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神よ、与える前に考えてくれ、トイレットペーパーは武器じゃないっ!  作者: エッチな思考の鈴木
第二章 動き始めた異世界生活
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第34話:初めの一歩、気が利くイケメンと、ムカつくブサメン





料理なんてチャーハンとインスタントしか作ったことない私は・・・。

早々に知識チートを手放し、地道な再建計画を開始した。




「お兄ちゃん、お姉ちゃん、いってらっしゃい。」


マイノちゃんの見送られて、私とエリック君はボロ宿を出発する。

マイノちゃんの表情は少しだけ笑顔を取り戻せていた。

だからこの笑顔の期待に・・・私はしっかりと応えてみせてたい。


ちなみに、私たちがこれから行こうとしているのは・・・冒険者組合だ。


ボロ宿屋を改修工事するにしたって、お料理研究するにしたって

何をするにもお金は必要なのだ。

まぁ幸い、こちらには冒険者の先輩と最強のシャッハ君がいるし!

だから、大丈夫っしょ!!

と、意気込んでみたものの・・・



―――その頼れるはずの先輩冒険者はと言えば・・・


死人の様な顔をして猫背で歩ていた。


「エリック君さ・・・。

 女に尻叩かれて情けないからって、不貞腐れるのやめない?」


「・・・えっ?あっ・・・いや、違います!!

 そうではなくて・・・本当に冒険者をやるんですか?」


あー・・・その顔は不服ではなく、不安だったのね。

んー・・・まぁ、一度は挫折して辞めたんだもんね。

エリック君としては不安で当然か。

たださ・・・君の場合は挫折とは違う気がしてるんだよねぇ・・・。


「自信がなくて不安な気持ちはわからないでもないけどさ。 

 取り敢えずは私の決定に全部従ってもらう、そう決めたでしょ?」


「・・・あっ・・・はい。」


「君はもう私に一度殺されてるんだから。黙って私に従ってなさい。」


そうなのだ。

どうせ私のために死ぬ気だったんなら、私に全部任せて生きてみろと。

そういう約束を取り付けて、今に至っている訳なのだ。


ちなみに門番の仕事は辞めさせた。

きっとその仕事は彼のためにはならないと、私が判断したからだ。

別にジャイアニズムと言われても結構。

だが、今彼らに本当に必要なのは、控えめな優しさや謙虚さではなく。

何か別の変化を与える事の出来る・・・強引さなのだ。 


「・・・わかりました。」


暫く待っていると、エリック君からの答えが返ってくる。

そしてエリック君の顔つきが変わり、姿勢がしゃんとなる。

うん・・・それでいい。

その顔つきの方が、ずっと男前でいいじゃないか。




―――気を一新して、冒険者組合へと歩を進める。


ボロ宿から冒険者組合までは結構近かった。

ただ、その短い間に何回も立ち止まってしまった私がいるわけだが・・・。


「エリック君ほんとごめん・・・この癖なかなか治んないんよ。」


「構いません、私もこの街に来たときは同じでした。

 見たことない物がいっぱいでついつい楽しくなっちゃいますよね。」


元気を取り戻したエリック君は実に気が利く爽やかなイケメンだった。

ルードより先に出会ってたら惚れてしまっていたかもしれないな・・・。

うん・・・その発言はチョロいぞ、私よ。


そんなことを思いつつも、やっとのことで着いた冒険者組合の中へと入る。

そして、建物の予想外の作りに私は驚いた。


中は意外と大きく、軽い薄暗さを演出する証明がお洒落だった。

木材はワックスが効いているような軽い光沢を放ち、所々に観葉植物もある。

受付カウンターまでに並べられてる机や椅子も高級感が漂っていた。

外装もそうだったが、思い描いていた物よりも遥かに上質な場所だったのだ。


私は、場違いな高級感に面喰いつつも

冒険者家業の始まりに心躍らせながら受付に向かおうとした・・・




―――その時だった。


「おいおい、ポンコツエリック君じゃねぇか?」」


私の高まるテンションを一気に下げる場違いなゲス声が横から響く。

私は立ち止まり、冷えきった顔で声の発生元を確認する。


「おっ!?これはまた一段とべっぴんなお客様でっ!!

 へへっ・・・なぁ、べっぴんさん、悪いこたぁ言わねぇからよ?

 そんなポンコツよりこの鉄腕のブリプス様に依頼しなって。」


と、自称鉄腕のブリ・・・ブリブリ君が誘いをかけてくる。

ぱっと見はそこそこ屈強な戦士だが、顔はどう考えてもエリック君の圧勝だ。

そもそも、自分の通り名を自称する奴にろくな奴はいない、これ定石。


「結構です。

 それに私は依頼主ではなく、彼のパーティメンバーなので。」


普段滅多に使わないような敬語を添えて、そうお断りを入れる。

そして、下を向いて悔しそうにしているエリック君を引っ張って行こうとする。

が、その行く手を・・・別のチャラそうな男が阻んでくる。


「なら尚更、あなたの様な美しい方がそんな男と組むべきではない。

 その男と一緒にいればあなたはきっと不幸な目に会う・・・。

 ・・・私はそれが・・・とても悲しい。」


と、震え上がるほどのきざったらしいセリフを吐き、

度顔面偏差値40程度のチャラ男が、私の身体をなめ回すように見てくる。

うん・・・お前と一緒に行く方が100倍は身の危険を感じるわ。


「結構ですので、どいてください。」


だが、そう言ってもまるで退こうとしないチャラ男。


「わかってないなぁ・・・これはあなたのためだ。

 我々、『銀色の風』がお誘いしてるんです。

 これは、実に・・・実に名誉なことなんですよ?」


その言葉を合図に、ブリブリを合わせた4・5人の男たちが私たちを囲んでくる。

・・・なるほど。


「あなたたちが、()()『銀色の風』でしたか。」


「そうです、そして私がそのリーダーのジェリド=アーネストです。

 フフッ・・・しかし、ご存知でしたか・・・。

 ならば話しは早い!!そんな男は捨てて我々と一緒に・・・」


「・・・ええ知ってますよ。

 優秀な人材をポンコツ呼ばわりして切り捨てた・・・

 


 ―――――()()()()()()()名前でしょ?」



不必要な争いは起こすべきではないと、理解はしていた私だったが

私のトイレットぺーパーの芯の空洞よりも狭い心は・・・



そのケンカを盛大に買ってしまうのであった。

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