第33話:悲壮、可哀想な兄妹と、可哀想な私
私の異世界生活の最初の目的にされた哀れな犠牲者、エリック=ノートン君。
ちなみに、エリック=ノートンとは真面目くんの本名である。
私はエリック君の自殺願望マシマシな下向き願望を改善すべく。
エリック君の下向き強制計画を改め・・・
―――このボロ宿屋の再建計画を始めることにした。
いやほんと、この哀れな兄妹の話を聞いてみて私は胸がキュンとした。
聞けば、父親は早くに亡くなってしまい。
今は兄妹二人暮らし。
このボロ宿屋は、エリック君がその父親から受け継いだ物らしいが
・・・受け継ぐには、エリック君は若過ぎた。
この店の最大の売りであった料理の技術をちゃんと受け継ぐことが出来ず。
いきなり店を渡されて経営方針だって何もわからない。
そして人は徐々に減って行って、彼は宿屋の廃業を余儀なくされてしまう。
それでもエリック君は妹とやっていくために、次の行動に移る。
まずは羽振りのいい冒険者を目指したものの、うまくはいかず辞めてしまい。
なんとか冒険者の時の経歴や知り合いのコネを使って門番のバイトをするも
結局はこの有様。
ついでに言えば、現在はそのコネをもらった知り合いに半ば養ってもらってるとか。
変わっていく状況に流されて。
自分で何かを変えようとして、変えられず。
挙句の果てに大失敗して、他人のお目こぼしに頼る惨めな生活。
まぁ・・・つれぇわな。
だが・・・この家族の問題は何もエリック君だけではなかった。
妹ちゃんこと、マイノ=ノートンちゃんにはもっと驚かされた。
―――だって、この子さ・・・
・・・・・新緑の乙女だったのだ。
マイノちゃんはエリック君の実の妹ではなかった。
父親が生きてる頃にひょっこり連れてきてた・・・捨て子だったのだ。
エリック君にとっては説明もなしにいきなり出来た妹を押し付けられ。
そして、新緑の乙女と言う重荷も一緒に背負わされたのだ。
だが、エリック君は文句ひとつも言わなかったそうだ。
いや寧ろ、本当の妹としてに愛してくれた。
だから彼女は兄の事が大好きで。
・・・大好きな兄の重荷になっていると感じていた。
彼女の髪の事がバレる度に彼らは違う地に逃げ続ければならなかった。
やっと落ち着いた幸せも父親の死と同時に崩れ去って。
兄は時間が経つほどに自信を無くし不幸になっていく。
私がいなければ兄にはもっと多くの選択肢があったかもしれないと。
父と兄が不幸になっているのも、私が呼び寄せているのではないかと。
だから、自分はこの家族の疫病神だと。
彼女はそう思い込んで、苦しんで・・・必死に兄を庇っていたのだ。
―――だから
私は、この二人の不幸を救ってあげたい。
言葉で・・・私が二人の行き違いを解釈してあげるのは可能だ。
だが、それでは完全には納得しないかもしれない。
いや・・・納得するだけではいけないのだ。
彼らに今、本当に必要なのは・・・自信なのだ。
それも、具体的な結果を携えた大きな自信なのだ。
―――だから
このボロ宿屋を、幸せいっぱいの超人気ホテルへと再建させてみせるっ!!
安心してくれ。
確かに、二人はこれまで不運だったかもしれない。
だが・・・それも今日が幸運へと早変わりするのだ。
さぁ二人ともっ!!
私に出会ったことを喜び!!そして溢れんばかりの幸せを掴み取るのだ!!
フフフッ・・・ようやく異世界ファンタジーらしくなってきたぜ・・・。
なーに、ボロ宿屋の再建なんてチョロいチョロい。
私、転生者だよ?
あるでしょー、転生者特有の最強のチート能力がさ!!
―――そう・・・
知識チートと言う最強能力がさっ!!!
日本の食文化は世界一レベル!!
メシウマチートは我々の国技!!
日本の食文化さえマスターしてば和洋折衷何でもござれっ!!
そしてっそしてっ!!
私の舌は実によく肥えているっ!!
―――つまりっ!!
ちょっとうまい日本食を思い出して作っちまえば、あっという間に再建終了!!!
どうしようかな・・・やはりここは中世スタイルに合わせてピザかな?
んー・・・個人的には豚骨醤油ラーメン食べたい。
いや、ハンバーグ定食でもいいな。
いやいや、日本人ならやっぱり・・・カレーライスかなっ!!
フフフ・・・。
まぁなんせよ、これで勝ったも同然・・・・・
・・・
・・・・・あ。
・・・・・作り方わかんねぇ。
みんなはちゃんと、異世界転生前には日本食のレシピはマスターしておくんだぞ?
お兄さんとの約束だっ!




