表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
神よ、与える前に考えてくれ、トイレットペーパーは武器じゃないっ!  作者: エッチな思考の鈴木
第一章 始まりは高難易度ステージ
3/92

第3話:股間、タッチ&リリース




拝啓、私の心の物語の読者の皆様。

私は、まだ生きています。



「アッーーーーーーーーーー!?」



そして、現在

ホーム・〇ローン2のマ〇ーレ・カル〇ン君並みのコミカル顔で

間抜けな泣き笑いを晒ししながら

ほふく前進とは言えないような全力の犬かきで


地面を這っています。



「アッーーーーーーーーーー!?」



状況はさっぱりわかりません。

うるさいのはこちらも必死なので、ご了承ください。

ほふく前進なのは、腰が抜けてしまっているからです。

まぁ、掻い摘まんで先ほど起きたことをご説明いたしますと。


何故か、手元にトイレットペーパーがあり。

いつの間にか、それをオーガ君の顔面に投げつけ。

それが偶然、オーガ君の牙あたりに引っ掛かったのかな?

オーガ君が、絡まったトイレットペーパーをめっちゃモガモガしてたのでーー


逃げてます。



「アッーーーーーーーーーー!?」



超、逃げてます。


おかしなテンションで、実におかしな語り口調になってしまってる気がする。

ただ、そんなことはどうでもいいのだ。

今はただ、ただただ・・・



「逃げるんだよぉおおおおおおおおおおお!!!」



指の骨が折れてそう?

知るかっ!

私は、生きるっ!!

私は、生きるんだっ!!!


私は力の限り地面を這った。

10mぐらいは這いまくっていた。

そして、更なる光明(こうみょう)を見つけていた。



私の前方・・・!

5m先・・・!!

映る・・・!!!



小さな穴っ!!!(救世主!!!!!!)



それと同時に、後ろの方で()()動き出す音がする。

神よ・・・なかなかに憎い演出をしてくれるじゃないか・・・。




―――昔からそうだった。


ここぞという時に、私の人生には盛大なイベントが用意されていた。

そして、こういう時程の・・・私の根性は!人一倍!!強かった!!!


見てろよ、神っ!!

見てろよ、後ろの糞野郎!!!

これが私の・・・




「全力全開じゃああああああああああああああああああああっ!!!」








―――最後の記憶はそんなんだった。


・・・眠っていたのだろうか?


というよりも、少しの間、放心していたような気がする。

身体はうつ伏せの状態で倒れていて、とにかく腕が上がらなかった。

手の感覚なんて一切なかった。


最初はあれだけ酷使した手が、どうなってしまっているのか不安だった。

だが、じわじわと、時間と共に比例してくる指の痛みを感じて

私はホッと胸をなでおろす。


身体じゅう汗びっしょりで、どこもかしこもベタベタして気持ち悪い。

呼吸だって未だに整わない。

心臓の高鳴りも、まるで飛び出して行きそうな程にバックバクだ。

口の中は、目から鼻から流れ出た不純物たちの味でしょっぱくて仕方ない。



でもさ、生きてるのだ。

やっぱり、生きているのだ。

それがしっかりと理解できた瞬間。



私は泣いた

大泣きしていた

まるで赤ん坊みたいにわんわん泣いた



だって、しょうがないじゃないか

うれしくて、うれしくて、(たま)らなかったのだから






―――それから、泣きつかれて、また記憶が飛んだ。


今度は、眠ってしまったのかもしれない。

時刻は・・・夜中だろうか?

虫の(さえず)りが聞こえるのだ。

でも、なんだか・・・



―――ゴロンッと転がり、仰向けになる。



「あぁ・・・そういうことか。」





―――月明かりだ。


道理で、夜だと感じたのに明るいわけだ。


洞窟の天井は綺麗に丸く空いていて

まるで天然のプラネタリウムのようだった。


そして、そこから見えるのは・・・何の変哲もない・・・・・月だ。

元の世界と変わらない、美しい月だ。

それにもう一つだけ、うれしい誤算があった。



「ちょうど、満月か・・・。」


「ハハッ・・・結構ツイてるじゃないか、私。」



ありがとう、月。

君のお陰で、少しだけ元気が出てきたよ。


手や腕はまだ痛むが、足や腰の方はもう大丈夫のような気がしたが

私は手を使わないように、ゆっくりと、足だけを使って立ち上がる。


次に、今まで酷使していた指と手の状況を、入念に確認していく。

指にはかなりの数の切り傷ができていて、とにかく凄く痛い。

でも、指がなくなってるみたいなことはなかった。

不幸中の幸いと言う奴だ。




―――気を取り直して、今いる場所と状況を確認するために、周りを見渡た。


そこは、思ったより広い空間だった。


例えるなら、学校の体育館ぐらいの大きさだろうか?

