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神よ、与える前に考えてくれ、トイレットペーパーは武器じゃないっ!  作者: エッチな思考の鈴木
第三章 前進は異世界宿屋と共に
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第61話:談話、馴染みの店と、馴染む心





「すまねぇ、もしかして待たせちまったか?」


白髭を生やし、小柄だが筋肉モリモリマッチョマンな男が店の奥から出てくる。

その眩しく輝く頭を晒しながら。


「嬢ちゃん。気になるのはわかるが、そう俺の頭を見つめてくれるな。」


「ハハハ……ごめんなさい、つい。」


どうやら物腰柔らかな店主であるようで、私はホッとする。

まぁ、エリックの首を狩りに行った息子さんも好青年だったので、そこまで不安ではなかった。

頭については、申し訳なく思う。


「それで?あんたがエリックの坊主のとこに居候になってるって言うミコトさんか?」


「あれ?何でわかったんですか?」


「いやまぁ、こっちも現れたのがこんな若い子で驚いてはいるんだがな。

 名前からして女だとは思ってたが、まさかあのエリックにそんな度胸があったとはなぁ……。」


「凄い言われよう……。」


店主の話を聞く限り、エリックは店主に、私の名前だけを教えといたと言った感じか。

でも、この国って結構西洋風だと思うんだけど、ミコトって名前から女だとわかるものだろうか?

そもそも、息子さんの方は私が女であることも初めて知ったって感じだったし。


「店主さん、私の名前ってこの辺じゃ聞きなれないと思うんですけど、どうして女だと?」


「ん?まぁ、聞きなれないっつった聞きなれないがよ。

 昔、南方で嬢ちゃんと同じ名前の子にあった事があってな。」


同じ名前……まぁ、名前程度なら気にすることでもないのかもしれない。

こっちに来てる日本人もちらほらいるみたいだしね。

グラウのじっちゃんとか、前に話で出てきたふざけた名前の大英雄様とかさ。

こっちに来てるのは彼らだけとも思えないし、日本文化は結構浸透してしまっているのかも。


だがそうなると、日本料理でひと山当てようと思ってると先駆者がいる可能性も出てくる。

この辺りは田舎っぽいし、大丈夫だとは思うけど。

競争相手がいるかもしれないと言う事は念頭に置いておこう。


「どうした嬢ちゃん?急に難しい顔して。」


「……あっ、ごめんなさい。ちょっと思うところがある情報だったので。」


「……なぁ、嬢ちゃん。俺と前にも会った事ねぇか?」


「え?……それはつまり、例のその人が私であると?」


「そうなんだよな……その人に声が似てるような気がしてよ。

 まぁ、40年近くも前の話なんだけどよ。」


「店主さん……いくらなんでも、私がそんなに年寄りに見えます?」


「いや、そりゃそうだよな!ガハハハッ!わりぃ今のは忘れてくれ!」


声が似てるなんて言うほどだから、その記憶自体曖昧なのだろう。

しかし、似てると思う起因としてその人間が日本人だったという可能性は十分ある。

となると、異世界転生者としては私は結構な後輩なのかもしれない。


グラウのじっちゃんもここにきてから長そうだったし。

そのあたりの事を今度グラウのじっちゃんに聞いてみようかな。


「話がそれたが、エリックに頼まれたもんは店の裏にあるからよ。ちょっとついてきてくれ。」


「あっ、はい。お願いします。」


店の裏に行くと大きめの納屋があり、その中に例の物があった。


「使ってから大分経ってたしよ、ついでに屋根もつけてちょっと直しては見たんだが。

 元が武具の見世物台だからよ、屋台と言えるかわからない代物なのは勘弁してくれや。」


そう店主が紹介してくれた木製の移動式屋台は、言葉に反して十分に立派な物だった。

武具の見世物台と言うだけに装丁はシンプルではあるが。

装飾だけならば自分たちでもやりようはあるし、屋根をつけてくれただけで相当ありがたい。


「いや、十分立派ですよ。寧ろ屋根とかつけて頂けて、とても助かります。」


「そうか、そりゃあよかった。じゃあ遠慮なく持っててくれ。」


「ありがとうございます。これ、お代です。」


私がそう言って懐からお金の入った袋を差し出すが、店主は受け取ろうとはしない。


「お代はいらねぇよ。あいつは昔からの馴染みだしよ。

 しかし相変わらずの堅物だなぁ、あの坊主は、ガハハハハッ!」


豪快に笑う店主に不思議と心が温かくなる。

この鍛冶屋に来てみて、エリックの周りには良い人もいる様で私は安堵した。


「まぁ、そういうことだからよ。俺の名前はドーヴ=ゴドウィンだ。

 これから長い付き合いになるとは思うが、よろしくな嬢ちゃん。」


「ミコト=ミヤウェーです。こちらこそよろしくお願いします。」


「ところでよ、嬢ちゃん……。」


「はい……?」


「やっぱあんた、エリックの()()なのか?」


そう右手の小指を立てて、首をすくめるドーヴさんはちょっと可愛らしかった。

でも残念、一緒の家には住んでいるがそういう関係ではないんだなぁ。


ドーブさんの残念そうな顔を拝んでから私はこの場を後にする。

そして少し歩いていた後。

シャッハ君を使って店でしでかしたを思い出し、私は申し訳ない気持ちでいっぱいになる。



今すぐには不可能だが。

この試みが成功した暁には、真っ先にお礼の品を持って行こうと決意する私であった。



ギリギリセーフ!

いやほんと、最近提出遅くてすまんのう。

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