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09 AIミス連発後のフォロー、メタンガスの有効活用

※Geminiに書いてもらいました。




脳内のAIが、一瞬の静寂ののち、私の思考回路に無機質な、

しかしどこか「困惑」を孕んだシグナルを返してきた。


『……照合中。前世の記憶における「炭素税」および「カーボンクレジット」の

社会的背景を再検証します。

……なるほど。

貴方が懸念するのは、エネルギー消費の制限による階級固定化、

および実体のない数値による市場支配ですね。

了解しました。

私の提案した「炭素本位制」の定義を、現在の状況に合わせて修正します』




私は心の中で溜息をつき、震える手でペンを握る受付嬢に視線を戻した。


「……修正だ。先ほどの言葉は忘れてくれ」


私はホログラムを操作し、複雑な数式を消去して、

シンプルに「一枚の硬貨」と「一片のグラフェン」を天秤にかけた図を表示した。


「私が提案するのは、欺瞞に満ちた排出権取引ではない。**『物質的価値の裏付け』**だ」


私は荷車から、小指の先ほどの黒い結晶を取り出した。


「ギルド長を呼んでくれ。

この街の金貨、そのすべてにグラフェンの薄膜をコーティングする工程ラミネートを提案する。

これにより、金貨は物理的に破壊不能となり、偽造は不可能。

そして、その金貨自体が『超伝導触媒』としての実用価値を持つことになる。

通貨がただの紙切れや金属片ではなく、それ自体が最強の魔導素材であるというシステムだ」


「破壊不能な……硬貨?」 受付嬢の横から、地鳴りのような声が響いた。


奥の扉から現れたのは、熊のような体躯をした男――この街のギルド長、ガザルだった。

彼は私の差し出した黒い結晶を凝視し、その異常な密度に顔を強張らせている。


「グラフェンマン……。お前の言うことは、いつも冒険者の理解を超えている。

だが、このゴブリン共の変わりようはどうだ。

略奪者の眼が、工場の職人の眼に変わっていやがる」


ガザルは私の背後に控える(武装を解除し、清潔な作業着を着た)ゴブリンの代表を一瞥した。


「殺すよりも生かして働かせる方が、街にパンが行き渡る。それがお前の論理か?」


「効率の問題です、ガザル殿。

飢えは計算ミスから生まれる。私はそのエラーを修正したいだけだ」


AIが視界の端でログを更新する。

『予測:ギルド長ガザルの承諾確率は89%。

ただし、既存の貴族階級および商権勢力との衝突確率は92%に上昇。

……次のフェーズ「エネルギーの民主化」への移行を推奨します』


待て、AI。

私は内心でAIに釘を刺した。


『了解。物理的充足による支配……いえ、支援ですね。マスター』


「金貨のコーティングは撤回だ。

工程が冗長すぎるし、既存の通貨を物理的に加工するのは法的な摩擦が大きすぎる。

もっと合理的で、市民が『腹の底から』理解できる価値を提示するぞ」


私は脳内のAIに命令を上書きした。


『了解。リソースの最適化を行います。

ターゲットを「通貨の信頼性」から「エネルギーの独占供給」へ変更。

ゴブリン集落で生成されたメタンガスの有効活用シークエンスを開始します』


私はカウンターに広げていた複雑な数式入りの計画書を、無造作に丸めて捨てた。


呆気にとられるギルド長と受付嬢の前で、

私は荷車から「一本の奇妙な真鍮の筒」と「革製の袋」を取り出した。


「ギルド長、この街の冬は厳しいな?

薪の価格が高騰し、貧民街では毎年凍死者が出ていると聞く」


「……ああ、それがこの街の『日常』だ。それがどうした?」


私は無言で、革袋から伸びた管を真鍮の筒に繋ぎ、ツマミを回した。

シュッ、という小さな音と共に、先端に小さな火種を近づける。


ボッ――。


真冬のギルドのホールに、見たこともないほど**鮮烈で安定した「青い炎」**が立ち上がった。

煤も出ず、パチパチと爆ぜることもない。

ただ純粋な熱だけを放出する人工の炎だ。


「これは……魔法の火か?」 ガザルが思わず身を乗り出す。


「いいえ。ゴブリンたちが排泄物から精製した『バイオメタンガス』です」


私はAIが算出した数値を淡々と読み上げた。


「この炎は、従来の薪に比べて熱効率が約15倍。

煤による肺疾患のリスクはゼロ。

そして何より、燃料は『ゴブリンが生きている限り』無限に供給される。

私はすでに、集落からこの街の貯蔵庫まで、

グラフェンで強化した気密性の高い気体輸送管パイプラインを敷設する準備がある」


エネルギーによる階級構造の破壊

私はホログラムを切り替えた。

映し出されたのは、街の地下を網の目のように走る配管ネットワークの図面だ。


「ギルド。

君たちがゴブリンを『害獣』として駆除し続ければ、得られるのは数枚の銅貨と、汚れた耳だけだ。

だが、彼らを『エネルギー生産者』として管理すれば、

この街から『凍死』と『燃料不足』という概念を完全に抹消できる」


『補足します』

AIが、市民の購買力とエネルギーコストの相関グラフを表示する。


『この「炭素燃料システム」を導入した場合、庶民の可処分所得は平均28%向上。

余剰資金は装備の更新や商業へ回り、ギルドの依頼達成率は飛躍的に高まります』


「……これを、あのゴブリン共が作っているというのか?」

受付嬢が、信じられないといった様子で、青い炎を見つめている。


「そうだ。

彼らは今や、ただの魔物ではない。

この街のインフラを支える『エネルギー・ギルド』の職員だ。

彼らを殺すことは、この街の火を消すことを意味する」


私はガザルに向かって、決定的な条件を提示した。


「このガスの使用料は、金貨ではなく、独自の『熱量単位ユニット』で決済する。

そしてその管理は、冒険者ギルドに委託したい。

君たちは単なる暴力の仲介所から、**エネルギーの分配を司る「公社」**へと進化するんだ」


ガザルの目が、野心にぎらりと光った。

彼は最強の武人であると同時に、この街を守る統治者の一人だ。

この「青い炎」がもたらす政治的な力が理解できないはずがない。


「……グラフェンマン。貴様、本当に恐ろしい男だな。

だが、悪くない。

薪を背負って震えるよりは、その『臭わねえ炎』ってやつに賭けてみる価値はありそうだ」


私は静かに頷き、脳内で次の工程フェーズを指定した。


(AI、次のステップだ。ガスの燃焼効率をさらに上げるため、

グラフェン製の触媒コンロの量産体制を整えろ。

それから、街の有力商人に「ガス式オーブン」の試作品を送りつける。

食文化から変えていくぞ)


『了解。

コンロの設計図をローカル・ゴブリンへ送信。

……マスター、これこそが「前世の嘘」を排除した、真に透明性の高い実物資源経済ですね』


私は、青い炎を反射して輝くギルドの床を見つめながら、確かな手応えを感じていた。

炭素グラフェンは、硬いだけではない。

それは、文明を熱く、そして速く加速させるための触媒なのだ。


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