第8話:T.P. 「未知との遭遇」(挿絵つき)
夢を見た。
どんな夢だったか、詳しい内容まではもちろん覚えていない。
夢なんてそんなものだろう。
ただ、どんな方向性の夢であったのかは
案外、起きた時の最初の気分で分かるものだったりする。
少なくとも、今回の夢は・・・ 良い夢だった。
私は、寝起きが余り強い方ではない、というか弱い。
ゆっくりと身体をくねらせ、上半身を起き上がらせてはみたものの
視界はぼやけ、目は座っていた。
異世界に来たこともすっかり忘れ、習慣的な起床行動を始めようとする。
まず、いつものように掛け布団をめくって、布団から出ようとして・・・
ここで、自分が異世界に来ていたことをほんのり思い出す。
思考が止まり。
布団をめくる手も止まる。
というか今・・・
私は何から出ようとした?
そこで、視界と思考が一気にクリアになる。
慌てて、状況を確認しようと立ち上がる。
そして、そこにあったのは・・・
まるで、花畑のように一面に広がるフワフワの絨毯と、布団だった。
寝起きの悪さもあって、状況をすぐには整理できなかった。
かなり長い時間、呆然としてた。
しかし、それでもゆっくりと昨日の出来事を思い出してゆく。
そしてゆっくりと・・・
これが、トイレットペーパー君の優しさから来るものだと理解した。
恐怖の対象からの手厚いもてなしをされたのだ。
当然、一気に緊張の糸も切れる。
足の力が抜けて、私はぺたんと座り込んむ。
安心で、緩んだお腹も、産声を上げた。
「お腹・・・すいた・・・。」
ズボンの中にチョコレートがあったことを思い出し、腰の横をまさぐる。
当然、そこにはポケットも剥ぎ取られたズボンもあるはずがない。
ズボンが剥ぎ取られていたことを思い出し
気を取り直して、ズボンを探そうと辺りを見回し始める。
見回し始めて・・・
遠くから近づいてくる・・・
小さな何かを見つけた。
目を凝らしてみて見たそれは・・・
赤い実を・・・
頭に乗せてトテトテ歩いてくる・・・
・・・二等身のホウタイ男だった。
まーた挿絵入れちゃったよ。
でも、今回は健全。
紳士にはごめん。