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神よ、与える前に考えてくれ、トイレットペーパーは武器じゃないっ!  作者: エッチな思考の鈴木
第一章 始まりは高難易度ステージ
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第26話:和み、愛の育みと、訓練と、遅れた自己紹介





「おいでぇ~シャッハ君おいでぇ~。」



私の可愛いシャッハ君が、私の元へとトテトテと元気良く歩いてくる。



「よぉ~しよしよし。ええ子やねぇ~。」



私はその可愛いモノが到着する度に、抱き上げて頬ずりして褒めてあげる。

そしてまた距離を取り、同じことを繰り返していた。



幸せだった。



幸せ過ぎて、同じことを永遠にやってた。




―――しかし、38回目の抱擁ごっこを始めたところで



「私は後ろから刺さる、羨ましそうな視線を感じ取った。」


「してねぇよ。」



そんな気のない返事をするハスキーマッチョは頬杖をつきながら胡坐をかいている。

尚、その髭面のむさい顔はあ・き・れ・て・る、とも書いてあった。

だが、そんなのは無視だ無視っ!!


こんな馬鹿なやり取りを繰り広げながらも

あれから私たちは、私が元居た湖を拠点に2人と1ロールの奇妙な共同生活を始め。

そして10日ばかりが過ぎようとしていた。



「ごめんねぇ~、パパが焼きもち焼いちゃったみたい。ほんとやぁーねぇ?」


「してねぇよっ!!パパでもねぇよっ!!?」


「もう照れちゃってー、こんな美少女に迫れて、ほんとはうれしいくせにぃー。」


「・・・自分のことを美少女と言い切る勇気だけは認めてやる。

 ほら、馬鹿なことやってないで今日のノルマこなすぞ。」


「うぃーっす。」




―――そう、これから始まるのは日課の戦闘演習である。


私たちはあれから高位体を操るためのトレーニングを始めたのだ。

一つは、シャッハ君を完全に使役できるようにするため。


そしてもう一つは、私自身を私を守れるようにするために。




「シャッハっ!!」



そう叫び、真横に右腕を突き出すとシャッハ君が元のトイレ紙形態で巻き付いてくる。

よし・・・ここまではいつも通り。

呼び捨てにすることが、戦闘の指示てあると言うことは学習してくれたようだ。



「・・・だいぶ様になってきたじゃないか。

 

 それじゃ、こっちも遠慮なく行くぞっ!!」



旋風と共にオオカミ男に変化したハスマッチョが勢いよく突進してくる。

まずは・・・守るっ!!



「シャッハっ!!防御第一(ガードワン)っ!!」



そう叫び、両手を胸の前にクロスする。

その瞬間、シャッハ君は更に形状を丸く大きな盾の様な形状に変形し、両腕に接着させる。

シャッハ君の命令把握能力は完璧と言っていい。


だが・・・


トイレ紙の盾ではハスマッチョの突進を防ぐことはできなかった。

ハスマッチョの腕がそのまま盾を貫通してきて、その張り手が私の腹部にめり込む。

腹部の痛みに微かな嗚咽を上げながらも、その勢いのままに私は後方へと吹っ飛ばされる。


だが・・・()()()()()


大事なのは、衝撃の威力を下げることなのだから。

しかしほんと容赦ないな、ハスマッチョ先生は。

いくら実戦演習とは言え、乙女の腹部を狙うかね普通さっ?


まぁ、それはさておき

このままでは洞窟の壁に衝突してしまうため、急いで次の支持を出す。



「・・・・・っ、防御第二(ガードツー)っ!」



シャッハ君はすぐに私の背中、後方へと回り込みエアクッションを形成する。

それと同時に、私はその急激に膨張したふかふかクッションの中へと投げ込まれた。

そしてそのまま反動を利用して、態勢を立て直して着地する。


よしよし、ここまでは完璧だ。


この間も、私自身はハスマッチョを見失わないようにしっかりと視線で捉える。

私だって、このままやられっぱなしでいる気はない。

守りだけでは生き抜けていけないのだ。


だから・・・次は私の番だ。



「シャッハっ!!攻撃第一(アタックワン)っ!!」



私が両手を前に掲げると、両手の平の上に2つの丸い球体が形成される。

そして私はそれを、ハスマッチョへと投げつける。

もちろん、トイレ紙製のボールと私の貧弱な腕力では

上空へ暴投みたいな投げ方になるわけだが。


しかし。




―――ここから先の秘策は・・・まだハスマッチョにも見せたことがない。


さぁ、私とシャッハ君の愛のタッグ技をくらいたまえハスマッチョ君!!

さっきは良くも遠慮なく乙女の腹を殴ってくれましたねぇ!?

覚悟せいやぁっ!!!


―――トイレ紙ボールがハスマッチョの上空辺りまで達した時


私はシャッハ君に必殺技解放の支持を出す。




「シャッハっ!!蛸足拘束(オクトホールド)っ!!!」



空中でトイレ紙ボールが爆散する。

いくつものトイレ紙の触手が勢いよく伸ばされ、オオカミ男を包み込んでいく。


これは私がシャッハ君を怒らせたときにやった()()()再現だ。

もちろん、今回は母子の信頼関係に基づく・・・愛のタッグ技だがね!


さぁ、苦しめっハスマッチョ!!

呼吸器官に入り込んでくる地獄の苦しみをとくと味わうがいい!!


ハァッーハッハッハッハッハ!!





