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第二話   稲生の戦い?

一五五六年(弘治二年)九月下旬   尾張国末森城内



〜織田信長〜



清洲から七百の兵を率い、末森にやってきた。一戦は考えていたがまさか戦無しであやつとの交渉が成り立つとはな。俺を暗殺しようとしておるのか?クク……、中々面白くなってきたではないか。


小姓の案内を受け、城の一番奥の部屋に連れて行かれた。小姓が、俺の到着を知らせると、愚弟の声が聞こえた。小姓が襖を開けるとそこには目の前に勘十郎信勝、左右に柴田権六、林佐渡、美作が居た。四人とも平伏で脇差すら持っていなかった。

部屋に入り二、三歩進んだ所でどすんと座った。俺の横には佐久間右衛門尉信盛、森三左衛門可成が控えた。我等は脇差を持っている。


「兄上、此度はご足労頂き、誠に感謝致しまする」


勘十郎が頭を下げ、話した。


「その様な心遣いは無用よ、俺と其方の仲ではないか。して、本題は何だ?」


勘十郎が頭を下げながら続けた。


「はっ、此度の挙兵の件、許していただきたいと思い申し上げまする。我等には兄上への二心は有りませぬ」


「ほぅ、二心は無いと申すか。一体どういった風の吹き回しだ?お主、俺を馬鹿にしてるのか?」


勘十郎が俺の顔を見ながら首を振り否定した。顔には焦りなどは見られない。感情を悟らせない顔だ。……此奴、一体何があった?


「いえ、その様なことはございませぬ。我等には誤解があったので御座いまする」


「……誤解か?俺にはお前達に対しての誤解は無いが?お主らは謀反人。それは変わらぬ!!」


勘十郎を睨み付ける!しかし、勘十郎は目を逸らさず此方を見てくる。鋭い目付きだ。


「某が織田弾正家の当主になるべく挙兵したのは間違いありませぬ。浅はかな行動だったと反省しておりまする。しかし、我等が挙兵した理由は、兄上が当主たる器では無いと判断したからでありまする」


「………」


「しかし、兄上は結果を示しました。清洲を攻め、南尾張以外を統一致しました。その時、某に一つの思いが芽生えました」


「……思い?」


「……兄上を天下人に導きたいという思いでありまする」


勘十郎の目は輝いていた。昔の様に……。


「……あの頃の約束を思い出したのか」


「……兄上?今何と仰りましたか?」


……口に出ていたか。……視界が少しボヤけた。


「……分かった。許す」


権六、佐渡、美作の三人がおおっ!という声を漏らした。勘十郎は変わらず無表情だ。

四人が頭を下げた。


「有難うございまする」


『有難うございまする!!』


「だが何の罰も無しに許す事は出来ん。わかっておるな?勘十郎、どういった条件で謝罪を受け入れて貰うのだ?」


「はっ、二つ条件が有ります。一つは某の元に付いている者達を全て兄上にお返し致します」


「ふむ、まぁ妥当だな。して、もう一つは?」


「某の身分を足軽として頂きたいと思います」


「ほぅ、槍働きをすると申すか」


「はっ、一から初め、兄上の天下奪りに貢献したいと思いまする」


「相分かった、では明日からお主ら三人は清洲に出仕せよ。勘十郎は足軽の訓練に加われ」


「はっ!有難うございまする!」


ふむ家臣を手放し、城を捨てる事で当主には拘らないという暗示か。良く考えておるわ。……一体誰の入れ知恵であろうか。

やはり此奴大分変わった様だな。顔付きが以前とは別よ。目に光が有った。まるで別人の様だな。……それは無いか。昔の約束も覚えていた様だしな。にしても"兄上を天下人にする"か。

なかなか面白くなってきたのぅ。



―――



〜織田信勝〜



織田信長、兄が末森城を去って行くのを天守から見る。天守と呼ぶ程のものではないけど……。

……対談の結果は成功だった。なんとか俺の考えていた通りに終わった。しかし幾つか気になることが起きた。

まず目の前にさっきからプレートみたいな物が浮いている。これは俺以外には見えていない様だ。

そのプレートには



   〜稲生の戦い〜

  シークレットクリア



と書かれている。これ触れるのかな?

プレートを触るとまるでタブレットの様な感触だった。一応触れるらしい。文字の下辺りを押すと



  シークレットクリア特典


   技能習得:鑑定


   報酬:鬼切丸(太刀)



……RPG?急に世界観が……。取り敢えずこの技能?鑑定?を使ってみよう。……えっと、どう使うんだ?


