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黒猫の騎士  作者: 寝猿
プロローグ
2/7

無駄な買い物、有益な情報

情報屋を出たナイトは、早速北に向かった。

北へ向かう道は平坦で、時々旅の商人とすれ違った。

荷車には色とりどりの織物や面白い形の陶器が多く積まれていた。

彼らはこれから中核都市で商売をする気なのだろうが、道行くナイトにも営業を欠かさなかった。

旅するナイトには不要なので、買う気はさらさら無く、

適当に愛想笑いしてやり過ごしていたのだが、

ある一段と弁の立つ商人の話を聞いているうちに、

結局買わされる羽目になってしまった。


ナイトは断れない男だった。。。



「いやーお客さんお目が高いよ。練魔綿を東ノ国の人間国宝が編んだ羽織だからね、これからの季節、重宝するよ」

その話は耳にたこができるほど聞いたが、ナイトは愛想笑いを欠かさなかった。

今となっては話の真偽も怪しいものだ。

「北に向かうなら欠かせないよ~。ところであんた、北のどこに行くんだい」

「えーと、北の森に集落があると聞いたので、そちらに」

北の森、という言葉に商人が反応した。

開きっぱなしの口がよそよそしく閉じられたので、これは逆に何も聞かないわけにはいかないな、とナイトは思った。

「僕の行き先に、何か・・・」

「北の森はやめときな。お客さんだから言うけどね、あそこは神隠しがあったんだ」

ナイトの言葉に被せるように、商人は再び口を開いたが、そこには営業トークの時の滑らかさはなかった。

「神隠し、ですか」

「しかも100人の住民が一人残らず、だ。むごい話さ」

魔女は転移魔法で人間を魔界に連れ去るが、上位の魔女でもせいぜい5人送るのが精一杯だと言われている。

しかも転移は「重い」魔法で、送るのに時間が掛かる。

100人の住民が一度にいなくなる神隠しなど、古い文献にも滅多に見られない。

「魔獣にやられたってこともありえるんじゃないですか」

「可能性はあるが、低いだろうな。あいつらの仕業なら周辺を食い散らかすから必ず痕跡が残る」

ナイトはその地獄のような光景を見たことがある。

魔獣が放つ異様な臭気と相まって、到底見過ごすような痕跡ではない。

「それに、100人を残らず襲うことは出来ないだろう。逃げ延びる人間だっているはずだが、そんな話は聞いていない。証言が得られれば、すぐに討伐隊が組まれるはずだが、ナイトが動いたという話は聞かないからな」

魔獣の噂が確認されれば、有力なナイトを招集し、討伐隊が組まれる。

魔獣は人間を餌として生きているので、食料を求めて都市に侵攻する可能性があるからだ。

危険はすぐに排除されなければならない。

が、今のところその気配はないということだ。


「なるほど、有益な情報をありがとうございました。で、道はこっちで合ってるんですかね。結構歩いたつもりなんですが、森どころか木もまばらにしか見えなくて、道間違えたかな~なんて思ってたところでして」

ナイトの言葉に商人は呆れるしかなかった。

「人の話、聞いてたのか?そっちは魔界に通じる道かも知れないんだぜ?」

脅しのつもりが、ナイトは何でもないように言った。

「ええ、それが私の探している道です」

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