後ろを振り向くと、さっき、駆け抜けてきたと思われる小さな穴がある。

そして振り向き直し、その目線の先には・・・


()()()()()()()()


しかも、ただの湖ではない。

緑色に、(あわ)く光りを放っている。


なんというか・・・

本当に・・・



「・・・ファンタジーだ。」



語彙力がない?失敬な!全くもってその通りだっ!

あぁもう、自分でも何言ってるかわかってないのだ、許してくれ。


私の現在の語彙力は置いといて

ここで私には一つ、実に浅はかな考えが脳裏に浮かんでしまっている。


だって、仕方ないだろう?

ファンタジーな湖だぞ?緑色に光ってるんだぞ?

今のボロボロのこの私の状態だぞ?



めっちゃ回復できそうやんっ!!

傷とか、パパっと、治してくれちゃいそうやんっ!!!


ご都合主義?

構うもんかっ!!

これはさっき頑張った私への神様の報酬に決まってる!!

だから、絶対に回復スポットだって!!



―――期待の余り、早歩きで歩を進める。


湖の前でしゃがみ込む。

近づいてみると、ますます綺麗だ。

それに底も・・・・・浅い。

下手すりゃ、お風呂みたいに入れるんじゃないか?


だがその前に、問題は本当に傷が治ってくれるかだ。

あぁは言ったものの、やはり未知の領域と言うのは不安がある。


ゆっくりと深呼吸をする。

ゆっくりと目をつぶり、自分を元気づけるための呪文を唱え始める。

頼む・・・頼む、頼む頼む頼む頼むっ!


パシャンッ!


両手を湖に勢いよく突っ込む。

そして・・・そのままゆっくりと目を開ける。


ん~・・・。

なんか、ちょっとピリッとする。

んー・・・でも治ってるような、治ってないような・・・。




―――と、思った瞬間だった。


手の周りからブワッと、泡が噴き出した。



「えっ?ちょまっ!?

 待って!!タンマ、タンマタンマタンマっ!!?」



慌てて湖から手を抜いた。

やばい、これ酸かっ!?

えっ、何っ、まさかっ、なんかの胃液!?



「あるよね?あるよね?私のお手てぇ・・・。(涙)」




―――血の気が一気に引いた。


急いで、両手の状況を確認する。

幸い、私の手は健在で、どこかが溶けてる様にも見えなかった。

痛みもないし。

というか、寧ろこれは・・・。



「・・・治ってるんじゃね?」




それから10分ぐらい

じーっと手の平を、指の一本一本を、入念に観察しまくった。

検証は大事である。

そして、検証の結果は・・・・・



完全勝利だった。



そして、それが分かった瞬間・・・()()()()()()()()()


真っ裸の30過ぎたおっさんがル〇ンダイブで湖に飛び込むっ!

いや、ごめん、それは言い過ぎた。

真っ裸の30過ぎたおっさんが勢いよく、湖に飛び込むっ!

・・・・・あんま変わんないか。




―――とにもかくにも、幸せの絶頂だった!


湖、もとい、お風呂の温度は温水プール程度のぬくい感じがして

まるで天然の炭酸風呂だった。

めっちゃ、シュワシュワした。

とにかく、気持ちよかった。


もしかして、美肌効果もあったりするんじゃないか?

と調子に乗って、ルンルン気分で両手のケガの具合を見る。

予想どうり、傷跡は完全に消え去り、そして、つるっつるだった。



「白く、ゆで卵の様なツルツルしっとり肌の、私の手!」


「美しい・・・実に美しいじゃないか!」



一体、どこを探せばこんな美しい肌を持つ30過ぎたおっさんがいるだろうか。



「いや、いまいっ!

 そう、この私を除いてなっ!」


「ガァーッハッハッハッハッハ!!」



「ガァーッハ・・・。」




ここで、なんかおかしなことに気づいた。





―――いや、()()()()()()()()


ここから少し前の私の発言を思い出してほしい。

白くて・・・ゆで卵の様な()()()()しっとり肌の・・・私だ。

そして・・・


生前の私は・・・少なくとも毛深い方だった。




―――勢いよく、自分の股間を叩く・・・



「アッーーーーーーーーーー!?」




―――勢いよく、立ち上がり、水面に映る自分を見つめる。



「アッーーーーーーーーーーーーーーーーー!?」




そこに映ったのは、30を過ぎたおっさんなんかではなく・・・



めっちゃ可愛い女の子(衝撃の新事実)だった。



・・・。




「アッーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!?」




本日第2回目の盛大なマ〇ーレ・カル〇ン君である。

いや・・・もうそれは、マ〇ーレ・カル〇ンちゃんであった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