第6話:トイレット・ホラー・パニック(挿絵つき)
前回のあらすじ。
私は何も悪いことをしていないのに、トイレットペーパーが襲ってきた。
誠に遺憾である。
以上。
いや、ごめん。
真面目な話をすると・・・
奴は、私のナイスキックによって天高らかに蹴り上げられた上空10m付近で
まるでパーティクラッカーの如く爆散した。
それと同時に、何本もの薄平たい触手が弾けるように全方位に伸ばされ・・・
「ひっ!?」
私は顔真っ青で悲鳴を上げていた。
正確には、奴の触手が5mほど伸ばされたところで
身体中に危険を知らせる信号ためが駆け巡り
伝えられた電気信号は、私の恐怖に満ちた悲鳴へと変換されたのだ。
―――トイレットペーパー如きに何をビビっているのかって?
いやだって、本当に・・・ヤバいと感じたのだ。
突然だが
クマとスズメバチ、『あなたはどちらに襲われる方が怖いと感じるだろうか?』
私は断然・・・・・スズメバチだ。
何故ならば
スズメバチは、恐怖という感情を持ち合わせていないからだ。
恐怖を感じない生物は、行動のリミッターがない。
仮に自分が死ぬとわかっていても、キレた奴らは全力で殺しにかかってくる。
しかも、奴らには喜怒哀楽を読み取るための、表情や声色がない。
つまり私たちは、奴らが今何に対してどのくらい怒ってるかが
全くもって分からないのだ。
だから、私はオークよりもコイツの方が怖い。
確かに、コイツが今現在キレているという事は私にもわかる。
と言うか、コイツに感情が在ったというのなら、キレていて当たり前だろう。
ただ、どのくらい奴がキレているのかはまるで分らないのだ。
つまるところ、捕まったら何をどうされるのかが本当に怖いのだ。
―――恐怖を実感した後の私の行動は、実に素早かった。
奴がどんな方法で攻め立てようとしているのかまでは、まるでわからなかったが。
少なくとも、奴は・・・
水が弱点なのではないか?と考えていた。
―――だから私はすぐに背を向けて、湖の方へと全力で走り出した。
相当に慌てていたので、足元がおぼつかず
逃げ惑う様な情けない走り方になってしまっていたりもするが
そんなことは知ったことではない。
奴の飛ばした紙の触手たちが
私を捉えようと、そこら中に降り注いでいる光景が視界に映る。
捕まった未来を想像して、私の身体はこれでもかと言うほど震え上がる。
それでも、絶対に捕まりなくはないからこそ、心を強く持とうとした。
―――だが、そんな決意もあっさりと無意に帰される。
奴の一陣が、私の頭部に降り注いで来たのだ。
私に降り注いだ紙の触手は、頭部を這うように絡みつき、口をも塞いでくる。
呼吸器官を責められたことでパニックになり
慌てて、両手で取り払おうとする。
所詮は薄っぺらい紙だ。
オーガとは違って、私の弱い力でも、簡単に取り払える。
実際、このトイレットペーパーは手で取り払おうとすれば
何の抵抗もなく、掴んで、移動させることができたのだ。
だから・・・安易に考えてしまった。
―――そして、現実を知った。
私は奴を・・・投げ捨てることができなかった。
トイレットペーパーは薄く、平べったく、そして軽い。
つまりは・・・
軽すぎるのだ。
軽すぎて・・・何度投げようとしても、恐怖の紙が身体からまるで離れない。
その恐怖心を煽るように
頭部から引き離そうとして別の部位に追いやった触手はゆっくり・・・
ゆっくりと、私の口を塞ごうと身体を何度も何度も這い上がろうとしてくる。
私は恐怖に侵されながらも、恐怖から逃れるために別の作戦に切り替える。
今度は捨てようとは考えず、全部を手で掴んだままにしようとした。
―――だが、それでもダメだった。
奴ら、ゆっくりとではあるが、ジワジワと伸びてくるのだ。
しかも・・・・・無限増にだ。
急いで更に次の打開策を考える。
今度は、全部をクシャクシャに丸めてやろうと考えた。
こうして丸めてしまえば、重さができて
投げれるようになるじゃないかと、名案だと・・・思っていた。
―――だが、その微かな希望すらも一瞬で砕かれる。
投げた瞬間
嘲笑うかの様にその悪魔の塊は解けて、元の大量の紙束に戻ったのだ。
そして、進行方向の斜め横とは言え、前方に投げたのがまずかった。
大量の紙の触手は、私の前方に展開するように広がり・・・
―――私の両足を包み込んだ。
それが、トイレットペーパーと私の戦闘終了の合図となった。
何が起こったのかと言えば
両足を包み込んだ紙の触手が、ぐちゃぐちゃに巻きついて、絡め取ってきたのだ。
知らない人もいるかもしれないが
人間というのは、走ってる途中に一瞬でもバランスを崩されると
呆気なくコケてしまう生き物だ。
当然、それはトイレットぺーパーみたいな柔らかなものでも可能である。
そして、地面へと倒れた衝撃と共に
非情な現実が
圧倒的な絶望が
私に突きつけらていく。
身動きが取れなくなった無防備な私に
後方から迫っていた追撃部隊がのしかかり。
追撃部隊の大量の紙の触手が、勢いよく私の服の中に入り込んで来る。
この間も、目の前で起こっていく未知の恐怖に私はただただ震えていた。
そして大量の触手は、私の服をはち切れんばかりに膨れ上がらせ・・・
全ての触手が入り込んだのを合図に、それが一気に収縮する。
紙の触手たちは自身を雑巾のように絞り込み・・・
服の中でその形状を変化させた。
そしてそれがどんな形状かは、肌に触れる感触で察することができた。
何故ならそれは、私の知ってる物だったからだ。
それは運動会のとある競技でよく使われるアレ。
だから私はすぐに理解した。
―――あぁ、これ綱引きの時に使う・・・しめ縄だなって。
こうなってしまったら、これから起こることを潔く享受するしかなかった。
何であんなことしょうもない事してしまったのかと
本当に浅はかな行動をしたなと
私は今・・・物凄く後悔している。
そして、そのか弱い身体を無様に震わせ
あまりの恐怖に恥も外聞もなく・・・・・催した。
―――これから先に行われることは・・・
トイレットペーパー側による、一方的で、無慈悲な、しつけである。
エロ同人みたいな展開にワクワクされている方もいるだろう。
これから始まることが、本当に、ただ気持ちの良いだけのエロ同人展開ならば
私だって、何だかんだで歓迎していたかもしれない。
しかしだ。
現実は甘くはない。
肌に触れている奴らの感触は、本物のしめ縄と変わらぬ硬さと感触があり
触手の締め付けに込められた力の加減は、これから始まる仕置きが
そんな生温いモノではないことを物語っていた。
そして私はこの日・・・
生まれて初めて体験する痛みに、絶叫した。
まさかの挿絵付き。
描写や挿絵に関して、この程度ならガイドラインに沿ってるとは思うのだけれど
具体的な程度はわからないので、ちょっと不安だったりします。
最後リョナっぽくもありますが、言うてソフトリョナ程度です。
ここまで来たら感覚で、無理やり投稿したので
校閲もしたにはしたけど
今回、ちょっと文章が所々おかしいかもしれない。
後で直すと思うけど、読みずらかったらごめんなさい。
<追記>
1月10日 10時48分
寝起きスッキリでちゃんと校閲しました。
校閲して、かなり別物の文章になりました。
てか文章めっちゃめちゃくちゃだった
ごめんなさい。
あと、予告を言い忘れたんだけど
次回、なんだか、結構エロくなりそうな予感がするぅー