第14話:どきめき、泥棒は、勇者の始まり
何も考えるな、私。
もしも今、アレについて考えてしまったら・・・
「だから考えるな!!」
―――大きく深呼吸する。
・・・鍵だ、鍵を取れ。
確か、奴の、こっ、腰の左側に・・・
―――違うっ!!
それはこちらから見た時の話だ。
だ、だから、右、右側にあるはずだ。
―――よし、あった。
鍵は全部で・・・1,2,3,4・・・8,9・・・10か。
「・・・結構あるな。」
―――いいか落ち着け、焦りに釣られるなよ、いいな私。
無闇に試そうとしても、途中でどれがどれだかわからなくなるだけだ。
それに、ある程度見た目から予想はつくはず。
手錠の方の鍵穴・・・それに対する適切な大きさと予想できる鍵穴の形
つまりは・・・
―――「これだっ!」
・・・何でだよ、これだろ?
・・・くそっ、違う。
「何で、引っ掛かってるんだよ・・・くそっ!手が滑るんだよ!!」
―――何やってんだ、だから落ち着けって。
・・・なら、こっちだ。
後は奥まで、入っ・・・
―――「開いたっ!!!」
よしよしよしよしっ!!
ふぅ。
トサカは見るな、見ないでコイツのもう片側をまさぐれ。
―――そう、欲しかったのはこれだ。
「悪いなトサカ、もらってくぞ?」
―――後は・・・
そうだ、あそこに投げ捨てられてるトサカの上着も貰って行こう。
「何から何まですまないな、トサカ。」
私は、返事など返ってくるはずも無いものに語り掛け続ける。
「だが、駄賃はしっかり支払ったんだから、文句言わないでくれよな。」
例えそれが、気休めにしかならないとわかっていてもだ。
―――私は、この間もトサカを見ないようにして、立ち去ろうとする。
とにかく、さっさとこの空間から抜け出したいのだ。
その一心で軋みを鳴らす古びた扉を勢いよく開け、人けのない次の部屋へと入っ・・・
―――そう思っていた。
「なぁ、そこの素敵なお嬢さ・・・。」
その言葉を全て聞く前に、私の心身は何かを跳ね上げるように急停止した。




