第82話:綻び、繋ぎ合わせた信頼と、断ち切る暴風
「考えることは一緒だったと言う事ね」
「……みたいですね」
マイノちゃんへの貢ぎ物を買うべく。
フィオナちゃんに教えてもらった雑貨屋へと足を運んだわけだが、そこには馴染みの顔があった。
いや、馴染みではるはずだが、なんだか久々に顔を突き合わせた気がするよ……エリック。
「と言うか、エリックは帰りが遅くなっちゃダメでしょ?しかも朝帰り。
まぁ、そういうお年頃だしぃ?私も深く突っ込む気はないけどさぁ~」
「ハハッ……すいません」
……違うでしょ。
「あなたに言われる覚えはないですよ!?」とか「そんな事してませんよ!?」とかでしょ?
それより先に、心配性のエリックなら自分の事は度返しで説教垂れる様なKY男だったでしょ?
骸骨ジジイことグラウのじっちゃんと会って何かがあった、それからだというのはわかってる。
最初は時間が解決してくれるだろうと、そう楽観視していた。
だが、私は気づいたのだ。
日が立つごとに私たち、いや……私を避けようとしてる事に。
「エリック、このあと用事とかないよね?」
「いや、今日はちょっと……」
「そうか、ないな。じゃあ付き合ってもらおうか」
「え、あっ……ミコトさん!?」
雑貨屋のおばちゃんの手助けで、マイノちゃんへの貢ぎ物はそれぞれ買えた。
後は、この馬鹿をどこかに引っ張って行って、問題の何かを解決するのみだ。
「ミコトさん……離してください、ほんとに用事があるんですよ」
「それは私が許さないんで、勝手に離れたらここで脱ぐから」
「ハッ!?」
そうだ、そういうキョドる感じこそエリックよ。
しかし……取り敢えず脱ぐって、対男には威力半端ねぇぜ!!
「言っとくけど、脅しじゃなくてマジでやるからね。てか既に1回やったことあるし」
「勘弁ください……」
適当にエリックを連れまわしていくうちに、人気のない噴水広場へとたどり着いていた。
普段なら長居してもいい事はなさそうな場所だが、今話し合うにはちょうどよい場所だ。
「さて、エリック。何を私が聞きたいのかはわかってるよね?」
「……」
「エリック、私に対して何か言いにくいことを抱えてるってのはわかるんだよ」
「……っ」
「私だって話したくないことを無理やり聞き出すのは本来したくはないよ?
でもね……エリックがエリックでなくなる程抱えちゃったら、もうそれは出来ない」
「……」
「そこまで抱えちゃうような事ってのはね、もう抱え様が吐き出そうが何かは変わるんだよ。
だったらさ……抱えられるより、吐き出して欲しいんだよ。
結果がどうかは関係ない、それが……友達だって私は思うんだ」
「……わかりました」
「……エリックっ」
「ただ、当然良い話ではありません。
それに、まだ迷ってるんです……もしかしたら、僕はあなたの味方になれないかもしれない」
「かまわない……てか、思ったよりも相当重そうな事抱え込んでるみたいだね……。
そんなもん、エリックに抱えきれるわけないでしょ?馬鹿だなぁ」
「そうですね……そうだと今なら思えてきました。
すいません、最近身の丈に合わない環境に奢ってたのかもしれませんね。
ミコトさん……実は……」
やっとつっかかっていた小骨を取り去ることができる。
待ち受ける結果なんて関係ない、ただそのことが嬉しくて
―――安堵しすぎた。
こんな場所で油断しきっていた私とは違い、エリックは即座にそれに反応した。
そして、私をそのナイフから庇って……硬い地面へと倒れ込んだ。
癇に触る嘲笑が近づいてくる。
何で今更お前たちが……何で神とはこう……くだらない催しをしたがるのか。
ぶっさいくな大男に、ヘラヘラして己がどれだけ罪深いことをしたかも理解してないチャラ男。
他にも知らない男たちがゾロゾロと湧いている様だが、そんなことは関係ない。
何だっけ……銀色の糞だっけ?まぁ、とにかく……死に晒せや。




