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冒険者の記録  作者: ぽんかん
5.語られた歴史
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旅立ち

翌日、冒険者ギルド本部から正式な通知が届いた。

内容は簡潔で、だが重い。


――上級冒険者昇格試験、受験資格あり。


試験は、共和国首都にある冒険者ギルド本部で行われる。

道のりは、片道およそ一週間。


「ついに、か」


ブロムが感慨深そうに言う。


「首都のギルド本部……話には聞くけど、実際に行くのは初めてね」


フィーネは、少しだけ緊張した表情だった。


準備は手早く整えられた。

旅装、装備、必要最低限の物資。


そして――出発の日。


街の正門には、思いがけない顔が待っていた。


守備隊長、アレイン・ヴァルド。


鎧姿のまま、腕を組んで立っている。


「聞いたぞ」


短く、だがはっきりした声だった。


「上級冒険者試験に向かうそうだな」


「……はい」


レイが答えると、アレインは一度だけ頷いた。


「順当だ。

 最近のお前は、少し目立ちすぎているが……実力は確かだ」


いつもの冷静な評価。

だが、その目には、わずかな柔らかさがあった。


「忠告は以前に言った通りだ。

 力を持てば、見られる立場になる。忘れるな」


「……分かっています」


アレインはそれ以上言わず、門の外へ視線を向ける。


「無事に戻れ。

 次に会うときは……肩書きが変わっているかもしれんな」


それが、この人なりの激励だった。


門が開く。


街道の先に、まだ見ぬ試験と、未知の未来が待っている。


レイは一度だけ、振り返った。


見慣れた街。

仲間。

守るべき日常。


そして、前を向く。


その顔には――

もう、迷いはなかった。

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