第6話
時計の針が進むのがこの日はやたらと早かった。童話とか小説とかそういった想像の世界にのみ存在すると誰もが思う存在。それがいま存在すると急に言われて怖くて怖くてしょうがない。そこにあるのは恐怖。この学校内で友人になったばかりの3人の秘密。恐怖故に足がすくみ、ドアの前であけてよい物なのか悩んでいた。そのとき”いらっしゃい”という声と同時にドアがあいた。結衣は大声で叫ぼうとした瞬間口を押さえられ部屋に突っ込まれた。
「叫ぶなよ...」
いつもは黒髪のリオが銀髪になりそして耳としっぽがついていたのだ。なんだか顔つきも少し変わっていて驚いたのだ。そして部屋の中を見ると茶髪の紫斗が金髪に白髪だった杏夜が漆黒の髪になっていた。
「み、皆..?コスプレとか...だったりは....?」
「コスプレ?そんなわけねーじゃん。おい。なんだよその疑わしい目は。証明してやろうか?」
「証明....?」
「あぁ。一回だけだ。」
すると紫斗は静かなこの夜空にむかって吠えた。
「いやっ!!!」
結衣は驚いて床に座り込んでしまった。
「座り込むほど驚いたのか?わるかったな。」
そういって紫斗は手を差し伸べ結衣をソファーに連れて行き座らせた。
「紫斗...。やりすぎだよ?ばれたらどうするんだ。」
「でも秘密教えるって約束しちゃったのは杏夜じゃねーか。」
「それはそうだが....」
「おいおいすぎた事はどうでも良いだろ。ところで杏夜、の・ん・じゃ・え☆」
「リオ!!!何言い出すんだ!?!?そんな事はしないよ!!.......。」
杏夜は黙り込んだ。
「結衣さぁ、気をつけろよ?俺らもだけどこいつ危険だから。吸血鬼って名前通り血を求めるからな。血のにおいを嗅いだら理性を失いかけるから。」
「においを嗅いだら理性を失いかける....。そんな....。まさか.....。」
結衣にはその事実は少し刺激が強かったようで気を失ってしまった。そしてその後杏夜が結衣を部屋まで運んだ。そのときの杏夜の顔はなんだか哀しそうな顔をしていた。