「……鑑定」


ぼそっとこの刀に対して言うと、目の前にプレートが出てきた。



   名称:鬼切丸(太刀)


   攻撃力:15


   必要能力:筋力(15)、剣術(中級)


   補足:鬼の腕を斬ったと言われている刀

      大きさは二尺七寸



攻撃力が15……と言われても基準がよくわからない。しかし、大分大きいな。まだ俺に扱うのは難しそうだな。これバレたらヤバいかな。何処に隠そうかな……。

次は俺自身を鑑定しよう。……これ毎回口に出さないとダメなのか?ちょっと恥ずかしいんだけど……。


「……鑑定」


自分に意識を向けたまま『鑑定』っと言った。



 名前:織田勘十郎信勝(東郷泰人)

 レベル:4(38/100)

 年齢:20

 職業:織田家足軽

 状態:健康(高揚)

 体力:100/100 *0=死 MAX100 疲労でも減る

 筋力:13     *一般人の能力は 男平均15、女平均10

 頑強:8

 敏捷:16

 器用:18

 知能:23

 精神:30

 技能:剣術(初級)、弓術(上級)、百舌鳥使い(中級)、算術(初級)、鑑定(初級)、弁術・説得(初級)、超集中(上級)、急成長(固有)

 スキルポイント:6

 装備:無し



気になる事が多い……。織田信勝の名前の横に俺の前世?の名前がある。『鑑定』技能では騙す事は出来ないという事だな。

次に年齢は奇しくも前世の時と同じ年齢だな。偶然だろうか?

筋力と頑強が酷いな……。一般人よりも低いなんて。これでも一応武家の子の筈なのに……。

知能、精神が高いのは俺の影響だろうか。それとも元々……?

まあいいか。次は技能だな。これが技能ということになるんだろう。『剣術』や『剣術』の横の(初級)、(上級)は多分そのままだろう。……『百舌鳥使い』?……何だこれ?



      〜百舌鳥使い〜


  説明:百舌鳥を使っての狩りが上手くなる

    『器用・知能』に影響される

  練度:レベル11(0/2900)



……説明を見てもよくわからない。これは後回しにしよう。

『超集中』はいわゆるゾーンみたいなものだろう。多分これは前世の俺の影響だな。一応見てみるか。



      〜超集中〜


  説明:体力を20消費して全ての能力値+20する

     世界がスローに見える

  練度:レベル13(0/4600)



体力を20消費って代償が凄いなこれ。まあでも能力値+20は惹かれるものがあるな。世界がスローに見えるってのも面白そうだな。

最後にこの急成長を見よう。



      〜急成長〜


  説明:普通の人よりも10倍速く成長する事ができる


     

……え、これ強すぎないか?チートじゃん。普通の人の感じがよくわからないけど、絶対強い。まさかの異世界無双ならぬ戦国無双?


技能はなんとなくわかった。次はこのスキルポイントについてだな。



      〜スキルポイント〜


  説明:1レベル上がる毎に2ポイント貰える

     能力値や技能に割り振れたり、新しい技能を会得

     できる



ふむふむ、なるほどね。じゃあ早速割り振ってみよう。

まずは新しいスキルを見てみよう。何があるかな。



―――



大量にあった……。戦闘技能だけであんなにあるのか。非戦闘技能はまた今度にしよう。取り敢えずこのスキルポイントは剣術に割り振ろう。

剣術技能の練度がレベル1からレベル3に上がった。まだ初級のままだ。まだ初級から中級に上がる基準が分からないな。色々試さないと。


取り敢えず今日はもう遅いからこのまま寝よう。色々あって疲れた……。明日は朝イチで清洲に行って足軽の訓練を受けないと……。これからどんどん忙しくなるなぁ。

にしても、俺が戦国転生……か。実際目の当たりにすると、意外と冷静になれるんだな。もしかしたらまだゲームの気分でいるからかもしれない。てことはもしこれが現実だと心の底から分かった時の反動が怖いな。……めちゃくちゃ鍛えないと。

後二年後には浮野の戦いが起きる。その戦で活躍しないと予定が狂う。そして今から四年後には桶狭間の戦い……。恐らく勝てる、とは思うけど……。取り敢えず今出来る事を精一杯しよう。まずはいっぱい寝ていっぱい鍛える事だな。  

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[気になる点] 「筋力と頑強が酷いな……。一般人よりも低いなんて」 なぜ一般人より低いと分かるのか?
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