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月桂樹の冠.  作者: 叶笑美
償い
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みんなで大工

先日の和解でロザの一族たちも葵と小麦とは仲良くなれていた。

今となっては過呼吸もしない。

お手伝い2日目は朝からみんなでタンクトップと裾を絞った作業用ズボンを身にまとい、頭には黄色いヘルメットを被り、ノコギリやトンカチなどの工具を手に持っていた。

・・・え?

「よし!これからみんなで荊姫いばらひめ様の記念墓地を作るぞー!!」

「おー!!」

メアの呼びかけにみんなで拳を突き上げて叫ぶ。

そして作業に取り掛かった。

ロザの一族の屋敷は、正面からの外装は教会のように背が高く、赤レンガ造りになっている。

中に入ると木の板の床が敷き詰められていて、奥に入ると大きな吹き抜けになっており、そこは上から下までのガラス張りとなっていて、太陽光を存分に取り入れられるようになっている。

さらにその足元の一角には芝生とバラをいくつか植えた小さなバラ園のようになっていた。

芝生の上には鉄でできた白塗りのテーブルが置いてあり、その周りに人数分の椅子が置かれている。

テーブルや椅子にはバラのようなデザインが施されていた。

その庭の奥をみんなで掘り始める。

「なあ、ロマの作ったって言う【いぶし銀大工さん】にお願いしちゃダメなの?」

小麦がごもっともなことを聞く。

「だめ!これは荊姫様のとむらなんだから僕らが作るの!!」

「ほら、設計図は大工さんたちに作ってもらったから大丈夫!!」

やる気満々なガートルードに怒られ、スプライが設計図を見せる。

葵と小麦で切り出した木を大工さん監修の元、細かく切っていく。

ちなみに、生の木を乾かす作業も大工さんの魔法で完了済みである。

細かく木材にした物に目印を打って切っていると、イヴに大工さんが耳打ちをした。

「うん、うん!わかった!」と言ってから葵に近寄る。

「葵さん!」

「な、なんだ?俺何かしくじったか?」

心配そうに聞くと、首を横に振っていた。

「ううん!大工さんがね、いい筋してるって褒めてた!!」

「そりゃどうも」とだけ返すとまたイヴに大工さんが耳打ちする。

「うん、うん!・・・葵さん!葵さんがよかったら大工さんたちの仲間にならないかって!!」

小麦が背後でお腹を抱えて転げながら笑いまくる声が聞こえる。

「あ!いいね!毎日お茶してるんだよ、大工さんたちと!」

ピンピの発言に葵の目から光が失せた。

「あー、最高!」と涙を指で拭きながら起き上がる小麦を睨みつける。

「怒んなよ、葵!ピンピとイヴ!こいつはやめとけ!!そんなことしたらカルト集団に襲われて別のトラウマ植え付けられんぞ!!」

いたずらっぽく笑う小麦の言葉に2人は表情をゆがめて身構えた。

「そう言えば、葵さんは何であの教会で教祖やってんの?」

「でも出入りしてないよね?」

メアの疑問に追加してスプライも聞く。

「俺もそう言えば知らないな・・・」

ふと思い、小麦も思い出し興味を持った。

「別に教祖なんかしてない!勝手にシスターがまつってるだけだ!!」

「教祖様じゃないんだ」

「なんでそうなったの?」

ピンピとガートルードが聞くと、辟易へきえきとしながら話し始める。

「まだシスターが神学の学生だった頃に、当時うどんだった小麦と街中でぶつかったようで、転けそうになったところをどうやら俺が助けてあげたらしいんだ。それから筋トレとか武術に励んで・・・」

「ちょっと待て!なんでそこからトレーニングに励む必要があるんだよ?」

小麦のストップにまた一層と嫌そうな顔をして答える。

「さっき省いたけど、俺がみんなのところに合流した後にパルフェがうどんの腕を叩いて「力が強い」と言われた後、俺にひっついてたのを見て強い女性が好きなんだって勘違いしたらしくて・・・で、今の最強シスターになったらしい」

「なんか色々間違ってるけど、結果土地を転々とするシスターが護身術得たことはいいんじゃないのか?この前だってマフィア相手に引けを取らないどころか、全滅して天に帰してたし」

「なにそれ!?どういう状況!?」

イヴが怖がって小麦に聞き返す。

「マジだよ、マジ!本当に俺を拉致らちしにきたマフィアが全員シスターに倒されたんだ!お前らも気をつけろよ!葵に変なことしたら天に帰されるからな!!」

葵が表情をムッとさせて言い返す。

「変なこと言うな!」

「事実だろ!!」

などと言い合う横でロザの少年たちが小麦のおどしにおびえていた。

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