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月桂樹の冠.  作者: 叶笑美
償い
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歪み

「なぁ、前から聞こうと思ってたんだけど、ディンブラは何でrossoとbiancoなんて科学の裏組織との繋がりがあるんだ?」

小麦のその質問にディンブラは言葉に詰まってしまった。

そして、答えづらそうに顔を逸らしてつぶやくように言う。

「それは・・・ごめん、まだ言えない」

小麦も葵もその様子にしばらく黙った。

「そうか・・・。なら無理には聞かないよ」

「何事にもタイミングはある。その時が来たら話してくれればいい」

2人は納得はしていない表情だったが、ディンブラの気持ちを尊重して言葉を選んでくれた。

「ありがとう・・・」と小さく呟く。

「でも、どうして幹部と知り合いのディンブラが狙われたんだろうか?」

「それはそのピエロという幹部が認知していないんじゃないのか?」

小麦に対して葵が推測で答えた。

「今回のは部下が勝手に動いた事だったとか、そもそも、何かしらの事情でピエロ自身、ディンブラが俺達と関わりがある事を知らないから、部下が勝手にディンブラに手を出したとか」

「あり得るね。今回の事で、もしかしたらピエロからの動きがあるかも」

小麦が腕を組む。

「最近、俺たちを狙っているのがその二大組織だと判明はしたが、他の組織からも狙われている可能性もある。視野は広く持っていよう」

葵もうなずいて返答する。

「そうだな。rossoも biancoも大きいから、他の組織が俺たちに手を出しづらいというだけで、狙っていないわけではないだろう。警戒はした方がいいな」

「僕やダージリン、この前はシスターが狙われた。大使館のメンバーも狙われる危険性も考慮しよう」

ディンブラが眉をひそめて懸念していた。


biancoの幹部ピエロの元には報告が届いていた。

「ピエロ様、報告致します!本日、勝手ながら、先日のエピスキャラバンで葵ときしめん似の男と一緒にいた一般人2人に接触しました」

口調は穏やかだが、驚いた様子で聞き返す。

「今日?どうして事前に一言くれなかったの?」

一つ、頭を下げて謝罪を述べる。

「すみません。ピエロ様がrossoとの会議で席を外されている時でしたので、報告が遅れました」

「そう。まぁ、いいや。それで、どうだった?」

ピエロが椅子にもたれかかり、興味無さそうにペンをイジりながら聞き返す。

「連行しようと思いましたが、1人がとても凶暴で、その場で全員やられてしまいました・・・」

ピエロは何も答えずに部下を見ていた。

少し間を空けてから今度は前のめりになって聞き返す。

「その一般人って、どんな奴?元魔王軍の可能性は?」

記憶を絞り出すようにして報告する。

「第一印象は細身の男2人組です。元魔王軍とは考えづらい体型ですが・・・」

「ダメだよ、そういう予測で動くの。今日も全滅したんだろ?写真とかないの?」

終始口調は変えずに部下に質問をしていく。

「エピスキャラバンの時のならあります」

ピエロが「あー、そういえば」と気づく。

「エピスキャラバンに来てたんだよね。強烈な変態のせいでその他を全て忘れてたけど、一応確認しておかないと」

部下から写真を貰い、目を見開いた。

「今回接触したのはどれだって?」

「この黒髪と、その2つ隣の茶髪です」

ピエロがしかめる。

「エピスキャラバンがつくづく大成功だったと思うよ。ただ、変態に少し狂わされた点がここまで大きくゆがんでくるとは・・・」

そう呟いてから部下に向き直った。

「いいか、これからはこの人物達には一切手を出すな!他の者にも伝えろ!」

部下が驚いた顔を見せたが、すぐに「はい!」と返事をする。

「もしかすると、上手くやれば葵ときしめん似の男を手に入れられるかもしれないぞ」

ピエロが口角を上げて怪しく笑っていた。

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