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プロローグ

俺はここで何しているのだろう。

暗い洞窟みたいなところに一人、目の前で輝く鉱石を自家製ハンマーで叩きながら考えた。

仲間に裏切られ、そして仲間が殺された。

その後は?

俺は何をしていたっけ?

魔物に襲われたんだっけ?

眼鏡どうしたんだっけ?

そもそも、ここはどこだっけ?

何も思い出せない。

精々覚えているのは、俺が異世界召喚したということだけだ。

そこで、高校二年の波野響は事の顛末を思い出してみることにした。



とある日の授業の合間に発生する休み時間。

学級委員長こと波野響は前の時間の数学の復習をしていた。

周りはゲームやらアニメやら、遊びの取り付けや何して遊ぶかなど多種多様な話題を取り上げていた。

くだらないな。

今の内から勉強しないと良い就職先に就けないというのに。

能天気なやつらだな。

そんなことを思いながら、数学の三角関数の問題を解き始める。


「響。まだ勉強してるの?」

「結花か。またって何だ、またって」

「もう、そんな感じだから友達いないんだよ?」


彼女の名前は山崎結花。俺の幼馴染だ。

この学級で人気があり、周りから「高嶺の女神様」と呼ばれている。

そんな彼女が俺に声をかけてくれるのは、幼馴染というステータスがあるからだろう。

だが、そんなステータスは必要ない。

そのせいで男子生徒の恨みを買うのだから。


「俺に構うな。それより友達の元に行きなよ」

「うん!わかった!放課後一緒に帰ろうね!」

「人の話聞いてた!?」


我ながらつっこみなどらしくないことをしてしまった。

まあいい、もう一度三角関数の問題を・・・


「波野。ちょっといいか?」

「・・・・誰ですか?」

「俺だよ俺、クラスメートの成川勉!」

「ああ、成川か・・・」


この男は成川勉。

忘れかけていたが、第一印象が爽やかイケメンで勉という名前だから勉学に励む同志かと思いきや全く勉強しないただの腐れイケメンだったっけ。

まあ、忘れもするわな。

俺は勉強と雑学にしか興味ないからな。


「それで要件は何ですか?」

「山崎さんの話なんだけど・・・」


またその話か。

男子生徒が俺に話かけてくる理由はこれしかないのか?

それ以外で話したことない気がするのだが。

腐れイケメンは続けてこう綴った。


「告白しようと思うんだけどどうかな?」

「は・・・・?」

「だから、告白しようと思ってるんだけど・・・」

「勝手にすれば?」


それ以外の言葉は見つからなかった。

したいなら勝手にすればいい。

だが、なぜだろう。

胸がざわつく。


「そうか、放課後にでも告白してみるよ」

「おう」


そう言い残し、成川は去っていった。

今日はなんだか調子がおかしいな。

告白の相談は何度かされたことがあったが、こんな気持ちは初めてだった。

いや、どうでもいいか。

もう一度、三角関数の問題に取り掛かろうと問題に向かったらちょうど良いタイミングでチャイムが鳴り響いた。


「復習の時間が無くなった・・・」


世界史の授業内に数学の三角関数を解くのは問題がある。


「仕方がない。世界史の教科書とノートを取り出すか」


そのタイミングで世界史の岩谷裕子先生が入室してくる。

岩谷先生はみんなから裕子先生と呼ばれていて、美人であることから生徒から絶大の人気を誇る。


「はい、携帯仕舞ってねー。授業を始めるよー」


その時だった。

教室全体が光に覆われ、クラス中が騒がしくなった。


悲鳴を上げる者や歓喜する者。

そして、何も言葉を発しない者。


こうして俺らは異世界召喚を果たしたのだった。





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