楽しみにしていた再会
朝顔は朝から撫子の元へ行っていた。
「撫子!今日だよ!今日、小麦達が帰ってくるよ!!」
「はいはい、1週間ずっと聞いてるから知ってるわよ!」
朝顔が慌しく髪を気にする。
「ねぇ、変じゃない?」
「いつも通り可愛いわよ・・・そうだ!いつも通りじゃなくて、ちょっと変えてみよっか!」
撫子の提案に朝顔が少し戸惑ったが頷いた。
ディンブラたちはメリリーシャから帰る時に、大使館の手伝いのパーティと一緒にエディブルの花園に来たが、早朝だったため迎えもなく、パーティとは別れた。
そして、ディンブラ邸に着いた4人。
「久しぶりだな」
「やっぱりいいよな、平和で」
リビングでゆったりと寛ぎながら小麦と葵が呟くと、カモミールが訪ねてきた。
「おかえり、みんな!」
『やっぱいいよな。可愛い女の子が出迎えに来てくれるし』
『何よりマフィアでもカルト集団の一員でもないし』
この2人はメリリーシャという大都会に疲れていた。
そんな2人をロルロージュは横目に見る。
「広場でみんな待ってるよ!あとで来てね!」
「ありがとう、カモミール!すぐに行くね!」
ディンブラが答えるとカモミールは先に広場へと向かった。
「僕達も行こうか!」
「そうだな」と答えて立ち上がった。
4人が広場へ行くと真っ先に朝顔が小麦の元に来た。
「小麦!お、おかえり!」
「よぉ、朝顔・・・雰囲気変わった?」
いつもと違う朝顔に小麦が照れ臭そうに聞く。
ハーフアップにし、スカートもタイトからフレアにして膝丈くらいあった。
「うん!撫子がしてくれたの!・・・どうかな?」
「に、似合うよ!」
ドギマギする小麦を朝顔が見上げる。
「本当?か、可愛い?」
「うん、可愛い!」
嬉しくなった朝顔が小麦に抱きついた。
「おかえり・・・小麦!」
「た、ただいま!」
小麦が真っ赤になりながら朝顔を抱き返す。
それをディンブラと葵がニヤニヤとしながら見ていた。
「おやおや、羨ましい限りで」
「いつの間にあんなに仲良くなったんだ、あいつ?」
近くでは少女漫画オタクのルフナと撫子がはしゃいでいた。
「わぁ!いいねいいね!!感動の再会だ!!凄くロマンチックで、凄く少女漫画みたい!!」
「いいわよね!恋する乙女は私の着せ替え人形♪」
軽くはしゃぐルフナに、自分の行った朝顔の変身具合にうっとりと自己満足に浸る撫子。
そして、小麦は思い出したように呼びかけて体を離す。
「そうだ、朝顔!」
そう言ってポケットからお守りを出した。
「お守りありがとう!お陰で無事に帰って来れたよ!」
「良かった!ちゃんと持っててくれて嬉しい!」
「いつも持っていたよ。辛いことも、危険なこともあったけど、これのお陰でがんばれた!」
真っ赤になって、照れ臭そうにも、嬉しそうにもする朝顔は小麦と見つめ合っていた。
そこへナスタチュームが料理を運んでやって来る。
「みんな〜!ご飯ができましたよ〜!!」
その途端に「ぃやっほーぅい!!」と小麦は駆けて行ってしまった。
「あ!小麦!」
朝顔が残念そうにする。
「あーあ、小麦はもう・・・」
「単純なやつだから仕方ないよ」
ディンブラと葵は呆れながら言い放った。




