1/3
Prologue
忘れない。
貴方のこと。
泣かない。
思い出してはもう…。
「理菜」
今はもう使われてない港で、海を見てたあたし。
後ろから声を掛けられた。
声の主は兄の駿壱。
「帰ろう。ここにいても仕方ない」
兄はそう言って肩を抱く。
あたしは彼が好きだった赤い薔薇の花束を海に投げ入れた。
「バイバイ。もう、来ないね」
あたしはそのまま港を後にした。
彼との思い出をここに残して……。
秋月理菜。
今年、16歳になった。
もう少しで、高校にも行けなかった。
そんな事ばかりしてきた。
親と担任があたしを助けてくれた。
あたしはこの街で有名なヤンキーだった。
あたしはそういうあたしをキライじゃなかった。
辛い思いをした。
辛い恋もした。
だけど、後悔はしてない。
あたしが惚れた彼、林良樹との出逢いはあたしが中学1年の時だった───……。