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第六話   犬と猿と猪と...

いいね、感想、いつもありがとうございます。感想は出来る限り返信しようと思っています。

さて、もうすぐ桶狭間の戦いですが、勘十郎、利家、秀吉、成政の凸凹四人集は活躍する事が出来るのでしょうか?

*技能の事で詳しく知りたい事が有ればなんでも教えて下さい。『登場人物&設定解説』に追加したいと思っています。

一五六〇年(永禄三年)一月上旬   尾張国清洲城評定の間



〜織田信勝〜



『明けましておめでとう御座いまする』


「うむ、おめでとう。これからも宜しく頼む」


『はっ!』


四人で新年の挨拶を兄にした。新年の挨拶は色々あって四人とも元日に言えなかった。


俺、又左、藤吉郎、内蔵助の四人は清洲に戻って来ると直ぐに評定の間に呼ばれた。兄の隣には丹羽五郎左衛門尉長秀が控えている。評定の間に六人で集まった。


「その方らには期待しておる。いずれ城も任せたいと思っておる。その方ら戦働きだけが全てでは無いぞ。(まつりごと)を軽んじてはならぬ。猿は逆に戦働きが出来る様にならねばならんな。お主達四人は何でも出来る大将になるのだ」


……えっ?話が急展開過ぎて困惑している。皆を見てみると三人ともポカーンとしている。いきなり集めて城持ちにする?急に何だ?


「もう直ぐ大きな戦があるだろう。織田家の未来を決める戦だ。その戦では四人とも連れて行くつもりだ。準備しておれ」


「……期待しておる」


『……はっ!』



―利家宅―



四人で又左の家に集まる事にした。ちなみに史実では成政と利家・秀吉が仲が悪いと言われているがそんな事はなかった。三人とも苦楽を共にしていたからか絆は固い。同じ足軽長屋に暮らしていたぐらいだからな。

又左の家に行くとまつさんがお出迎えをしてくれた。俺が扇子を贈るととても喜んでくれた。又左はこういう贈り物はしてくれないらしいと愚痴っていた。又左は居心地が悪そうだった。何か買ってやれよとアドバイスしたら、お前は嫁を見つけろと言われた。


まつさんが俺たちに茶を出してくれた。一口のみ、『ほぅ』と溜息を漏らした。


「大きな戦とは何だと思う?」


茶碗を置くと、又左が話し出した。皆、無言のままだ。


「儂は今川じゃと思うのぅ」


藤吉郎がもう一口啜り、喋った。


「あぁ、俺もそう思うぜ。今川の隠居は三河の統治に力を入れていたよな?これは上洛の布石と見て良いんじゃねぇか?奴らが攻めてくるなら籠城の準備だな」


又左、藤吉郎が内蔵助の言葉に頷いた。俺は頷かない。

この三人もやはり今川と戦になるだろうとは考えているみたいだな。一昨年から昨年にかけて何度か今川の品野城を攻めてはいたが、奪取する事は叶わなかった。ちなみに城攻めには俺たち四人は参戦していない。清洲で訓練に励んでいた。


「籠城は無いな……。野戦で決着をつけるだろう」


俺がそう言うと、三人が不思議そうに俺の顔を見た。


「今川を攻めるのか?」


又左が呆れた様に聞いてきた。


「又左、籠城に未来があると思うか?後詰有っての籠城戦だ。勝ち目が無い」


三人はまだ納得していない様だ。


「恐らく、殿も同じ考えだ。籠城はしないだろう。それと、今川が攻めてくるのでは無く、今川に攻めさせるのだ。そして……」


三人とも何を言ってるんだ?と言う顔で見てくる。間抜けな顔だ。おもわず吹き出してしまった。


「詳しくは話せないが、一つだけ言うとすれば井ノ口の戦いを思い出すのだ」


俺はそう言うと、ふふふ、と笑った。三人はまだ不思議そうな顔をしている。



一五六〇年(永禄三年)四月上旬   尾張国清洲城信長の部屋



「殿、勘十郎様がお見えです」


「うむ、少し二人だけにしてくれ」


小姓が襖を開け、下がった。部屋に入り襖を閉めると兄が此方に背を向け、書物を読んでいた。

三歩程進んで座った。


「殿、話が―――」


「二人だけの時は兄上と呼べ」


……え?


