追憶
はじめましての方しか居ないと思います。
はじめまして、蓮根画伯です。
えー、自分は『東方六芒星』と言うサークルをしていて、ホームページで『聴きたくなかったレクイエム』と言う東方projectの二次創作作品を1話だけだしているのですが、何と言っても知名度が低い! と、言う訳で、コチラに投稿させていただきました。
えっと、自分は小説を書く時、テーマを決めているのですが、この『東方 時成流〜Lost girl〜』のテーマはズバリ『時の流れ』です。
まあ、気にせず読んでくれると嬉しいです。
誤字脱字がありましたら、もう無視しちゃってください((。´・ω・)。´_ _))ペコリ
ここは忘れられた者が集う隠された楽園─幻想郷─
その幻想郷に存在する魔法の森という不思議な森の近くに佇む一軒家に男は居た。
男は実に退屈そうにランタンの灯りを見つめる。部屋はガラクタで散らかっており、外の世界の道具で埋め尽くされてる。
「…はぁ」
銀色の髪の男は右手で頬杖を突きながら、左手で机に置かれた厚さ10センチは有るだろう本のページを摘んだまま溜息をつく。
何故、こんなモヤモヤした気持ちになるのだろうか。男は分からなかった。否、わかりたくもなかったし、知りたくもない。
─違う、本当は理解していた。頭では、頭では理解しているつもりだ。しかし、心だけがどうしても理解してくれないのだ。
「魔理沙……」
男は頭を抱え込み、銀色の髪を乱雑に掻き毟る。
瞼を強く瞑る。瞑る。瞑る…。
すると、闇が男の視界を包み込む。
男がゆっくりと瞼を開けると、開きっぱなしになっていた本に挟まっていた写真が目に入った。
写真に映るのは銀色の髪で眼鏡を掛けた男……森近霖之助、つまり今写真を見ている男だ。
そして、男の隣に映るカメラに向かってピースしている金色の髪の少女……その少女の名は「霧雨 魔理沙」。
「魔理沙……君はいつも勝手だな」
男は眼鏡を外し、瞳に溜まる涙を拭う。
男が本を閉じたその時、丁度誰かが扉をノックする音が聞こえた。
コンコンッ……
男─いや、霖之助はこの扉をノックする人の正体を知っていた。
だからこそ、霖之助は扉を開けなかった。
「勝手に入るわよ」
女性のそう言う声が聞こえたかと思うと、緑色の髪をした脚のない女性が扉をすり抜け現れた。
「久しぶりですね? 霖之助さん」
緑色の髪の女性はそう言って霖之助の腰掛けている椅子の端に手を置く。
「なんだい、また君かい? 魅魔。僕は忙しんだよ。君と違ってね」
霖之助は魅魔と呼ばれる緑色の髪の女性に言うと、本をパタンと閉じた。
すると、キョロキョロ家の中を見渡していた魅魔は懐かしむ様に目を細めた。
「あら、これをまだ取っておいたの? 貴方も案外、女々しいのね?」
魅魔は左手を口元に持ってゆき、クスリと笑う。
魅魔の目線の先にあったのは、窓の上に吊るされている茶色く薄汚れたてるてる坊主。
小馬鹿にするように言われた霖之助は顔をしかめた。
「そう言う君だって、その左手首に着けているリボンはなんだい?」
魅魔は霖之助に指摘された左手を慌てて背中に持っていく。
「ふん、お互い様ってね」
そう言って魅魔はワインの入った瓶を霖之助に差出した。
すると霖之助はふと目を伏せ、静かに部屋の奥へ入っていった。
それから5分後、霖之助はグラスを2つ持って再び魅魔の前に現れた。
霖之助は部屋を簡単に片付けると、魅魔と向き合うようにイスを並べ、2人は無言で座る。
グラスに注がれている紅い液体と無言で見つめ合う2人を窓から入り込む月光が照らしていた。
そして、魅魔が始めにワインの注がれたグラスを手に取り一口飲む。それを見た霖之助も、魅魔に続いてワインを口に含む。
「霖之助……私は今頃だけど後悔しているんだよ」
魅魔は潤んだ瞳で窓から月を眺める。夜空には雲一つ無く、満月がハッキリ見えている。
霖之助は口からグラスを離すと、霖之助は深い溜息をついた。
「君は後悔する必要なんかない。何故なら、魔法を使える様に促したのは僕なんだから」
「え? どういう事だい? 霖之助」
魅魔は愁いの帯びた瞳で霖之助に尋ねる。霖之助はゆっくり瞼を閉じて言う。
「魅魔…君は魔理沙の叔父が人里の人間に殺されたのを知って古くからの友人だった君は魔理沙を心配し、見に来た。その時魔理沙は既に叔父の死を目の当たりにし、全てを拒絶し憎んでいた……そうだろ?」
「あ………あぁ」
魅魔は鳩が豆鉄砲を喰らった様な表情で頷いた。
「そして、一人ぼっちになってしまった魔理沙を育てる為、アナタは魔理沙を引き取った」
「そうよ。 でも、あの場に居なかったアナタが何故?」
魅魔がそう問いると、霖之助は天井を仰いだ。
「僕は里の人間に足止めを食らって君より先に魔理沙の所へ行けなかったんだ。けど、空を飛んで行った君の姿を見て僕は魔理沙を君に任せる事にしたんだ。魔理沙の叔父からアナタの事は聞いていたしね」
「どうして? 私に育てさせるより自分で育てた方が……」
魅魔は霖之助の空になったワイングラスを見てつぎ足しながら問い掛ける。すると、霖之助は言う。
「強く……育って欲しかったからさ」
そう言って霖之助はワイングラスを手に取り一口飲む。
魅魔は「そうかい」と言って、自分のワインを一口飲む。
部屋に重たい沈黙が漂う。
そして、霖之助は無意識の内に呟いていた。
「魔理沙、君と初めて会ったのは確か─」
えっと、霖之助×魅魔と言う面白い組み合わせで驚いた方も多いと思います。
まあ、次も楽しみにしてもらえると嬉しいです。