メタなる後書き
※ネタバレあり! まずは本編を読もう!
「……で、これの感想を言えばいいんですね?」
文藝部室は中央に机8基でできた島があるだけの狭い部屋である。
ヨミはその一番の上座、部室の入り口の丁度真向かい側の椅子にどっかと座って僕のノーパソを睨んでいた。
厳密にいえばwordファイルとして保存されている僕の小説を、だ。
「日吉先輩っぽくない小説ではありますね。 ただ、登場人物のネーミングが全部私につけた仇名みたいなセンスなのはあまりにも先輩らし過ぎて笑えて来ます」
ヨミの本名は綾辻鳩である。
彼女はもともとは知り合いみんなからハトハト呼ばれていたのだが、それを面白がった僕が『SIREN2』とかけてヨミ(もちろん夜見と書く)と呼び始めてから、鳩よりかは人の名前っぽいその名前を気に入ったのだった。
「ん~、いきなり双子が入れ替わってるのはなんかアンフェアというかなんというか」
「推理小説を名乗る書き物に双子が出てきたらまず入れ替わりを疑うもんだと相場が決まってる」
「先輩が前薦めてくれた『THANATOS』にはそんな話なかったと思うんですけど」
ヨミはまだぶつくさ言っている。
「残念だがあの双子はスピンアウトで似たようなことをしてる。 とにかく、登場人物の呼び方が違うんだからそこで気づくべきだったな」
『お嬢さん』⇔『断月さん』、『小野寺さん』⇔『燈子ちゃん』。
「う~ん。 まぁ一巻で大量の名詞を出してこないのはいいと思いますけどね。 多分二巻から出てくるって考えるのはいやですけど」
「SFミステリを少ない造語で書くことは不可能だろう。 一応ニューロマンサーはそこんとこよくやってるんだが、もうたくさん用語が作られているSCP財団の世界観では作風的に会わない」
「あと密室にした理由が結構こじつけっていうかなんというか」
「探偵に気付かせるために密室を作るのは新しいだろ? 事故とかその逆とかは腐るほどあるからね。 新しいことしなきゃ」
ヨミは僕の言葉を思いっきり無視して、またもぶっきらぼうに質問をしてきた。
「つうか、いの一番に行ったら絶対不機嫌になるから今聞きますけど、櫛位ヨヨってなんすか?」
「僕の名前のアナグラムだ」
hiyosikyou→kushiiyoyo、だ。
「因みにこの後どうなるんですか? これ」
「待ってましたぁっ!」
僕はポケットからノートのページを4枚分ちぎり取った紙片を取り出した。
『次回予告! 「CHANGE ICEBURG!」 「CHANGE BAKERY!」 「ARC-4051—jp 『宇宙のネロ』関連事案の発生が確認されました!」 「列野さんが、死んでる!」 『採点者7:落下フォームは素晴らしかったのですが、結局死に至らなかったというのがなんとも残念です』 「それではお聞きください。 『妖怪ディスコ』天帝のはしたなきPアレンジver.です」 「『感冒計画殺人事件』、『地球には馬鹿が多すぎる』、『ギルデッドクエスト概論』、『時計と毛糸刑と』……」 「プログレ系を得意とするアレンジャーに高圧的な態度で依頼をした自分を恨むがよい」 「ここで一句!」 「私とお付き合いしてください!」 「警察を介入させたら最後、ARC—4051—jpの効果により計り知れない犠牲を生むやもしれません」 「何をかいわんや!」 「ところが私にはアリバイがあります」 「そうよ! 私は元吹奏部員よ!」「犯人はこの中にいる!」』
「なんすか……」
天を指して音楽をかけることを要求しているかのようなポーズをとった僕に、ヨミが明らかに呆れた表情を見せた。
〈了〉




