【漫才】ポイ活
トップバッターのジンクスをものともせず、突き抜けた二人!
その勢いはトップをも、掴むのか!?
さぁ今宵も魅せてくれ!
『右往左往』!
佑木太祐 左佐助
佑木「どうもー。右往左往でーす」
左「どうもー」
佑木「いやー、皆さん元気ないですなー」
左「いきなり何言うてんのや! 失礼やろ!」
佑木「だって拍手が少ない」
左「出てきただけで万雷の拍手を求めるな! 拍手いただけるだけでも有り難い思え!」
佑木「そうは言うても、決勝やで?」
左「そうやけど、だからこそお客さんも疲れてるところもあるんやないか?」
佑木「それを覚悟している者だけが、この場にいるはずだ……!」
左「求める覚悟が重い!」
佑木「それは一割冗談として」
左「半分どころか九割本気!」
佑木「お笑いっちゅーんは俺らの喋りとお客さんの盛り上げとで、一緒に作り上げていくもんやで?」
左「そらそうかもしれんけど」
佑木「せやから積極的に関わってもらわんと」
左「んー、まぁそうかもなぁ」
佑木「ほなもう一回。どうもー。右往左往でーす」
左「ど、どうもー」
佑木「おおー。えぇ拍手や」
左「お付き合い、ほんまありがとうございます」
佑木「やっぱりこう何においても楽しようとせんで、一生懸命取り組むいうのはえぇ事やなや」
左「ほんまやな」
佑木「にしても楽してお金もらいたいなぁ」
左「おぉい! 二秒前のえぇ話台無しやないか!」
佑木「いやー、頑張ってばかりやと疲れるやろ。適度に気も抜かな」
左「それはそうかも知れんけど」
佑木「せやから皆さん、他の芸人には拍手程々でえぇんで」
左「お前最低やないか!」
佑木「んで楽に稼ぎたい話やけど」
左「お前自由やな。んで何や」
佑木「ポイ活って知っとるか?」
左「あー、何や歩いたりレシート写メしたりすると、ポイントがもらえるっちゅーやつか?」
佑木「今時写メて」
左「やかましいわ! 他に言いようがないからしゃーないやろ!」
佑木「まぁそれはえぇとして、お前ポイ活やった事あるか?」
左「あー、歩いて動画見てポイント貯めるやつやっとるで」
佑木「それやそれや。ネットで知った見ず知らずの広告と一時共に過ごす事でポイントが手に入るやつ」
左「パパ活みたいな言い方すんな!」
佑木「それでどうやった?」
左「いや、確かに日常の移動と広告見るだけでポイントは貯まるけど、稼げるか言うたらどうやろな」
佑木「いや、広告の方や」
左「広告? 見るのはえぇけど、何度も小さいバツ押して消さなあかんのとか、押し間違えると別の画面に飛ばされるのとか、ちょっと面倒やったな」
佑木「さてそこや」
左「どこや」
佑木「ポイ活は今や一大市場。せやけど広告の内容には不満もあるやろ?」
左「せやな」
佑木「そこで人がどんな広告を嫌がり、どういう広告を望むのかわかれば、企業のネット広告アドバイザーになって大儲けや」
左「ポイ活で稼ぐ話とちゃうんかい!」
佑木「んでお前は広告で嫌な事、他に何かあるか?」
左「あー、グロいゲームの絵見せられるんは嫌やな」
佑木「ほー。せやったらどないなのがえぇんや」
左「そら同じ見るなら、可愛い女の子の絵とか動画とかの方がえぇな」
佑木「この人スケベです」
左「お客さんに告げ口すんのやめろ! マイク使うとるから、声落としてる意味ないし!」
佑木「他には?」
左「あー、やっぱ長いの見てるだけいうのは飽きるな」
佑木「ほなどないなったらえぇ?」
左「ゲーム性かな。簡単なパズルとかで、クリアすると広告が短くなるやつとか、ちょっとおもろい思うで」
佑木「成程なぁ。他には?」
左「嫌な広告を通報できるシステムがあったら、良くなるんちゃうか?」
佑木「通報か。確かになぁ」
左「こんなんでえぇ広告作れるんか?」
佑木「おう。まずバツボタンを大きくする」
左「あぁ、そらえぇな」
佑木「んでお前のリクエストに従って、やむを得ず可愛い女の子に会社のロゴとか商品名を持たせた絵を貼る」
左「言い方に引っ掛かるもんあるけどまぁえぇわ。んで?」
佑木「ここでゲーム性を足す」
左「ほう。どんな感じに?」
佑木「大きいバツボタンが、画面の中を高速で縦横無尽に動き回る」
左「おい! そんなん押されへんやんけ!」
佑木「一回押したら動画終了や。簡単やろ?」
左「押し間違えたらどないなんねん。変なページに飛ばされんのも嫌やぞ?」
佑木「女の子の絵に触れたら通報されます」
左「おいぃ! 通報できるシステムってそっちやない!」
佑木「これならウケるやろ?」
左「んなわけあるか!」
佑木「いやー、お前一人の意見とちゃうて、社会の声を聞かなあかんて。ねぇお客さん?」
左「……」
佑木「ほらお客さん! 参加型! 参加型!」
左「真剣に参加したからこそのこの反応や! 諦めろ!」
佑木「ほなしゃーないな」
左「諦める気になったか?」
佑木「令和食品って会社建てて、適度な運動と適切な食事制限を伴う痩せサプリを作るか!」
左「それサプリの意味ある!? いい加減にしろ!
二人「どうも、ありがとうございましたー!」