素直じゃないあたしの気持ちくらい察せ
「藍ー!」
「何?」
「好き!!」
「うん知ってる」
むー、と頬をふくらませるコイツを横目に
騒ぐ心臓を必死に抑える。
あたしが好きとか、面と向かって言えないタイプなのは
コイツもよく知ってるはず。
なのに。
「藍は?」
なんて聞いてくるのは意地が悪い。
「なーあー!!
俺のことどう思ってるん!」
身長はでかいくせに、子供かよ。
「教えて?」
ほら、またそうやって。
そんな可愛い目であたしを見るな。
別の時は男らしい目であたしを見るくせに。
「………好きやけど」
答えてしまうあたしもあたしか。
「大好き」
そう言って、唇は奪われる。
…このたらしめ、
これで何人の女を虜にしてきたんだ。
少し目を開ける、視線がぶつかる。
咄嗟に目を瞑る。
また心臓が煩くなる。
終わったら一発殴ることにして、
今はコイツに身を委ねていよう。
なんか、安心するし。