家族のような仲間との別れ
子ども達の次に来た光の粒は、魔王軍最後の時に大怪我を負った、当時きしめんだった小麦を船に乗せて、島から逃してくれた3人の部下たちだった。
「きしめんさん!」
「お久しぶりです!」
「もう一度会えて嬉しいです!」
小麦はたちまち笑顔になり、1人ずつ嬉しそうに抱きしめた。
次第に表情を崩して涙を見せ始める。
「俺も・・・俺もすごく嬉しいよ・・・。ごめんな・・・俺だけ生き延びた・・・。みんなを救えなかった・・・俺、ヒーローなんかなれなかった・・・」
そんな泣き始める小麦に、抱きしめ返して笑って答える。
「何言ってんすか!・・・俺達こそ、一番の寂しがり屋のきしめんさんを1人残した事、後悔してます」
「それに、あっちで家族に会えた奴多いんですよ!」
「みんな、きしめんさんを気にしてます!みんなも会いたがってましたが、俺達3人しか来れませんでした」
小麦が体を離して聞く。
「そうだ!こっちで見かけないんだが、パルフェとそうめんもそっちにいるのか?」
部下達が首を横に振った。
「いえ・・・見てないです」
眉を下げて、力無く返す。
「そうか・・・。なぁ、魔王様は?」
それには部下達も笑いながら答えた。
「魔王様なら、今でも俺達に厳しくしてくれてますよ!」
「時々優しくなりますけど!」
「魔王様も残っている四天王の事をいつも気にしています!」
「そうか。やっぱり・・・そっちにいるんだな」
小麦の表情は嬉しそうだが、どこか寂しそうにも見えた。
「そろそろ行きますね。今まで沢山ご迷惑をお掛けしました!」
「きしめんさんと出会えて、あなたの部下になれて本当に幸せです!」
「色々とありがとうございました!」
部下の3人が次第に光りだし、薄くなっていく。
その様子を見て必死に小麦が3人に訴えかけた。
「俺こそ・・・みんなを弔えなくて悪い!必ず、花を海に手向けるから!魔王軍のあった方向に!俺が殺したあの子達の分も!魔王様の分も必ず!!」
「待ってます!」
消えていく最中に3人で口を揃えて言った。
「きしめんさん!あなたは俺たちのヒーローだ!!」
部下達は消えてしまった。
膝から崩れ落ちて、手に残る感触を1人で噛みしめる。
一緒に笑った日々、家族のような仲間、辛い任務も厳しい叱責も、たくさん一緒に乗り越えてくれた。
そんな仲間と永遠のお別れをした。
しかし、まだもう一つの光が目の前に現れて止まる。
そこから現れた人物に小麦は言葉を失った。




