第15話:出会い、マッチョと私、愛の駆け引き
―――混乱している私に、ハスキーな音色が降り注ぐ
「あぁ、脅かせてしまったのなら申し訳ない。
見ての通り、僕は君の敵じゃない。」
―――私の目の前には、そんな呑気に語りかける髭面が一人。
「だからさ、僕のこれもついでに解いてってくれないかな?」
―――ボロボロの様相で、両腕を椅子に縛り付けられていた。
「・・・あのー、聞こえてるかなー?」
上半身は、裸で傷だらけ。
履いてるズボンは、ダメージジーンズに更にダメージ与えたみたいになっている。
男はその声に似合わない厳つい体格をしていて
目は鋭く、鼻は高い、オールバックのシブメンだ。
例えるのならば、髭面含め、まるで狼男のような容貌で
盗賊に捕まった哀れな囚人と言うよりは・・・
―――盗賊の親玉と言われた方がしっくりきた。
「あっ・・・もしかして、言葉通じてなかったりするのかな?」
とは言え、あの糞ハゲの親玉と言うのであれば
こんな手の込んだことをしなくても、私なんて一発で仕留めれるはずだ。
「えっーと・・・私は、味方、良い人。」
―――つまり、私がこの男に対して取るべき行動は・・・
「コトバ、スコシ、ワカル。」
ハスキーマッチョが、ジェスチャーと言う名の変顔大会をし出したところで
私は、原住民風の片言でコンタクトを開始する。
「・・・なんだ、通じてたのか・・・何だか損した気分だよ。」
ハスキーマッチョが照れ臭そうに言葉を漏らす。
まぁ、言葉が通じている事に対しては、私も不思議には思っていたところだ。
神様がくれた便利機能ではないかと予想はつけてるわけだが・・・
正直、バリバリの日本語にしか聞こえなくて変な気分なのだ。
それに、こっちの日本語も普通に通じちゃってるし。
「それで、えっと・・・あっ、そうだ、お名前とか教えてもらえるかな?」
お前、呑気だな・・・。
名前なんて聞いてないで急げよ、おい。
「あっ・・・うん、そうだよね。
まず自分からだよね、僕の名前は・・・。」
お前、ほんと呑気だなっ!!
「・・・ルーウェン・トード、しがない商人さ。」
ハスキーマッチョは私の答えも聞かずに、名前を明かしてくる。
あぁ、商人のルーウェン君ね。
そう、商人の・・・
え?商人の・・・?
はぁあああああああああああああああああああああああああ!?
お前、そのムキムキマッチョで商人かよ!?
嘘っだろぉおおお!?
いやいや、控えめに言って、お前を商人と仮定することすらも無理があっぞ!?
「・・・まぁ、信じてもらえないよね。」
その見た目で信用しろと言う方が無理な話である。
「・・・モウイイ。
ソレデ? オマエハ ナニヲ ヨコス?」
少なくとも、お前がここの盗賊どもの一味ではないと言うのは私も疑ってはいない。
だから、助けてやってもいい。
だが・・・タダで助けるかは別の話だ。
―――と言うよりも、私はお前から欲しい情報がある。
「・・・うーん、そうだな、助けてくれるなら、お金なら渡せるけど。
君は食べ物とかの方がうれしいのかな?だったら・・・。」
「モノジャナイ ホシイノハ ジョウホウ。」
「・・・情報かい?まぁ、僕に渡せるものならば・・・。」
―――期待してた反応とは少し違ったが・・・まぁいい。
「ワタシガ モトイタバショ ワカルカ?」
私が聞きたいのはその1点だけだ。
私はただ、早く帰りたいのだ。
一人寂しく震えてるはずの・・・愛する我が子の元に。
「そうか・・・君は元居た場所に帰りたいんだね?」
「ソウダ ワタシハ イマ ドコニイルカモ ワカラナイ コマッテル。」
「う~ん、残念ながら知っているかと言えば・・・わからないんだ。」
―――違うだろ、それはお前の出すべき答えではない。
「ソウカ ナラ コウショウケツレ・・・。」
「でも、詳しい話を聞かせてもらえれば、おおよそはわかるとは思う。
・・・これでどうだろうか?」
―――全く、焦らせないでくれ・・・そうだ、それでいいんだ。
「ジャア タスケル。」
「・・・ほんと助かったよ。」
私は奴に結びつけられた縄を解きながら、思いを巡らせる。
―――今は・・・お前に乗せられてやる。
だが・・・
すべてがお前の手の平で踊っていると思うなよ?




