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神よ、与える前に考えてくれ、トイレットペーパーは武器じゃないっ!  作者: エッチな思考の鈴木
第三章 前進は異世界宿屋と共に
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第53話:死の宣告、イキ過ぎた賢者と、イキり過ぎた者





音を立てぬように、ゆっくりと、その扉のノブを引く。

橙色の温かい灯りが……私の視界を支配する。


その部屋はまるで、小さな図書館だった。


壁は隙間なく本棚で埋め尽くされ、その中に整理された美品。

上から照らす、古くも厳かなシャンデリア。

足元に引かれた赤い絨毯が、家主の人柄を浮き彫りにする。

そして……大きく吹き抜けになった部屋の中央から、私は下の様子を覗き見る。


その見晴らし台からは、私は探し求めていた男がすぐに見つかった。

ついでに言えば、その探し人をここまで先導したフードを深々と被った男もだが。


「ど~れどれ……。

 うーむむ……食材が多いのは良いんだがのう……。」


フードの男はエリックの事は無視し。

中央に置かれた机の上で、エリックが抱えていた荷物を物色していた。


目的は食料……ならいいんだけどなぁ……。

楽観視して最悪の事態になることは避けたい。




―――音のない浅い深呼吸で心を整える。


そして私は慎重に……フードの男を観察を開始する。


男は背中を向いているため、顔は全く確認できない。

だがそれでも、視界に映る情報からわかることはたくさんある。


まず男の着ているフードは、私の着ている様なボロっちぃ物ではない。

寧ろこの部屋の内装同様、派手ではなくも煌びやかな物だ。

さっきの話口調や猫背の立ち姿から鑑みるに、年齢は結構な年配。

ここに隠れ住まなければならないような事情を抱えてるとも考慮すると。

この男は高貴な生まれの人間……それとも、人から隠れたい人外か。


だが、この男の一番ヤバい所は……。

エリックをここまで操り誘導した怪しげで強力な力を有していると言う事だ。


……ヤバいレベルの魔術が使えそうな、熟練のお爺ちゃん魔術師。


こんな所かな?

冷静に分析して見たものの、返って心を乱されたような気がする。

微かに揺れるこの現象が、ただの武者震いであると思いたい。


結局は、正面からこの男と対峙するのはどう考えても悪手。

寧ろ、盗るものを盗ったら解放してくれるのを待って一緒に逃げるのが最良だ。




―――だが……そもそもだ。


いくら隠蔽装甲で景色に溶け込んでいるとは言っても、すぐにバレると思ってたのだ。


だって、部屋に入るためにはドアの開け閉めするからさ。

いくら静かにやったとしても微量の音や隙間風は生じちゃうわけで……。


結局、相手は……お爺ちゃんなんだよなぁ。


しかも魔術師、つまりは後衛職であって……組みついちゃえば、勝てるんじゃないかなぁ?

ご丁寧に背中まで見せちゃってくれてくれてる、この優しさよ。

しかも足元には、下へ降りるための階段まで都合良く用意されちゃってさ。

ここまで神様にセッティングされちゃあさぁ……。


奇襲するしかないよなぁ?


たかが食材、されど食材なんですわ。

それに、戦いもせずにおめおめと逃げるのは男らしくないし。

ま、そう言う事だからさ……悪いな、爺さ……。




―――だが……静かに踏みしめた右足が、ギシリと音を響かせる。


爺さんがこちらを……振り返える。


そして、目と目が合う。


いや……目と目が合ったというのは嘘だ。

なんせ、その爺さんには目玉がなかったし。

更に言えば、その男は爺さんですらもなかった。

髪なんて物も、まして皮膚なんて物も存在してなかった。


だって、そのフードから見えた白い何かは……険しく歪んだ、骸骨だったのだ。




―――行動は早かった。


バレてしまった以上、組み付きは不可能。

よって、頼るべきは……。


「シャッハっ!!蛸足拘束(オクトホールド)っ!!」


骸骨男へかざした右手からシャッハが解かれ。

その勢いのまま、骸骨男目がけて無数の白蛇が飛び掛かる。

攻撃第一アタックワンの準備段階が、この距離ならギリギリいけ……。


「エッ、気圧弾エアバレットッ!!」


無詠唱の魔法が、シャッハ君の攻撃を通り抜け、私の身体を吹き飛ばす。


「……がはっ!?」


私は一直線に吹き飛ばされ、元来た扉に身体を打ち付けられる。

薄ぼけた視界と耳の中を駆け巡る耳鳴りが、意識の混濁を認識させる。


「魔法の無詠唱は無……って、エリッ……聞いたんだけどなぁ……。」


ありえない可能性による、やるせない気持ちを吐露しながら。

私のぼやけた視界に、あのバケモノ爺さんが映り込んでくる。


「無詠唱、出来てしまうんじゃのう。これも年の功と言う奴じゃ。

 まぁじゃが、判断の切り替えの速さは素晴らしかったぞ?」


険しかった顔が、粘土の様にぐしゃりと逆さに歪む。


「まぁまぁ、そう言う事じゃからの……すまんの、若いの。」


白く細い指が、私の顔を覆う。

そして肉のない腕で……老人に扮した化け物が私を軽々と持ち上げた。


「あ……あぁ……。」


目の前を支配する恐怖に、私の喉は締まり、言葉なき声を垂れ流す。


これから……どういう殺され方をするのだろうか?

そもそも……殺してもらえるのだろうか?


地面に何かの力でひれ伏されているシャッハ君を見ながら。

私は選択を大きく間違えたことを、その身と共に実感する。


その死神は……空いた方の手を私の太ももに添え。

小刻みに震える私をその人差し指でゆっくりと上下になぞり。

……そして最後の言葉を宣告する。



「さて……お主にはどんな調理が似合うかのう?」



何かエロい感じに話が出来ちゃいましたねぇ……。

我ながらいい感じに書けたんじゃないですかねぇ……。

でも油断ダメ絶対ですかねぇ……。

でもやっぱり油断したので、朝投稿できなかったのは許してください。

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