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月桂樹の冠.  作者: 叶笑美
償い

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疑似餌

立派に代打を勤めきった変態シスターズ。

2人は万雷の拍手を一身に受けながら、堂々と足と手の動きを互いに揃えて行進の如く退場する。

ここまではよかったのだが、ステージ裏では案の定アニスエトワレが小麦と葵に怒られていた。

「おい!ふざけんな!」

「何が変態シスターズだ!もっとマシな名前があったろ!!」

2人は頭に被っていた即席のマスクを床に叩きつける。

「ごめん!インスピレーションが働いたのよ!」

2人に締め上げられながら言い訳するアニスエトワレ。

「半裸マッチョに対してのシスターズが余計に変態らしさを増してんだよ!」

「せめてブラザーズだろうが!!」

「ごめんなさーい!!」

アニスエトワレは裏の組織に脅されている気分だったとか。

まぁ、元々魔王軍なんて裏の組織のようなものなのでおおよそ間違ってはいない。

ちなみに、後日この日の噂が噂を呼び、連日満員御礼であったという。

だが、みんなが求めてやって来るのは勿論あの“変態シスターズ”。

幻のと冠していたので、そのいつ登場するのかと連日話題で持ちきりだったそうだ。

しかし、葵と小麦はあれ以来サーカス団には行っていないので、代わりに似たような体型の者が変態シスターズとして時々ステージに立った。

あの2人ほどではないにしろ、こちらもプロとしての維持を見せ、サーカスのステージを盛り上げたとか。

アニスエトワレは公演期間中に一度ピエロに呼び出された。

「ねぇ、いつまで変態シスターズやるの?」

「公演期間いっぱいはやろうかと思ってます!見てください!!物販も大好評なんですよ!!」

人形にメモ帳にタオルにキーホルダーに・・・etc

それはそれは飛ぶように売れたとか。


変態シスターズとして公演を終えたその帰り道、大使や花園民と合流した。

「よ!お疲れ!変態シスターズ!」

ニヤニヤといたずらっぽく笑って片手を挙げるロマに小麦が近寄っていく。

「うるせー!この!」

そう言いながらロマの頭を両手で掴んでいじくり回していた。

「なかなか良かったよ、変態シスターズ!エディブルでもやってよ!」

「絶対嫌!」

ディンブラに対して即答する葵。

「アスタたちもお疲れ様です!」

「搬入がんばってたね!」

「ありがとう!」とパトロックやリントンに返す。

アッサムたちがロマと戯(じゃ)れる小麦に近づいて声をかけた。

「お疲れ!変態!」

「それは悪口な!?」

アッサムを睨みつけると、ダージリンもキャンディも笑いながら話しかける。

「すっごく良かったよ!さすがだね!」

「でも変装は意味なかったけどな」

不思議そうに小麦が聞き返す。

「なんで俺らってわかったんだよ?」

それにもダージリンとキャンディが答える。

「わかるよ!すぐに!あの見慣れた肉体美だもん!」

「よくエディブルで2人で半裸になって筋トレしてるからな」

思いもしなかったところで見分けられ、目も口も開いて塞(ふさ)がらない。

「盲点だった。まさか日頃から見られていたとは・・・」

そんな小麦の肩を組んでニヤニヤと笑いながらアッサムが続けて言う。

「俺は乳首ですぐに葵と小麦だってわかったけどな!!」

「変態!」と言って肩を組みながら舌を出して見せた。

そして大使館に向かいながら談笑するメンバーたち。

小麦と葵が皆から少し離れるように後ろを歩いていく。

「プルチネッラやその他組織に関して何も手掛かりは無かったな」

「そうだな。さっきから誰かに監視されているくらいか」

小麦と葵は、サーカスを出てからずっとつけられている視線は感じていた。

「今は泳がしておこう」

「その内出てくるだろうな」


和気藹々(わきあいあい)と帰る中、人ごみに紛れて観察していたのは、先程からモニターを共に見ていたピエロの部下だ。

物陰から葵と小麦を観察しつつ、電話をする。

「葵と例の男が、雇ったパーティと共に大使やその他一般人と合流しました」

「了解。そこまでで引き上げろ。rossoが何か勘付くかもしれない」

ピエロがケータイを切ると、別の部下が報告に来た。

「ピエロ様、先程アニスエトワレに例の男を聞いたところ、雇ったパーティが連れてきた一般人とのことです。名前は小麦というそうです。それ以外の情報は特にはありません」

「そう。了解。下がっていいよ」

部下が去った後にピエロが椅子にもたれて大きなため息を吐く。

「はぁ・・・投資無駄だったな。まぁいっか。ポケットマネーだし」

その後、パソコンを操作した。

「いや、一概に無駄とはいかないか。四天王の葵と、うどんに酷似(こくじ)する小麦という男。調べてみてもいいかもしれない」

画面を切り替え、客席のモニターの録画を見る。

そこにはrossoの若手3人組が写っていた。

「rossoのベットはまた別の機会にしよう。エピスキャラバン、実にいい疑似餌(ぎじえ)だったよ」

ピエロは怪しく微笑んでパソコンを閉じた。

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