その4.さくら、さくら、たまにチューリップ
一回書き直しにした方がいいか、迷いならがも一応投稿させてください。
まだ乙女ゲームまでたどりついてないんですよう・・・。
はっきり言ってコネ入学の私は、お姉さま方につきっきりで家庭教師していただき、なんとか学業レベルが外へ出しても恥ずかしくないレベルまで行った頃、高校の入学式を迎えました。
もう、お姉さま方には、頭があがりません。
本当に間に合ってよかった!
入学した途端に、学業不振で、留年確定とかでは洒落になりませんからね。
ええ、それくらい、できかなったんですよ、私。
簡単に言うと、学校へ行かせてもらえなかった時期も長かったですし、学校に行くようになってからも勉強をするのは学校でだけで帰って来たら、働かなくてはならなかったので勉強というものを殆どしていなかったというのが、正解でしょうか。
学生として、少し自信を持てるところまで来れたことは、純粋に嬉しいです。
さて、白銀学院の制服に身を包み、入学式へ行くこととなりました。
うふふ、制服がね、可愛いのです!
オフホワイトなワンピースなんです。冬はウール地でセーラーカラーには、金と銀のラインが走ります。胸元には、淡いピンクの桜色のリボン。これは学年を追うごとに濃くなり。三年生になると、濃いピンクのバラのようなリボンとなります。
近隣では、「鉄壁の乙女」と称されるミニスカの制服全盛の現代において、ひざ下10センチのスカートを守り続ける正統派お嬢様な制服なのです。
鏡の前でくるりと回り、おかしいところがないか、確認してみました。
いざ、出陣ですっ!
「おはようございます、緑子お姉さま」
「ああ、おはよう、佐保。いつも早いな」
食堂で、お味噌汁をあたため、みんなの朝ごはんを用意します。朝は通いの家政婦さんが用意してくれるので、私はあたためたり、よそったりするだけなのです。
卵焼きは、ほんのりあまくて、朝の体に染み込みます。焼き鮭でごはんを食べていると、他のメンバーも集まってきました。
「「おっはよー、佐保ちゃん!」」
「おはようございます、さよちゃん、きよちゃん」
双子の小夜ちゃんと希世ちゃんは、同級生です。やはり前世の侍女仲間で、とても仲が良かったのでまた一緒に居ることができて嬉しかったんですよ。
元気な二人が一緒にいてくれると、なんだか笑顔になってしまうんです。
今日の入学式も一緒に出ます。
クラスも一緒だといいんだけどなー。
「おはよー、佐保。白河は?」
「おはようございます、紫穂姉さま。白河のお姉さまは、入学式の準備だそうで、もうお出になりましたわ」
「まっじめだなぁ、アイツ」
2歳上の紫穂様は、侍女でも、主さまの御側に控える女武者でしたので、たまに声をかけていただくだけでしたが、とても気さくな優しい方です。スラリとした長身で、お仕事中には、キビキビとした身のこなしをなさるカッコイイ紫穂様は、一部にはファンクラブもあったそうです。
ちなみに、現世でも他校の女子がファンクラブを作っているそうです。
・・・紫穂さま、お変わりなくて何よりです。
☆彡 ☆彡 ☆彡 ☆彡 ☆彡
一応、敷地内に椿寮はあるのですが、学院までちゃんと歩くと30分かかります。
更に校舎へたどり着くのに、10分とかかかって、一言で言えば「遠い」です。
とにかく敷地が広いのです。
学校が3つ固まって存在するのだから、仕方がないのですが、何も学院の端っこに寮を作らなくてもいいではないですか。
と、文句を呟きながら、高等部を目指して歩きます。
今日は入学式なので、外の掲示板でクラスを確認したら講堂で入学式に参加し、そのあとに各クラスへ別れる手はずなのです。
正門の近くには、桜並木があって満開の桜の中を歩くことができました。
「わあ、桜のトンネルなんだー」
「ほら、上ばかり見ていると、つまづくよ」
花ざかりの薄紅色のトンネルは、いくら見ても見飽きなくて、ずっと上を見ながら歩いていたら、緑子姉さまに、苦笑いでたしなめられてしまいました。
花逍遥をこんな風にできるとは思いませんでした。
ちょっと得をした気分です。
「花逍遥なら、みんなで休みの日にでかければいいだろう」
「まあっ、それは素敵ですねっ!」
主様もお誘いして、みんなでお弁当を持って花逍遥に出かけたいですね。なんだか夢のようです!
どうせなら他の花もみたいね、どこへ行こうか、と話しながら歩く通学路は思いのほか楽しくて、気がついたら高等部の講堂前に来ていました。
やはり桜の木に囲まれた講堂近くには、長机が出され、新入生の受付をしていました。
その受付係の中には、白河のお姉さまの姿が。
「白河のお姉さま! お疲れ様です!」
「まあ、佐保ったら、桜だらけよ。一体どこを歩いてきたの?」
お姉さまが、笑いながら桜の花びらを払ってくれました。普通に歩いていたつもりなんですが、どうしてでしょうね。
「さ、このコサージュをつけて緑子と一緒にあちらの扉から入りなさいな。」
「はい、ありがとうございます!」
可愛らしいピンク色のバラのコサージュです。
なんでしょう、花びら一枚ずつがとても繊細な作りで、中心にはキラキラ光るビーズがつけられています。式が終わった後も使いたい位にとても可愛らしいものでした。部屋に戻ったら大切にとっておくことにしましょう。
緑子お姉さまと一緒に講堂の扉を開けて中に入ると、そこは講堂の舞台袖にあたる場所でした。
なぜ、この場所なのかは解りませんでしたが、何かお手伝いすることがあるのであれば、お手伝い致しますわ!
やがて、入学式が始まりました。
寮の仲間も、舞台袖に集まってきたので、緊張もゆるんできました。
やはり、みんなと一緒にいるのって、安心できます。
入学式に雰囲気にのまれて、この時かなり油断をしていました・・・。
ええ、あの時の自分に言ってやりたいです。
主さまの用意した学院が普通であるわけがないのです。
もっと早くそれに気がつくべきでした・・・。
その後、何故か壇上に呼び出された私たちは、眼下に広がる真っ黒な集団を見ました。
真っ黒制服、それは男子の冬服である詰襟・・・。じょ、女子はどこです?
見回しましたが、壇上の私たち以外は、白い女子の制服を探す事ができませんでした。
そうです、ここは、私たち以外、すべてが男子生徒だったのです。
「ね、選び甲斐があるでしょおー?」
と、脳天気な主さまの声が頭の中で響きます。
そんな事言っている場合ですかーーーっ!!
攻略対象さえも、自分で選べってか。。。酷いな主さま。
腹黒メガネだけは、外せない…メガネだけでも、出したい…(笑