚者により上界に向かうことになった。次元を超える能力があるということは、それだけ強力な力を持っているということになる。紫雲はどんな存在なのだろうか。着いた場所は巨大な雲の上であった。
そこから遠くの山の中腹の城に向かって俺達は歩いていった。中腹まで来ると、そこで全員は足を止める。そこには、巨大な鳥が止まっていた。
「ここは記憶の砂漠。よそ者の来る場所ではない」
しかし、真理は言った。
「下界を助けるために、この先に行く必要があるの」
「では、后の剣を回るんだ。この砂漠を越えるなら、命の保障はしない」
そこで、俺達は顔を見合わせて、鳥の言うように、右側にそびえる鋭い山を回ることにした。岩山は1kmくらい先にあるが、かなり大きく高さは1500mはあるだろう。しかも、異様なオーラを発していた。
紫雲は真理とともに山に向かうが、俺は行く気になれず、別行動をとることにした。山を避けて行くと、川に出くわした。俺はオーバーコードを出して剣を出した。剣を川に刺すと氷の船が現れた。それに乗って下ることにした。
川を下っている。すると、何もなく過ぎていく。そのまま、ゴール地点に行くように思えた。そこで、巨大な光が現れた。
横臥はドラゴンの姿をしていた。彼は言う。
「何をしに来た?」
俺はあの次元の世界の封印を願い出た。
「確かに、こちらにも不利が多い。良かろう。だが、条件がある」
そこで、おれは息を呑んだ。
「お前の力をもらう」
そこで、俺は少し迷ったがうなずいた。俺の体が光、SNOWCODEの血が消え去った。そして、大きな力を放つ。どうやら、空間の封鎖を始めたようだ。そこに真理たちが丁度、到着した。
横臥は力を集中させる。すると、あの黒衣の世界が閉ざされた気がした。
「これで用は済んだ。立ち去れ」
俺達は帰ることにした。
元の世界に戻ってくると、真理たちと別れ、オーバーコードを川に投げ捨てた。それはゆっくりと沈んでいった。
しばらく、平和な日々が続いていた。しかし、あの閉鎖された次元が気になってしかたなかった。この世界で彼らが何をたくらんでいたのか。自分に何の役割があったのか。味方になってくれたあの人はどうなったのか。どんなに考えても無意味であった。
次元を超える力もなく、出来てもあそこは封印されているのだから。
全てが終わったはずなのに、何故か胸騒ぎを覚えた。まるで、あの時空が破られるような。しかし、ここで俺が狙われる理由はない。
この世界の人間が狙われる理由もない。なのに、彼らは狙っている。そこで、時空の封印が無事なのか
確かめることにした。
時空の狭間を見るためには、上界の力が必要である。しかし、今はそのつてがない。そこで、上界にかつてつながっていた場所を探すことにした。
上界の存在を感じつつ、町を歩いていた。すると、ある歓楽街のビルの屋上に気付くとたたずんでいた。
空を見ると大柄の男性がペントハウスの屋上から飛び降りてきた。
「お前の望みは叶えられる」
そう言って、姿を消した。彼が消えた場所にはメモが落ちていて、そこにはある場所の住所が書いてあった。その場所を訪ねてくると、児童公園のベンチに若い女性が座っていた。
「鬼炎なら、次元の封印を完全にするわ」
「貴方も上界の者?そのものはどこに?」
「さぁ、彼は神出鬼没だから」
そして、人差し指を北に向けた。
「もしかしたら、あのビルの中かもね」
とりあえず、俺はそのビルに向かうことにした。ビルの上に来た。そこには炎の弾が浮いていた。
「鬼炎、いるんだろう?」
そこで、黒い角の生えた少年が姿を現した。
「俺を上界の者と知ってきたのか?」
「ああ、頼みがある」
「じゃあ、まず対価を払いな」
彼は混沌に属するもの。ろくなことを要求しないだろう。
「何を欲しい?」
「生命エネルギー」
「死なない程度、持っていけ」
「そっちの要求は?」
「ある次元を封印して欲しい」
そこで鬼炎は目を丸くした。
鬼炎は鼻で笑った。
「俺は時空を超えることは出来るが、時空をいじくることなんて出来ねえさ」
「まさか、カオスの下っ端か」
「うるせえな、とにかく別を当たれ」
彼はそう言い捨てて北に飛び去っていった。しかたなく、上界の者の気配のする方向を目をつぶって感じ始めた。すると、近くにそれを感じた。森の中に入ってその気配を辿ると、そこには大柄な男性が歩いていた。
大男は振り返って俺を見ると、大きな鍵を無言で渡した。それを握り締めて力を込める。すると、あの次元が脳裏に広がった。その前にドアが見える。そこで、俺はドアを閉めて目を開けた。
「次元の鍵か」
そう言って、大男にその鍵を返した。彼はそのまま消えていった。とりあえず、あの空間を封印して一安心だ。
全てが終わったところで、俺はこの上界や異界にかかわりを持たない為に、自らの力を封印した。これで面倒は起きないだろう。
全ての自分の力をなくす為に、今度は潜在能力をなくす上界の者を探しに行くことにした。だが、どうしていいのか分からず、側にあった祠に向かうことにした。
そこには、待っていたかのように大男が立っていた。
大男は俺の方に手をかざすと、俺の中から徐々に力が消えていく感覚が
染み込んできた。そして、全ての能力が消えたと思われた瞬間、その大男は姿を消した。それが何を意味しているのか分からなかった。
あれから力を失った俺は普通の生活に戻ることになった。あの大男は一体誰だったのか。今では知ることが出来ない。あるとき、俺は夢を見た。あの封印した世界に俺は魂だけ漂っていた。そこは俺達の世界にいるある一族を憎んでいた。それまでの経緯が早送りのように再現された。
それは、別世界の人間を宝石のような形にして、それをエネルギー源としていたからだ。彼らとその次元の人間は、次元間交流をしていたらしい。その次元を滅ぼされた状況で、彼らはその一族への復讐を誓ったのだ。
封印を一生懸命解こうと、高い塔に黒いローブの老人達が集まって何かをしていた。その儀式は次元をあけるものらしい。そこで夢は覚めてしまった。夢が現実のことかどうかは不明だ。
その後、何も特に変ったことは起らなかった。遠くで1つの村が消滅したという噂がやけに気になったくらいだ。そのことを調べる為に新聞社に向かった。そこで、ある人物に会うことが出来た。
新聞社から現れたのは大男であった。
そう、裏社会で有名な『ジン』と呼ばれている者であった。彼は俺を見るなり、すぐによってきた。彼のその威圧に俺は後ずさりせずにはおれなかった。
「これ以上、かかわるな」
そう言って彼は去っていった。あの威圧は只者ではないと感じられたが、それでも敵には思えなかったのが幸いだった。
これ以上、上界や様々なことに関わるのは危険な気がしたので、数日間近づいていない。これからも関係することはないだろう。
完
今までの登場人物や出てくるものが他の作品と連動していることがファンなら分かると思います。