9/9
intermission
したっ
したっ
したっ
雨音が、此処まで届く。
諦めてしまうのは、簡単なことだ。
望みは交錯して縺れるから。
「君の望みを、叶えてあげられなくてごめん」
親しくもないはずの人の言葉なのに、どうしてか胸が痛かった。
それから気づく。
望みなんて、何もないと思っていた。
けれど本当は、望んでいることがあって。
けれどそれは、許されない望みだった。
世界にも。
誰にも。
だから首を振った。
「心配しないで」
自分自身気づかなかった望み。
それに気づいてくれただけで、十分だ。
元々、何も望んでいなかったのだと思えばいい。
したっ
したっ
したっ
明日太陽が出ることを、保証できる人間はいない。
だから、心配する様な事は何もない。
雨音が僅かに増して、目を閉じると耳の中に酷く響いた。