交換条件
パーティが仲間集めの交換条件を提示してきた。
アスタが交渉の条件を言う。
「俺達パーティがエディブルに自由な出入りと滞在が出来るような許可証がほしい!」
それには葵も小麦も驚く。
「許可証?パーティもいちいちそんなのいるのか?出入りは別として、いつも自由に長居してるじゃないか」
「だいたい、ここに来ているのも大使たちの手伝いなんだろ?大使の代理なのに滞在にそんなもんいるのか?」
これにはディンブラが答えた。
「本来、花園で生まれ育った人じゃないと自由な行き来や滞在は出来ないんだよ。あとは移住者として認められた人。それ以外は許可証が無いと誰であっても出入りと滞在は自由じゃない。いつも大使からの滞在期間が記された許可証を得て来ているんだよね、君達?」
「そうね、今回も書いてもらってるわ。それもお手伝いとして用事がある時に、それに応じた決められた日数だけね」
キャメリアが頷いて手紙を出して見せる。
葵が受け取り、小麦と見る。
「じゃあ俺らってどうなってんの?」
「入る時はディンブラがマタリとかに頼んで許可証出してもらってたから、出入りは自由じゃないけど、滞在期間はどうなってるんだ?」
「君達は僕が門番の双子に家族である手続きを済ませておいたんだよ。だから出入りと滞在はできる。ただし、ここで生まれ育った僕がいれば、だけどね。まだ正式な移住者じゃないから、そういう規約なんだ」
『ディンブラありきだったのか・・・』と2人して思った。
時折、ディンブラを蔑ろにして、2人でコソコソしていた頃を思い出す。
いくら危険に巻き込みたくなかったからとかの理由であっても、ディンブラがヘソを曲げて「2人なんか知らない!勝手にやれば?」なんて言われれば、即追放だった事実に今更ながら心拍数が鬼のように跳ね上がった。
そう思うと、心の底から土下座したくなった。
そして、思い立ったら即行動。
2人並んで床に土下座した。
「もしかして、僕無しで自由に滞在できると思ってた?」
ディンブラに言われてドキッとする2人。
「そんなわけないだろ?エディブルの花園は本来秘境中の秘境なんだ。他所の人が簡単に出入り、滞在のできるものじゃない。あそこの環境があれだけ保たれているのも、妖精の加護や門番の力だけじゃなく、厳重な制限あってこそなんだよ!」
「知らんかった・・・」と口を揃えて言う。
そこにチョコが疑問を持つ。
「その制限っていつからあるの?」
「詳しくは僕も知らないよ。僕が生まれるよりも前からあるらしいし」
そこで葵が割って入った。
「話を戻そう。ディンブラはパーティに許可証を出してやってくれないか?今の俺達には1人でも多くの協力者が必要なんだ」
「そうだね。だけど、許可証があるからって、大使達の手伝いはやめたってのは無しだよ。大使の手伝いは今後も続けること!これも条件に入れるのなら、マタリに言ってあげる!」
チョコがディンブラに聞き返した。
「あくまで、大使の手伝いしながらってこと?」
「そういうことだね」
アスタとチョコが黙ったが、頷く。
「・・・わかったよ。これからも手伝いは続ける」
ディンブラがニコリと笑って返した。
「よし、交渉成立だね!」
「俺達もアスタとチョコの探しているものに協力しよう」
小麦が言うと、ディンブラ達3人も頷いた。
「パーティのみんな、期待してるよ!」
「俺達も期待してるよ!」
ディンブラとアスタが握手を交わした。




