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AIが選んだ相性率100%の運命の相手は20歳差でした  作者: 藤崎まみ
第2章 仲を深めるのは人間の仕事

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5 「…今日は一段と素敵だね」

リアクション、ブクマありがとうございます!


初デートの当日、日曜日。

萌恵は朝早くに自然と目が覚め、気合を入れて準備していた。


朝シャワーを浴びて、見えるところにムダ毛はないかチェックし、忙しそうにせっせとメイクやヘアセットなどの準備をする娘に、父の幸一はソワソワし、母の香奈恵は微笑ましく見ていた。



「幸一さん、眉間にシワついてるわよ」

「…気のせいだよ」

「私たちもどこかお出かけに行きましょう?」

「うん…そうしようか」



家でソワソワしていても仕方ないと妻に誘われて支度を始める幸一。

香奈恵がこういう時の男親って落ち着かなくても仕方ないかと小さくため息をつく。自分も支度しようと廊下に出ると萌恵が玄関でゴソゴソ靴の棚を漁っていた。



「萌恵ちゃん?靴ならこの前買った厚底の高いのにするんじゃなかったの?」

「うーん、だって孝之さん高身長でしょ?横に立った時に少しでもいい感じにしたいの!厚底ってなんか子どもっぽくない?」

「やだ、それお母さんのピンヒールじゃない」



165cmの萌恵とほぼ身長も体型も変わらない香奈恵。

今萌恵が着ているグレーのロングスカートも香奈恵のものだった。



「お母さん、お願い!今日だけ貸して!」

「もう仕方ない子ね。こっちのストラップついてる方にしなさい?ヒールはちゃんとあるし、安定するから」

「…うーん、はーい」



ピンヒールが良かったと名残惜しそうに見る萌恵に、自身のパンプスを貸す香奈恵。


ポンッとチャットの通知音が鳴り響く。



「あ!孝之さん、あと5分くらいだって!」

「ほら、片付けておくから、最終チェックして行ってきなさい」

「うん!スマホと鞄とハンカチ…。ねぇお母さん、変なとこない?」

「ないない、いつもよりずっと大人っぽいわよ」



玄関の全身鏡でもう一度確認した萌恵が、行ってきますと頬を染めて玄関のドアを押し開ける。


香奈恵は、楽しんでねとヒラヒラ手を振って、笑顔で送り出した。




***




萌恵がマンションから出て、約束した来客の駐車スペースの前で、後ろのガラスに映った自分の姿を見て確認する。


モノトーンを意識して、トップスはブラックのオフショルダーで胸の位置に大きめに付いたフリルのニットが甘すぎず、母のグレーのロングスカートにイン。パッツン前髪が幼く見えたので巻いて左右に流して、髪全体はS字に巻き上げ、大人びた印象に。

借りてきたアンクルストラップのついた白いパンプスは7cmほどヒールがあってグッと大人度アップだった。

ネイルはグレージュ感のあるヌーディーカラーでパーツはなし、長さは控えめに。


黒いハンドバッグを片手に、しきりに前髪を気にして待っていると数分後にグレーの高そうな車が入ってくる。


外車のベントレーだった。


運転席を見ると孝之が、萌恵に気づいて手を挙げる。

ぱぁっと顔がニヤけて満面の笑みで手を振る萌恵。


いけない、今日のモットーは“大人びた女性”。

頬の緩みをキリッと引き締めて、心の中でやっと会えたー!と喜びを噛み締めていた。


駐車スペースに停め、エンジンを切って孝之が運転席から降りてくる。



「こんにちは、孝之さん」

「こんにちは。…今日は一段と素敵だね。どうぞ」

「…ありがとうございます」



助手席のドアを開けてくれてエスコートしてくれる孝之。初めて会った時はビシっと決まったスーツだったが、今日は白いシャツに7分袖のネイビーのカジュアルなジャケットにスラックス。

髪も前回よりふわっとセットされていて、イケメン度が上がっている。車に乗る際、少しだけ近くなった距離にドキドキと胸が弾んでいた。


高校の制服の時より()()に見えているだろうかと、高そうな車内を汚さないように気をつけながらそっと助手席に乗り込む。


車内は全体がしっとりと柔らかい皮のシートが落ち着いたブルーグレーとホワイトのツートンで、ダッシュボード一面にウッドデザインが入っていてシックでエレガントだった。

背もたれ部分にダイヤモンドカットのような刺繍が施されていて、なぜか背筋がピンと伸びてしまう。


普段遊びに行く時に父が借りるファミリーカーとは似ても似つかない高級車に萌恵は緊張する。

孝之が運転席に乗り込みドアを閉めるとバフッと気密性の高い高級車特有の重い音がする。


エンジンをかけながら、ステアリングに手をかけた左手にキラッと煌めく高級時計にも視界に入る。それより萌恵は隣に並んで座るという車内の距離感に、ポッと顔を赤らめていた。



「それじゃ、行こうか」

「はい!今日はよろしくお願いします。…ホテルのレストランでしたっけ?予約まで甘えてしまって」

「はは、いいよ。実は行ってみたかったんだ」



文京区に住む萌恵にとって、遊びに行くのはショッピングモールや駅前が多く、孝之とデートするには少し場違いな気がしていた。

特に好き嫌いも食べられないものもないことを、伝えると、孝之が行ってみたいレストランがあると予約してくれたのだった。



「萌恵さんはいつもどの辺で遊んでるのかな?」

「後楽園駅、周辺が多いですね。部活の後とか学校帰りにフラフラ遊ぶのにちょうど良くて」

「なら今日のところはあまり行ったことがないかもね。楽しんでもらえそうだ」



孝之の運転はスムーズで、スルスル大通りを抜けていく。チャットや通話で話した時と同じ優しいトーンで紡がれる萌恵を気にかけてくれる内容や、穏やかな声にウットリと耳を傾ける。


江戸川橋から目白台の急な坂を登り始める頃には萌恵はリラックスして座席に背中を預けていた。

東京ドームの白い屋根が見えなくなり、視界は木々の深い緑に包まれる。


孝之の香水の香りだろうか、爽やかなシトラスと深い森のウッディの香り。初めて会った時とは違う香りにすんっと萌恵は深呼吸をする。


見えてきたホテルの玄関をくぐって、駐車場に着くと、モタモタシートベルトを外す萌恵にさりげなく降車をエスコートしてくれた。


とても余裕のある、さり気ない心配りがとても嬉しくて、差し出された右手に左手でそっと重ねた。


…大きくて暖かい手の温度に、胸の奥が疼くのを萌恵はフワフワした気持ちで受け止めていた。





お読みいただきありがとうございます。


記憶に残る初デート、開幕!

筆が乗ったので夜も投稿します。


評価、ブクマ、リアクション励みになります

よろしくお願いします。

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