赤羽台公園
「え!? 穂奈美、今なんて言ったっけ?」
「日本語、おかしくない?」
「え、だって…」
「あのね、池袋に今日行ったのは、そこに知り合いの先生がやってる産婦人科があるからなの」
「うん。それはわかったけど」
「それでね、今日、調べてもらったらね、二ヶ月だって…」
「…真面目?」
「うん」
「ジェットコースターとか、乗っちゃったじゃん!」
「うん、だねぇ…。でも、影響ないって」
「うすうす、気づいてたの?」
「だって、ほら、全然こなかったし、もしかしたらって。だからあたし嘘ついてた。子どもの名前考えてたのは妄想じゃないよ」
「男の子? 女の子?」
「まだわかんない。でもあたしたちの子」
「どうしよう」
「えぇ?」
「僕、父親?」
「だね、あたし母親」
「どうしよう」
「じゃあ、まず落ち着こうよ」
「だけどさ、だって、僕がだよ? 父親だよ? 穂奈美は驚かないの?」
「だって、心当たり、ありありじゃんか。それに興奮したら胎教に悪いよ」
「胎教かぁ…」
「ふふ、そうやって、子供の子と考えることが、父親だと思うよ」
「でもさー、やっぱ驚いちゃうよ。そりゃあ、当然いつかはって思ってたけど、まさか、ねぇ」
「本当だよね。あたしだって本当はどきどきだったけど、それじゃだめだと思ってさ」
「母親…だね」
「うん。でも大丈夫かなぁ?」
「なにが?」
「いろいろ」
「僕がなんだってしてやるよ、父親として、夫として」
「じゃあさ、手、繋いで帰ろう?」
「恥ずかしい」
「たった今、なんだってするって言ったじゃん!」
「そーだけどさ」
「自分の言動に責任持つこと! ほら、行くよっ」