破壊衝撃音波(ブレイクハウリング)ッ!!」



遠吠えみたいなのと共に衝撃波が起こって蛸足拘束ちゃんが爆散する。



「―――へ?」



間の抜けた私の感嘆詞と共に、そのまま再度突進してきたハスマッチョに押し倒される。

私は相当に間抜けな顔を晒していたことだろう。

そして一方の狼男と言えば、万遍のどや顔で私の首にその鋭い爪を立てていた。



「―――俺の勝ちだな。」


「・・・いや、そんなのあるなんて聞いてないっ!不正だぁっ!!」



何だよその技、ずっる!!

そんなん使えるなら初めから私に勝ち目ないやんっ!



「ん?そういやお前に見せたことはなかったか・・・。

 まぁ、だとしても、勝ちは勝ちだ。」


「せっこ!せっこ!そんなでかい図体してる癖にせっこ!!」


「何を言われようが勝った方が正義なんだよ、覚えておけ。」


「ぶぅーーーー。」



まぁ・・・そうなんだけどさ。

なんか納得いかないっ!!



「それでもまぁ・・・合格だ。

 あいつも『待て』が出来るようになったみたいだしな。」



そう言ってハスマッチョが顔を向ける先には

大人しくしているシャッハ君がいた。


母の危険事態に何もしないのはどうなんだと思うかもしれないが

これでいいのだ。


大事なことは、自制心を得ることなのだから。

そして我が子の成長とは、自分が何か成せたかよりも嬉しい物だった。


でも、それとは別に、この楽しかった日々が終わりを告げてしまった事は



無性に切なかった。







―――月明かりの下、私たちは最後の夜を焚火を囲んで過ごしていた。



「ハスマッチョ・・・色々、ありがとね。

 それと、ごめんね。忙しいはずなのに、こんなに付き合ってもらっちゃって。」


「最後だからって無理に塩らしくしなくてもいいんだぞ?」


「あっそ・・・そう言う事言うんだー?ふーん?じゃあねぇ~。」



・・・そう言う悪いオオカミには、背中に回り込んで抱きついてやる。

突然の奇襲に身動き出来ないハスマッチョ。

そして、私に触れられた瞬間その大きな巨体を少し跳ね上げる。


あぁ・・・この暖かさともこれで最後か・・・。



「はっ!・・・・・さっ、流石になれたわ!」



ほほう?

最後だからって強気の姿勢ですかぁ?

でも、身体は固くなってるような気がするのですがねぇ?

あっ!もしかしてこの程度では刺激が足りないと言うのですねぇ?

それじゃあ・・・



「ふーん、じゃあもうちょっと押し付けちゃおっかなぁ~?」


「・・・・・わかった、わかったから。

 降参する・・・頼む、勘弁してくれ。」



私の追撃の前に一瞬で白旗を上げるウブなクソザコオオカミ。



「分かればいいのです、分かれば。」



そう言って、魅了攻撃から解放してあげる優しい私。


フッフッフ・・・君がいくら肉体的に絶対強者だとしても

やはりこの身体には勝てまいて。

しかし、女の身体とは実に素晴らしい・・・。


何てたって、この圧倒的愉悦感!!


まぁ、ハスマッチョと言う素材ありきでもあるんですがね?

てか、ほんと何かに目覚めそう。

なんかちょっと前に、男だ女だ悩んでたことがどうでも良くなってきちゃうわ。



「話は変わるんだけどよ・・・。」


「ハスマッチョくぅん?・・・あからさまな話のすり替えはどうなのでしょう?」


「ちげーよ!

 と言うか、それだよそれ。」


「・・・ん?それ?」


「ハスマッチョってそれ、いいかげん普通に名前で呼んでくれ。」



あぁ・・・言われてみれば。

でも、普通の名前って言ってもなぁ・・・。



「あのルーウェン・トードって奴さ、あれ偽名でしょ?」


「・・・・・あぁ、そうか。」



全く、この男はこう言うところが抜けてるというか何というか・・・。

頼れるのか頼りないのかしっかりしてほしい。


まぁ、そのギャップが・・・チャーミングではあるんだけどさ。



「ハスマッチョっさ、そういうとこ抜けてるよねぇ・・・。」


「悪かったな。そんな頭いい方じゃねぇんだよ。

 まぁ、何だ・・・改めてまして、俺の名はルードリッヒ・マクダウェルだ。」



「・・・・・ご、ごめん・・・フフッ・・・ちょっと。」

 

「あぁ、よく似合わないって笑われるよ。だから呼ぶときはルードでいい。」


「お、おっけ、ルード君ね・・・フフッ・・・でもルードリッヒって。」


「親につけられた名前なんだ、俺にはどうしようもない。

 あと君はつけるな、君は。」



苗字といい、まるでどこぞの王子様みたいな名前しちゃってさ・・・。

見た目は完全に盗賊の親分のくせに・・・だめだ、考えるとまた笑っちゃう。



「ごめんごめん。」


「まだちょっと笑ってるぞ・・・。

 ・・・まぁいい、それよりお前の名前も聞かせてくれよ。」


「あぁ・・・うん、そうだね。言われてみれば私も名乗ってなかったっけ。」



名前かぁ・・・そういやこの交友関係が初だったんだもんなぁ。

流石にルード君に偽名で名乗るのは、好意への裏切りみたいで嫌だし。


まぁ、素直に本名で行くか・・・


 

「えっとね、私の名前は宮上美琴(みやうえみこと)・・・。」





―――ん?


・・・んん?みやうえ?

・・・えっ・・・みこと?

・・・・・えっ・・・。



誰っ!??





私の口から流れるように発せられたその知らぬ名に、衝撃を受けていた。







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