「……兄上、話があります。宜しいですか?」


俺が兄に尋ねると、書物を置き、此方を向いた。鋭い目だ。しっかりと光を持っている目だ。兄は俺を見ながらニヤリとしている。


「奇遇だな。俺も話があった。今川との戦の事であろう?」


……流石は信長、俺の考えてる事はお見通しってわけか。


「はっ、その通りで御座います。愚策を一つ考えました。それは天文十三年に起こった、井ノ口の戦いの時の斉藤軍の作戦を用いることです」


「……ふむ」


「まず、大高城周辺にある丸根砦と鷲津砦を今川に攻めさせます。此処に三左を援軍で向かわせましょう。そうですね……二千から三千ですね。目的は今川軍との戦を長引かせ、一度退かせる事です。そして撤退している隙を狙って兄上が二千を率いて今川の背後を突き、治部大輔の首を奪るのです」


兄は俺が話している間もずっと俺の事を見ていた。その目は期待や希望の色が表れていた。


「ふむ……、大方俺と同じ考えか……。だがな勘十郎、援軍は送らん。丸根砦と鷲津砦は落とさせる。二つの砦を落とした事で奴等はそこで休憩するか、下がるか……。どちらにしても油断するのは間違い無いな。其処を俺が突く」


……やっぱりか。それをするとなぁ……。家臣との仲に亀裂が入るんだよな。特に佐久間信盛との仲が悪くなる……。家臣を見捨てていると言う事になるからな。その亀裂が大きくなり本能寺の変に繋がったと俺は考えている。見捨てるのは流石に……。何か良い方法は……。


「……驚かぬのだな。勘十郎」


兄が寂しそうに言った。

しまった。これでは兄が家臣を見捨てる様な人だと言っている様なものだ。否定しなければ。


「驚いていますよ、兄上。顔に出ていないだけであります」


「ふふふ、そうか。変わったな、勘十郎。昔は良く驚いていたものよ」


兄が俺の事を優しい目で見ている……。


「……兄上、もう一つ宜しいでしょうか?」


兄の目が此方を見ている。さっきとは違い力強い目だ。

俺は気圧されずに話し始めた……。



―――



兄の部屋から出て、廊下を戻って行く。兄はあの策を受け入れてくれるだろうか……。一か八かの大博打だな。よっぽどの阿呆でなければ受け入れてくれないだろう。まぁ田舎の尾張から天下を統一すると言うほど阿呆な事は無いか……。ふふっと笑ってしまい周りの小姓におかしな目で見られた。恥ずかしい。


……兄も一人の人間だ。不安になる事もある。俺があの人を支えてやらねばいつか壊れてしまう。信長はそれ程までに繊細な男だったのかも知れない。同じ目線の友が居ないのは辛かっただろうな。安心してくれ。今世では俺がなってやる。


兄からは何も言われ無かった。今日の仕事は無いみたいだ。家に帰って少し訓練をしよう。スキルポイントも使おう。あの三人も呼んで訓練したほうがいいよな。お互い勉強になる筈だ。



―清洲城内訓練場―



 名前:前田又左衛門利家

 レベル:20(566/13700)

 年齢:22

 職業:織田家赤母衣衆

 状態:健康

 体力:100/100

 統率:28

 筋力:35    

 頑強:38

 敏捷:31

 器用:16

 知能:23

 精神:44

 技能:剣術(中級)、槍術(達人)、弓術(初級)、鉄砲術(初級)、格闘術(中級)、騎馬(中級)、算術(初歩)、不屈(固有)、槍の又左(未開花)

 装備:六間半槍



 名前:木下藤吉郎秀吉

 レベル:15(6211/6700)

 年齢:23

 職業:織田家小姓

 状態:健康

 体力:100/100

 統率:22

 筋力:21

 頑強:19

 敏捷:33

 器用:40

 知能:42

 精神:46

 技能:剣術(初級)、槍術(初級)、弓術(初級)、鉄砲術(中級)、格闘術(初級)、鷹の目(中級)、鼓舞(初級)、根性(中級)、算術(中級)、建築(中級)、弁術・説得(中級)、立身出世(固有)、人たらし(固有)、中国大返し(未開花)

 装備:刀(無銘)



 名前:佐々内蔵助成政

 レベル:22(3656/17200)

 年齢:24

 職業:織田家黒母衣衆

 状態:健康

 体力:100/100

 統率:26

 筋力:36

 頑強:39

 敏捷:36

 器用:21

 知能:16

 精神:49

 技能:剣術(中級)、槍術(初級)、弓術(初歩)、鉄砲術(中級)、格闘術(初歩)、騎馬(上級)、鷹の目(上級)、兵法(初級)、治水(初級)、建築(初級)、猪突猛進(固有)、二段撃ち(未開花)、さらさら越え(未開花)

