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神よ、与える前に考えてくれ、トイレットペーパーは武器じゃないっ!  作者: エッチな思考の鈴木
第一章 始まりは高難易度ステージ
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第24話:終焉は、偽愛と、ビターなチョコレート





―――頭がぼやける。


私は口の中で草の味がしたことで、自らが倒れ伏していることがわかった。

そして、手足が動かないことに気づく。


ゆっくりと現状を思い出していく。


私は現状を確認するために、顔を前へと向ける。

そしてそこに映ったのは・・・





―――ボロボロのシャッハ君を踏み潰す、オオカミ男だった。



「・・・え?」



理解できなかった。

戦闘は既に終わっていて、シャッハ君は元の姿に戻っていて。

私を救ってくれた心優しい男が、私の愛しいモノを嬲るように踏み潰しているのだ。


本当に意味が分からなかった。

意味なんて分かりたくもなかった。


だがそれ以上に、これ以上そんなものを見せてほしくなかった。




「―――やめてっ!!!」




混乱した思考の中で絞りだせた言葉は、そんなしょうもない擦れ声一言だけだった。


オオカミ男が私が目覚めたことに気づき、こちらを振り返る。

その瞳は私の知っている人の物ではなく、別人の物だった。



「ようやく目が覚めたか。」



この男は何をそんなに落ち着いて、そんな呑気な言葉を語り掛けてくるのだろうか?

私の大事なモノをまるで空き缶か何かの様に踏みつけて。


私はそのことがただ悲しくて、理解できなくて。

裏切られた様に感じて、全身が熱くなっていった。



「どうして・・・。」



何で、こんなひどい事をするのだ。

何で、何で何で何で・・・どうして。

意味の分からない状況に

私はただ、涙で顔を歪ませる事しか出来なかった。



「まずは、気を失う前のことをゆっくり思い出せ。」



理由はわからなかったが、今はただ、その指示に従うべきだと判断した。


早く、シャッハ君を救って。

早く、ハスマッチョに元に戻ってほしかった。

だから私は集中して思考を開始する。



そう、確か・・・

シャッハ君が大きくなってて・・・それで、燃やそうって話になって。


それから・・・準備が終わって

いざ始めようって思ったら・・・そうだ、シャッハ君に気づかれて


それで・・・



「シャッハ君を傷つけちゃいけない気がして、そこからは・・・あれ?」



「言い忘れてた俺も悪いんだがな・・・高位体には洗脳操作の能力がある。

 そしてお前には、それで操られていた形跡がある。」


「・・・洗脳・・・・・操作?」



待ってくれ・・・じゃあなんだ?

今の今までシャッハ君に私は操られていて。

だからシャッハ君に操られて気を失っていって・・・


いやそれ以前に、もっと前から私は・・・シャッハ君に?


だから・・・私は・・・




―――違う。



「違うよ、ハスマッチョ、それは違う。


 私はシャッハ君に操られて愛してたわけじゃない。

 私はっ・・・!」


「・・・お前の言いたいこともわからないわけじゃない。

 だがな・・・お前はそれをどうやって証明する?」


「それは・・・。」


「それだけじゃない。

 お前はこの後を、この高位体と共にどう歩んで行くつもりだった?」



・・・この後。


―――それはつまり、シャッハ君の暴走とどう向き合っていくのか。


今回みたくハスマッチョに助けてもらうことはできない。

だからその時は・・・



「私が犠牲になってでも・・・。」


「お前に、あの巨体を受け止められるのか?

 それどころか、現にお前は何もできないまま、ただ殺されかけただけだ。」


「それは・・・でもシャッハ君とだって、時間を置いてゆっくり話し合えば・・・。」


「その間に、お前以外の誰かが傷つくとしてもか?」


「だけどっ!!シャッハ君はまだ子供なんだよっ!?」


「子供じゃない、コイツは高位体だ。・・・現実を見ろ。」


「・・・。」



・・・ぐうの音も出なかった。

そうだ、私はこれからの事すらも・・・楽観視していた。


もしもシャッハ君がまた暴走してしまったら?

私みたいな貧弱な人間で、どう抑えれると言うのだろうか?


それだけじゃない。

それがもしも街中で起こって、関係ない人々や・・・

ううん、子供だって巻き込むかもしれない。

その時は私が責任が取らないと・・・


いや・・・そんなの取れるわけがない。

人の命の責任を、人が取れるかなんて、そんなのは・・・ただの傲慢だ。



「お前に残された道は2つだけだ。1つは、この高位体を殺すこと。」


「・・・。」


「そしてもう一つ。

 お前がこの高位体とこれからを共に歩んで行きたいというのならば・・・。」


「・・・・・わかった。」




―――そうだ、必要なのは海よりも深い、甘い愛ではない。



――――――必要なのは・・・・・苦々しい鞭なのだ。




「ねぇ、ハスマッチョ・・・どうすべきか教えて。

 私だけで考えたらきっと・・・・・・甘くしちゃうと思うから。」


「・・・その程度なら手伝ってやる。」

  



それからの事は・・・ただただ最悪だった。

人生における最大の苦痛以外の、何物でもなかった。


甘ったるいチョコレートの様にとろけた私の脳みそを

濃厚で苦い泥の様な何かが、纏わりつくように絡みついていく。


それでも、私は愛するモノのために・・・





―――いや、自分のために。







私たちはシャッハ君の身体を紐で縛り、近くの木に吊るし上げた。







胃がキュッとしたら私の勝ち。

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