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神よ、与える前に考えてくれ、トイレットペーパーは武器じゃないっ!  作者: エッチな思考の鈴木
第三章 前進は異世界宿屋と共に
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第54話:協力プレイ、揺れる心と、我儘な幸せ




男が目を覚ますとそこは、見知らぬ部屋だった。


部屋中が本棚でびっしりのことから、書斎か古本屋なのかはわかる。

また、特に拘束されているわけでもなく、ここが檻の中と言う訳でもない。

幾ら見知らぬ部屋とは言え、本来ならば怖がるものではなかった。


しかし……立ったまま眠っていたと言う事実が、彼の身体を急激に冷やしていく。

ここまでどのようにして来たのかと言う記憶の欠如が、彼の胸を鷲掴む。


だが何よりも……彼女がいないだ。

その事実がどうしようもなく彼の心を不安にさせ、彼の挙動をせわしなくさせる。

だが事実は、早く彼女を見つけて安心したい彼を更に不安の底へ突き落す。


部屋の赤い絨毯一面に、白い物が散らばっていることに要約気がついたのだ。

彼の相棒の残骸がある以上ここで起こった事が、緊迫していたのは事実。

自身がここにいる理由も対峙した者の力の強さが起因していると察してくる。


己の愚かさを叱咤しつつも、彼は大切な女性の名前を呼びかける。

だが、彼女の返事は返ってこない。

それでも彼は、必死に呼びかける。

だが、彼に応答する声は返ってこず。


代わりに……奥にある扉から女性の悲鳴が聞こえた。


彼は唇を強く噛み、その扉へと駆け走る。

そして、後悔と怒りで扉を開いたその先には……。





―――テレビゲームで対戦している、骸骨老人とミコトがいた。


「また、負けたぁぁぁああああああ!」


「フォッフォッフォ!

 超銀河ウルトラ大戦でわしに勝とうなど2千年やはいわいっ!」


余りの悔しさに仰け反ると、驚愕で固まっているエリックを見つける。


「あっ、エリック……おはよ?」


「……。」


返事がない、ただの屍の様だ。


「そう言えば、坊主の事を忘れていたのう。すまなんだすまなんだ。」


「まぁ、この状況を見れば、こうもなりはするよねぇ……。」


「ミコトちゃんに至っては、バニー服だしのう?」


「それをお前が言うな。」


そうなのだ。

現在私は、骸骨爺さんに敗北した罰としてバニーガールの服を着せられている。

ちなみに、胸元はゆるゆるで胸チラ加減がヤバい。

いい趣味してるよ、この爺さん。

あ、勿論これは褒めているのではない。


「と言いうか、驚いてるのはグラウじいさんの顔でしょ?」


「なっ!このすべすべで美しい最高のホネリティを見て何と失敬なっ!

 じゃが、ごもっとも!」


「自虐ギャグがすごいな。」


ちなみに、この面白い骸骨爺さんの名前はグラウ=ラッセル。

なお、本名は幸島博房。

つまり……ゴリゴリの同郷の民だ。


グラウ爺さんはこの見た目から、隠れるようにしてこの場所に住んでいる。

人目に付きたくない深い事情があるようで。

故に魔術で食料を持つ人間を誘い込んで、今まで生計を立てていたらしい。


で、私たちもその一人になったと言う訳だ。 

話によれば、手荒な真似はせずにそのまま返してくれたようで。

どうやら、私は無駄に怖い目に会ったと言う訳だ。


「と言うか、さっきからめっちゃチラチラ胸見てるだろ?」


「フォッ!?わしのチラ見がバレたじゃと!!

 お主もなかなかやるのう……。」


「お主もやるのう……じゃねーよ!

 と言うか、中身の事知ってる癖によくそんな気が起こせるよな……。」


そう、同郷と言うこともあり。

私が本来男であると言う事も彼には伝えてある。

隠し通せそうもない嘘ならば、不信を買うこともないだろうと思ってだ。

だから、男と分かってて、エロい目で見てくるこの爺さんの気持ちがわからん。


「それはそれ、これはこれじゃ。

 と言うか、目の前に美女がいて反応しない方が変じゃろ?」


「……そう言うものなの?」


「男心がわかってないのう。」


男心が分かってないとは、何とも心外だ。

もしかしたら、ミコトちゃんの感覚に引っ張られてるのかもしれない。

最近は言葉に関しては、昔の口調を取り戻してるし。

自我も少し取り戻してるって思ってたんだけど……そうでもないのかも。

ちょっと辛い。


「なんじゃ?急にしけた顔になりおって。ポンポン冷えたかの?」


「ポンポン言うな。てか、そう言うならこの服もう脱ぎたいんだけど?」

 

「仕方ないのう……じゃあ、ナース服と巫女服どっちがいいかの?」


「そうじゃねーよっ!!」


グラウ爺さんとコントをやっていると、ストッキングがちょんちょんと引っ張られる。

気づいて見れば、可愛い我が子がテレビの方を指さしながら跳ねている。


「おやおや、その子はソレが痛く気に入ったようだのう?」


グラウ爺さんが言った通り。

シャッハ君は何故だかわからないが、テレビゲームが大変お気に召している。

キャラクターが動いているのが楽しいのだろうか?

それは良くわからないが、初めて示してくれたシャッハ君の我儘が……とても嬉しい。


「グラウ爺さん、対戦以外のゲームある?」


「あるにはあるが、子にゲームを勧めるのはどうなのじゃろう?」


「それはそうなんだけど、こんなに楽しそうなシャッハ君初めて見たからさ。

 ……ね?お願い。」


私は手を合わせて、小首をかしげてお願いする。


「お主が一番、女であることを利用してるのう……。」


「ごもっとも。」


ホント、自身が一番。女であることを、ミコトちゃんであることを使ってる気がする。

あ、もちろんデアクレアもね。


自分の身体でもないのに、大分酷使している気もするし。

女として味わいたくない苦痛も合わせた。

ルードに至っては……いや、本当に申し訳ない。


「ところで坊主はどうするつもりなんじゃ?」


「と言ってもさ。この通り……また気絶しちゃってるみたいだしさ。」


「まぁ、それもそじゃのう。」


こうして私たちは膝の上にシャッハ君を乗せ、再度テレビゲームを始める。

『火星のトッティDX』か……これならシャッハ君でもできそうだ。

グラウ爺め……なかなかいいセンスをしてるじゃないか。


何もかもが分からないまま気絶してるエリックには気の毒だが。

今、私は少し幸せだ。




コントローラーのボタンを押しては、はしゃぐ我が子に……ただ口角が緩んでいた。




最後のゲームの元ネタはスーファミのアレ。

デン、デン、デン! 0% 0% 0%


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