第2話
翌日結衣は長くつややかな髪をバッサリと切り男として帝騎高等学校に入学する事を決意した。学校につくと理事長室に案内された。
「理事長、おひさしぶりですわ。」
「あぁ久しぶりだね。この子が君のおじょ....息子さんだね?素敵な子だ。」
「まぁ!ふふふ。」母親はたいそう満足そうな顔をし結衣に挨拶するように促した。
「初めまして。赤城結衣です。今日からお世話になります。」
「ははは。堅苦しいのはやめにしよう。私は君の叔父だ。なにかあったらすぐに私をたよりなさい。」
「ありがとうございます。」
「それじゃ赤城君はクラスに行きたまえ。早くこの学校になじまないとな。君は1年2組だよ。」
「わかりました。」
人見知りである結衣にとって面識の無い人物と話すのはとても緊張した。叔父である理事長とはいままで一度もあった事が無かったのだ。
理事長の部屋を出た結衣は1年2組の教室を探した。帝騎高等学校といえばその敷地の広さと建物の豪華さは有名である。そんな広い校舎の中で結衣は男子生徒をかき分けながらようやく教室を発見し、その扉を開けた。そこには、当然男子only。どうせ男子だけなんてむさ苦しいだけで嫌だなと思っていた結衣は扉を開けて驚いた。なぜならそこには美少年ばかりだったのだ。
(そういえば中学のとき女史達がこの学校うわさしてたなぁ。たしかイケメンしか入学できないらしいね。そうかだから2クラスしかないのか。あそうか。)
ととびらを開け一人頭の中で納得していた。はっと我に返ると教室内の男子達の視線がすべて結衣に注がれていた。女子だったら喜ぶべき状況。だがしかし結衣は男としてこの高校で過ごすとして決意したのだ。男子生徒達がひそひそとささやいている中結衣はあいさつをした。
「は、はじめまして。俺は赤城結衣。よろしくおねがいします! 」
深々と頭を下げる結衣に対し
「見た目だけじゃなくお前声まで女みてぇだな。」
「まーいいでしょ。この男しかいない学校に女みたいな存在も必要でしょ。」
「でも俺らもあいつと同レベルって事だろ?納得できねーな」
クラス内の男子は口々に言いまくっている。そんな状況をただ黙って見ているしか無い結衣はどうして良いかわからず困っていた。そんなとき担任らしき人物が教室に入ってきた。
「なにやってんだお前ら!?さっさと席付け!!!!HRはじめるぞ!!!!」
結衣の出席番号は1番。つまり一番前の席だ。結衣が教室内に入り席に着くと後ろから視線が結衣二突き刺さる。そんな中あっという間に時間は過ぎHRも終わりにさしかかり寮の部屋割りが配られるところだった。結衣は理事長の配慮があってか一番奥の方の部屋で一人部屋だった。
HRが終わり結衣は自分の部屋に向かおうとしていたとき3人組の生徒に話しかけられた。
「君、赤城君だよね?」
「そうですけど。」
「君の部屋言っていい?」
「は?」
「友達になりたいんだよ。」
「はぁ」
「いいよなぁ?」
「だめなのか?」
「おい赤城?」
「おいってばーーーーー!!」
「はぁ。別に良いですけど。」
(あーあ。地味に過ごしたかったのになぁ。まぁ良いか3人くらい。)
そして結衣はその3人を自分の部屋に招待した。
これが結衣の運命を左右する出会いだとも知らずに。