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月桂樹の冠.  作者: 叶笑美
やりたい事
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2人でお話し

翌朝、小麦の目が覚めたのは朝の9時前だった。

「・・・寝すぎた!!」

リビングのソファで目覚めると、リビングにはディンブラがいた。

慌てて立ち上がり、弁明する。

「ごめん!ディンブラ!寝すぎた!!決してわざとじゃなくって!!今日俺の当番だよな?掃除とかすぐにします!!」

「別にいいよ。昨日遅かったし、それにロルロージュがやってくれたし。後でお礼言いなよ!」

見渡すとロルロージュも葵もいなかった。

「ところで、ロルロージュと葵は?」

「葵くんは朝からナスタチュームにお願いされてお手伝いに出てったよ。ロルロージュは女子達にお茶に誘われてた」

『ロルロージュのやつ羨ましいな・・・』

少し小麦がしかめた。

ディンブラが何かを思い出したように言う。

「あ!しまった!昨日、月下美人に渡してた本を返してもらおうと思ってたのを忘れてた・・・」

ディンブラが小麦を見る。

「悪いんだけど、小麦が代わりに行ってくれないかな?僕、今からキャンディとアッサムと約束があるんだよ」

「わかった!」とうなずく。

「ありがとう!できたら本の館に返しておいてね!」

「了解!」と言って立ち上がり玄関へと向かう。

しかし、外へ出ようとしたら一度呼び止められた。

「小麦!彼女が寝てたり、調子が悪そうだったら無理に行かなくていいよ!まずは窓をのぞいてから入ってね!」

「はいよ!」

返事をすると小麦は外へと出て行った。


小麦が月下美人の家に行き、言われた通りにまずは窓から覗いた。

胸より高い位置に窓のサッシがあるので、軽くかがんでみたり、背伸びしてみたりして様子を伺う。

中では月下美人は起きていて、音楽を聴いている最中だ。

窓を軽く叩くと気づいて開けてくれた。

「よ!入っていい?」

月下美人が頷いてくれたので窓に腰を掛けて、窓枠を汚さないように靴を脱いで靴裏同士で叩いてから入り、中で履き直す。

その様子に口を開けて驚いていた。

「ん?・・・あぁ、ごめん。変な所から入って・・・。玄関だよな、普通・・・」

恥ずかしそうに笑うと月下美人もクスクスと笑ってくれたので安心した。

「笑うと可愛いな!」

そんなことを言われ、口を紡いで照れて赤くなっていく。

「そうそう!今日来たのはディンブラが貸してた本を本の館に返したいんだって!ディンブラが用事あるから代わりに来た!!」

月下美人は思い出して本棚から本を出し、手渡して頭を下げる。

「ちゃんと預かったよ!」

小麦が出て行こうとすると寂しそうな顔をした。

その様子に立ち止まって、聞いてみる。

「今日、体調大丈夫?」

すると、月下美人が頷いた。

「じゃあちょっと話そう!」

そう言うと嬉しそうに笑っていた。


椅子に座って対面する。

「あー・・・月下美人って照れ屋であんまり話さないんだっけ?」

もじもじと照れて頷き返した。

「じゃあいいや!代わりに俺が話してやる!」

嬉しそうに顔をあげて小麦を見る。

好きな本、食べ物、動物・・・今までの経験でおもしろかったことを色々と話した。

話したと言っても子どもに本を読み聞かせるように、小麦が一方的に話していただけだ。

その中で曲の話が出てきた。

「そういえば月下美人ってクラシック好きだったよな!今度また聴かせてやるよ!!俺は結構魔王軍で色々と楽器を習わせてもらったんだよ!ピアノ以外でもできるし!」

月下美人が嬉しそうに頷いていた。


家に帰るとディンブラの方が先に帰っていて、不思議そうな顔をされる。

「おかえり。遅かったね。道に迷ったの?」

「いや。月下美人と話してた!」

それを聞いてディンブラが嬉しそうにした。

「そう、今日体調良かったんだ!」

「うん!元気だった!」

「ありがとう、小麦!」

不意に感謝されて戸惑ったが、照れながら「おう・・・」とだけ答えた。

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