第6話「後悔」
お読みいただきありがとうございます!
今回は第6章最終話です!
いや~…これまで長かったですね。あと数十話で「P-X」が終わってしまうと思うとどこかもの悲しい感じがします。これまで付き合ってくださった方々にも感謝の言葉を改めて述べたいと思います。
それでは第6章最終話どうぞお読みください!
長とサタンに向かって歩を進めるダークの背に言葉が投げかけられる。
「…死ねるか…貴様を殺すまで…私は…死なない!!」
その声はダークがとどめを刺したはずのエースの声だった。
ダークに向かって凄まじい殺気が放たれ、ダークが瞬時に振り返る。
「アレクサンドルの仇も私はとらなくてはならないんだ。私はまだ…戦える!!」
エースの体は傷ひとつなく、時を戻して肉体を数分前の状態に戻したことが窺い知れた。
エースが聖槍を取り出して既に弱り切ったダークの体に連檄を放つ。
ダークは双槍を駆使してエースの剣戟を防いでいたが幾度となくダークの肉体に傷が増えてゆく。
「…てめぇ、『肉体超化』を使っているのか!?」
エースは黙したままダークを睨み、剣戟の速度をさらに速める。ダークの脇腹と頬に聖槍がかすり、そこから血が流れる。ダークはエースの剣戟を防ぎながら言葉を発する。
「命をかけてまでこの俺を殺したいというのか…!!」
ダークは聖槍を手放し、巨大な鋏を取り出してエースの聖槍を受け止める。
武器を交え、間にそれを置いているにも関わらず、エースの瞳は真っ直ぐにダークを睨んでいた。その瞳には怒りや恨みといった、多くの負の感情が込められているようだった。
「ぐっ……ガハッ……!!」
エースが口から血を吐き出す。『肉体超化』の影響によって体が内側から蝕まれていくのをエースは感じた。
これ以上『肉体超化』を続ければ、肉体は限界に達し、死に至ることは分かっていた。…だが、ダークを殺すことができるのならばそれでもいいと思えた。
「ついにガタがきたか。『肉体超化』によって回復効果のある能力は使えない事も知っているだろう?死んだ後に跡形もなく吹き飛ばしてやるよ。」
ダークはそう言うと一旦飛び退いて先程よりも大きな矢を作り出す。その数は既に数えることができない程多く、それら全てが体を穿てばどんな治癒能力があろうと再生ができなくなることは容易に考えることができた。
「…待っていたぞ。」
エースはぽつりとそう呟き下を向いていた顔を上に向け、ダークを真っ直ぐ睨みつける。口元からは未だに血液がとめどなく溢れていたが、エースの表情は平然としていた。
ダークはエースの言葉を無視し、自分の周りに漂わせた矢を弓に全て番えて放つ。
放たれた矢は真っ直ぐに飛ぶようなことはせず、軌道を何度もそらしながら最終的にエースを囲む形になるとエース目掛けて一直線に飛んできた。
『―――――…………!!!!!』
白く輝く矢は紅く血に染まり、エースの体に突き刺さっているはずだった。エースの体は傷ひとつ無く、右腕と左腕には白く輝く矢が握られていた。
「ライト…ジョーカー…お前達の分も全てダークに叩き込む!!」
エースはライトとジョーカーの能力を発動し、矢から集めたエネルギーを全て光球と黒い球に変換する。
右腕にためた巨大な光球と、左腕にためた巨大な黒い球をダークに向かって放つ。
「ダーク!!死ねぇぇぇぇぇぇぇ!!!!」
2つの球からは2つのレーザーのような黒と白の光の光線が発射され、その2つは交差し合い、回転し、最後には一体となってダークの体を撃った。エースの両腕は既に限界を超え、何度も骨が粉砕する音が体の中で鳴り響いた。激痛が走り、腕の血管が破裂し、喉の奥からも血液がせり上がって来る。耐え切れずに吐き出した血液は地面に散り、それが水たまりのように広がってゆく。そんな状況でもエースはダークを見る視線を変えることはしなかった。自分の仲間を傷つけ、殺した一生憎むべきと思っていた敵。それを葬ることが自分でできたことに喜びを感じると共に後悔の念をエースに抱かせた。自分がダークを憎むことをしなければ救うことができた命もあったのではないかと…。光球と黒い球が小さくなり、2本の光線も細くなってゆく。それはエースの命が尽き果てるかのように消え、2つの球が消えると同時にエースの体は地面に伏した。血でできた水たまりに体が浸かり、頬をつたう涙が水たまりの中へ落ちていった。
(…仇はとれても…何でこんなに悲しいんだろう…?)
エースは心の中でそう思い、最後にこれまでの人生が走馬灯のようによぎった。死ぬ時まで私と仲間を助けようとしてくれたアレクサンドル…。心の安らぎの場をくれた炎と水…。共にいる時間は少なかったが、いつも自分のことを気にかけていてくれたライト…。日本の国の者達…。悪魔とジョーカー…。昔の仲間達…。
全ての者と共に過ごした時間が思い返され、もっとできた事はなかったのかと悔やむ思いが残った。
「……エディ…ク………」
自分を常に一番近くで支えてくれたエディクに…今一番会いたいと思えた。だが体中に残る痛みは引くことをせずにどんどん大きくなってゆく。エースはゆっくりと瞳を閉じ、小さい頃にエディクと遊んだことを思い出していた。またどこかで再会できることを願って…。
お読みいただきありがとうございました!
今回はできるだけ表現を細かく書いてみました。多少グロくなってしまいましたが、感情を多く入れることができました。
次章もポンポンと進みたいところなのですが、中学校生活で最後のテスト期間に入ってしまいました。すいませんが今週いっぱいと来週あたりまで休載します。
次回は少し遅くなりますが、次回もまたお読みください!
真叉風巳