 装備:火縄銃



 名前:織田勘十郎信勝(東郷泰人)

 レベル:23(8770/19100)

 年齢:23

 職業:織田家近侍

 状態:健康

 体力:100/100

 統率:19

 筋力:39     

 頑強:33

 敏捷:42

 器用:37

 知能:52

 精神:45

 技能:剣術(上級)、弓術(上級)、鉄砲術(初級)、格闘術(中級)、百舌鳥使い(中級)、算術(中級)、書法(初級)、鑑定(上級)、弁術・説得(中級)、弁術・論破(初級)、町割(初級)、治水(初級)、超集中(上級)、人たらし(固有)、急成長(固有)

 スキルポイント:10

 装備:刀(無銘)



四人で訓練場に来た。

スキルポイントを使って『鑑定』の練度を上級まで上げると、色々と新しい効果があった。

まず、『鼓舞』という今迄は見えなかった技能が見える様になっていた。それと『統率』という能力も新しく見える様になった。



      〜統率〜


  説明:兵を率いた時に一般兵の能力に作用する

     高ければ高い程、兵が強くなり、倒れにくくなる



ふむふむ、歴史ゲームでの『統率』と同じと考えて良いだろう。俺たち四人の『統率』の能力値が低いのは、今迄は足軽として戦っていたからだろう。兵を率いた事などないからな。『鼓舞』は多分そのままの意味だな。

次は成政の『兵法』と『猪突猛進』を見てみよう。



      〜兵法〜


  説明:軍学、兵学の事

     戦術眼、戦略眼が良くなる

  練度:初級 レベル4(60/100)



      〜猪突猛進〜


  説明:敵を五人殺した後に一定時間発動する

     筋力・敏捷が10ずつ上がるが知能が10下がる



成程ね。『兵法』って技能は一応取っておいた方が良さそうだな。後々使えそうだな。この『猪突猛進』はまるで狂戦士みたいな技能だな。つまり暴走するという事だろう。というより内蔵助これ以上知能が下がったらどうなるんだ……。

こうやって見てみると俺の能力も別に特段凄いという訳でもないみたいだな。技能の量は凄いけど。


ちなみに内蔵助が火縄銃を持っている理由は、去年極秘で行われた上洛にて、国友村に寄り、火縄銃を購入し、帰ってきたその日から火縄銃の訓練を続けていたのだ。惚れ込んだらしい。寝る時も一緒だという噂だが果たして……。


「今日は三人で訓練をしよう。其々得意な事があるだろう?俺は刀、又左は槍、内蔵助は種子島。お互い教え合う事でより高め合う事が出来る」


二人が頷いている。が、秀吉は頷いていない。


「儂は何も教える事が出来んぞ?それでも良いのかぁ?」


藤吉郎が申し訳なさそうに話した。俺は精一杯の笑顔を見せた。


「気にするな藤吉郎。お前の武器はその知恵であろう?それは俺にも又左にも内蔵助にもないお前だけの武器だ。戦場で俺たちが困っている時はその知恵で助けてくれよ」


藤吉郎は照れ臭そうに頭をかいている。又左と内蔵助が、そうだそうだ、気にするな、と言っている。良い奴らだな。


「じゃあ早速始めようか。まずは二人一組になって―――」



一五六〇年(永禄三年)六月上旬



〜松平元康〜



陽が沈んでからどれほど経っただろう。縁側に座り物思いに耽る。小姓に用意させて茶を一口啜る。少し温くなっている。


大殿から指示があった。大高城の兵糧が足りないらしく、この戦の先鋒を任された。任務は、織田軍の包囲を突破し、兵糧を城内に運び込む事だ。容易ではない指示だが、信頼されている証拠だな。必ず成功させなければならない。


……吉法師殿、貴方の様な男は今迄見た事ありませんでした。周りに敵を抱えつつも、堂々としている姿には尊敬の念で溢れております。某も……そうでありたかった……。

貴方の戦に期待しております。どうか、天下を揺るがす様な、そんな戦を……。

佐々成政を猪としているのは私の勝手なキャラ付けです...。

「犬と猿」を考えた時に出たのが猪でした。

成政は向こう見ずな所があるので、猪が合っているかなと思いました。

どうかこの四人を応援して下さい...。

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[一言] 成政の知能を10未満に保つ→バーサーク→アンダーフローで知力255とかありそう
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