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神よ、与える前に考えてくれ、トイレットペーパーは武器じゃないっ!  作者: エッチな思考の鈴木
第一章 始まりは高難易度ステージ
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第19話:和解、マッチョと私と、もう一人の私





「ねぇ・・・。」


「・・・なんだよ。」



そこにはスッポンポンで見下ろす絶世の美女と

両手を顔で覆い、耳までヘタレて座り込でいるオオカミがいた。




「もう、私を殺そうとしない?」


「しないっ!しないからっ!!頼むから服を着てくれっ!!」



オオカミ男が情けなすぎる金切り声を上げる。

別に私だって、これ以上虐めてやるつもりはなかった。



「よかった・・・。」



私はまるで糸の切れたマリオネットの様に、オオカミ男へ倒れこむ。


オオカミ男の方は体毛を逆立てて、わーきゃー騒いでいた。

しかし、そんなことはどうでもよかった。


やっと手に入れた安全を確信し、全身から力の糸が解かれていった。




―――やっと気を許せる何かを手に入れたことに・・・自然と涙が溢れ出た。


だってさ

ここまでさ


この童貞ウブな勘違いの大馬鹿野郎だけでなく

何だかんだ、散々ひどい目にあったのだ。


初めて体験する、様々な恐怖たちに

身体も・・・心も、色んなものもいっぱい傷つけられたのだ。



―――ずっとずっと、たった一人で、全てを受け止めてきたのだ。


自身が男だと言う事も、こいつに抱き着く気持ち悪さも良く分かってる。

でもさ・・・


今のこの瞬間ぐらいさ。

少し、甘えさせてくれたっていいじゃないか・・・。




―――オオカミ男の大きな手の平が、私の頭に優しく置かれる。


「・・・・・悪かったよ。」


私が、私の魂が、何者で、何者なのかだったなんて、今はどうでもよかった。


今はただ


ただの子供の様に、ただの乙女の様に




―――ただ、泣き尽くした。






―――全てが落ち着き、私たちは情報を共有し始める。


私はここまでに至る経緯(ハードモード)を、信頼できる者へと伝える。


オークに襲われたこと。

一生を掛けて守るべき、大事なものに出会ったこと。

それから、ここに至るまでの辛いイベントたちのこと。


もちろん、転生したことについては記憶喪失としてはぐらかした。

私にだって、多少のプライドはある。


「お前も大変だったんだな・・・。」


「まぁ・・・でも正直、今回のが一番怖かったけどね。」


「・・・だから、悪かったって。」


まぁ、ハスマッチョの話を聞いてみてさ。

噂の青刻の悪魔さんがどんだけやべー殺人鬼ってのはわかったしさ。


ハスマッチョはさ、家族含めて一族もろとも殺されちゃったみたいでさ。

仕方ないと言えば、仕方ないわけなんだけどさ。


それでもやっぱりさ、関係ない私にぶつけられたのはさ。

理不尽だなぁって、思いが拭えないわけですよ、うん。


他にもこの付近の地理関係の話や、軽い情勢を聞き

この辺一帯は、都市近郊からほんのり離れた田舎辺りと言うことも

取り敢えずは、知ることができた。


ちなみに初めて出会った時は

盗賊の一味をたまたま取り押さえて、聞き出した話から私の存在を知ったらしい。

到着してみたら、タイミング良く私が隣の部屋で暴れてるのを察して

様子見をしようと捕まったふりをしていたらしい。


私としては

もう少し待っていれば、助けが入っていたかもしれないと悲しむべきか。

その場で、この男とエンカウントにならなかったかったことを喜ぶべきか。


まぁ、過去の出来事をタラレバで考えたって、何か進展するわけでもないし。

それよりもその話において一つだけ、私には聞いておきたいことがあった。


「その取り押さえた盗賊の一味の中に、ハゲ頭っていた?」


「ハゲ頭?・・・3人ぐらいぶちのめしたが、いなかった気がするな。」


「・・・そっか。」


「まぁ、元々はそいつらを根絶やしにしに来たのが、俺の本来の目的だ。

 そのうちきっちり、お前の分の仇も討っといてやるよ。」


「・・・ありがと。」



「・・・。」



「・・・何?」


「いや、そのなんだ・・・ほんとに悪かったな。」



「もういいよ・・・それに、あなたのおかげで色々助かってもいるから。」


「そうか・・・それならよかった。」


実際、本当に助かったのだ。


貴重な情報はもちろんのこと、頼れる存在が出来たというのはさ。

右も左もわからないこの異世界において、本当にありがたかったのだ。


「何にせよ、お前の連れが見つかるまでは俺も協力する。

 それだけは安心してくれ。」


「・・・うん、それは本当に助かります。」


ハスマッチョは何かしらの秘密結社の様なものに所属しているらしく

現在は、遠出の仕事(盗賊狩り)の最中みたいで中々に多忙らしい。

だから、図々しいお願いをしてるのはわかってる。


それでも、シャッハ君の事だけはどうしても協力がほしかった。

もちろん、私に出来る限りのお礼はするつもりだ。


まぁ、どうしてもと言うのなら、お礼に私を・・・。




・・・。




―――ほんとに私は、()()()()()()()()()()()()


結構前から、逃れようのない嫌な予感を・・・感じ始めてはいた。


最初は、心が弱ってたとか、変なハイ状態なだけだとか

ただそれだけな気がしていたのだけど。

この思考は明らかに・・・


()()()()()


男に対して恋慕の感情?

違う、いや・・・そんなまさか。


少なくとも、生前の私にそんな趣味はないし。

吊り橋効果を踏まえたとしても・・・この感情の変化は明らかに異常だ。


口調に関してだって、意図せず勝手に女らしさを見せ始めている。


身体だけが変わった、そう思っていた。

だけど、これは・・・。


「おい、どうかしたか?」


「・・・ううん・・・なんでもない。」


そうだ、今そんなことを考えたって、何かが変わるわけじゃない。




それに、今はそんなことよりも・・・早くあの子を見つけてあげないと。




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