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 第三十九章 『>突然の敵<』

 突然けたたましい警告音が鳴り出した。

 場の全員が変身アイテムを取り出した。

 それらは皆過去類を見ないほどに震え、発光し、全力で危険の接近を示していた。


 「どこだ!」


 ベンチに手をついて体をよじり、後ろを向く。

 この四阿は広い遊歩道に面しており、私たちが話し込んで言う白でもそれなりの数の人が行き来しているのが横目に見えた。

 今も道の上には上は60代くらいから下は高校生くらいまで老若男女15人くらいの人がいたが、彼らはみなその場に立ち止まってこちらをじっと見ていたのだ。

 一瞬今の私の動きが悪目立ちしてしまったのかとも思ったが、それだけで立ち止まって音のほうを凝視するようなことがあるだろうか。

 答えは否、少なくも私はそう思う。

 そういう違和感を覚えたのはほか二人も同様なようで、小声でお嬢さんが「まさか……」とつぶやいたのが聞こえた。

 途端、私たちから見て一番近くにいた女の子の左腕が発火した。

 その青い炎が左腕を焼き左の頬を焼くのに気を止める様子もなく、彼女はこちらに歩いてくる。

 私はサンダーボルトデストロイヤーマガジンをトウジョウマグナムに装填し、両腕でそれを構え、銃口を突き付けた。

 相手に止まる気配がないのを確認し、相手がやはり人間ではないということを確認して、私は引き金を引いた。

 ギターをかき鳴らした音(比喩ではなくマジで)が流れ、電撃弾が発射される。

 その途端、相手はその本性を現し、銃撃を避けた。

 相手の本来の姿はいまだ人間の形をしていた。

 しかし左腕は原形をとどめておらず、その本性は肘関節より前が漫画『PSYCHO-PASS』に出てくるドミネーターによく似た大型の連装レーザー砲にレーザーブレードが合体したガンブレードになっている漆黒の機械腕だった。

 灼けた左頬には、ガンブレード部分と同じ浅葱色の発光パネルで、電卓フォントの『001』が象られていた。

 奥の人々も相次いで左腕が青い火に包まれしていく。


 「ビンゴ!」


 『Liberater! Brockbust! Bomber!』 『空よりの襲撃者 スコーチB-52フォーム!』


 私はドーンバーンを振りかざし、目の前の怪人に思いっきり振り下ろした。

 飛行機の翼を模した重剣で袈裟斬りにされれば、まともな人間はひとたまりもない。

 相手の能力も所詮一般人に毛が生えた程度だったらしく、そのまま心臓まで刃が到達し、止まる。

 剣の鍔になっている大型のプロペラエンジンを起動させ、そのまま体を切断した。

 爆発が起きる。

 変身によって超強化された反射神経によって、私はそれを悟って飛び上がり、空中に避難する。

 ミサイルランチャーの銃口を奥のほうの怪人に向け、引き金を引く。

 ロックオンした後ろの四人が爆散する。

 その時他の二人がほとんど動いてないことに気づいた。

 気が利かない二人に若干不満を感じながら、私はトウジョウマグナムを天に掲げ、引き金を引いた。

 カチッ。

 不発。

 カチッ。

 もっかい不発。

 特撮において必殺技が封じられることはそうあることではないが(打てるけど効かないことの方が多い)、私にはその可能性が一番大きいように思われた。

 舌打ちをしながらスカートのボムサイロを起動し、残り全員を吹き飛ばす。

 生き残りがいないことを確認して垂直に降下し、着陸。

 二人は変身すらしていなかった。


 「何があったの?」


 「変身アイテムが動かない」


 「これがあいつらの能力のようね」


 二人の言葉を聞きながら私は変身を解除した。

 焦土と化した大地が一瞬で原状を回復した。

 クリーム色のタイル敷きの道の上に奴らの発光部と同じ浅葱色の光を放つクリアパーツと金属が組み合わさったカードが沢山、ちょうどさっきの怪人の人数と同じ数落ちていた。


 「36……?」


 拾い上げてみるとクレジットカードみたいな質感だったそれには、すべてその数字が印字されていた。 


  

  ―――――――――――――――――――――――――――――――――

    


 「ふっふっふ……、全滅したか。 まぁ、このくらいやってくれないとこちらの計画に差し支える」


 男は遠くからそれを見ていた。

 手の中の注射器をトスしながら、男は彼らの苦痛の元となるだろう存在が正常に成長していく事に快哉の笑みを浮かべた。


 「では、もう少し派手なことをしようかな」


 男はポケットから『36』と書かれたカードを一枚取り出し、それを幾枚にも増殖させた。


 「ふっふっふ、矢張りこれは便利だ」


 男は陶器をコートにしまうと、それらを起動させる準備を始めた。



  ―――――――――――――――――――――――――――――――――



 ARC機構の機動部隊世-七『掃除人』はその名から想像される二つのお仕事の片方、すなわち邪魔者の命をお掃除する方ではなくなんかあった時の後始末を生業とする部隊だ。

 海外の特殊部隊の隊員の着るアーマーのようなスーツを身に纏った彼らは戦闘のあった一角を封鎖し、散らばった『36』のカードを拾い集め、一つ一つ丁重に梱包していた。


 「ARC-001 『36』。 やはり彼らは、これが改造されたものだろうな」


 「何それ?」


 電話をかけ終わった私は、スマホをベストのポッケに仕舞いながら言った。


 「我々が収容している人型実体の……、まぁ一つだ。 オブジェクトクラスはHumanoid。 彼らは殆ど普通の人間と同じ存在だが、異常存在を無力化する能力を持っている」


 「じゃぁ、それで正解じゃん」


 「そうだと言っているんだ」


 一機動部隊のリーダーである燈子ちゃんは同じ機構の職員を前にして、さっきまで可愛かったのに今は厳めしい佇まいで『掃除人』の隊長と情報を共有している。

 ギャップ萌えとは厳格な感じの人が思いがけず可愛いことをするから生じるので、差し詰めギャップ萎えである。


 『いや、そもそもギャップの向こう側にいるのが可愛い方だから今のは差し詰めギャップ萌えの振り戻しだろ』 


 はっ!

 誰かと思えば脳内にいる私の片割れがそう突っ込んできていた。

 それもまた正論だ。

 ……ん?


 「その人たちに触れられたとして、なんか変な想像が進む副作用ってある?」


 「進んでるのか?」


 二人が明確に警戒を強めた。

 まさか燈子ちゃんに萌えていたとは口が裂けても言えないので、適当にあしらう。


 「それは中程度のミーム汚染の効果が、渡したお守りによって軽減された時の症状だ。 ……しかしお前が今そう感じているということは、かなりの能力を持っている奴が近くで悪さしてるという意味になるんだが……」


 突如トウジョウマグナムが強烈な光と警告音を発し始めた。


 「上だ!」


 機動隊員の一人が天を指さして叫んだ。 そのまま私達も空を見上げた。


CC BY-SA 3.0に基づく表示


SCP-001

Djoric-Dmatix Proposal

by Djoric 及び Dmatix

http://www.scp-wiki.net/djoric-dmatix-proposal

http://ja.scp-wiki.net/djoric-dmatix-proposal

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