第1章:女神の暴走、あるいはバグの始まり
トラックに轢かれて異世界転生した主人公・佐藤健太。
女神様が「最強の加護全部乗せで!」と張り切った結果、彼の『真名』はステータス画面を突き破るほどの超長文になってしまった!
しかも、その名前を一言一句間違えずに詠唱しないと、チート能力は発動しないという鬼畜仕様。
「エターナル・インフィニット・クロノス・オーバーロード……(中略)……チョースケ!」
ギルドの受付嬢をドン引きさせ、戦闘中に詠唱が終わらずピンチに陥りながらも、主人公は必死に名前を叫ぶ。
しかし、その長すぎる名前には、女神様も想定外の「ある副作用」があった――。
これは、自己紹介(詠唱)が終わる前に敵が寿命で死ぬ、最強(?)の英雄譚。
※カクヨム/なろう等のWeb小説パロディを含みます。
※気楽に読めるコメディです。
「……というわけで、君には異世界で第二の人生を謳歌してもらうわ!」
目の前でキラキラと輝く美少女――自称・女神様が、満面の笑みでそう宣言した。
俺、佐藤健太は、ついさっきトラックに轢かれて死んだらしい。よくある話だ。テンプレだ。
「で、転生特典なんだけどね! 私、君のこと気に入っちゃったから、特別サービスしちゃう!」
「え、マジですか。ありがとうございます」
「どんな能力がいい?」
「そうですね……とにかく死にたくないんで、長生きできる丈夫な体が欲しいです」
俺のささやかな願いに、女神様は親指を立てた。
「オッケー! 任せて! 『無限の寿命』と『最強の防御』と『全属性魔法』と『状態異常無効』と……あ、あと『運命操作』もつけとくね!」
「ちょ、そんなに? 大丈夫ですか?」
「平気平気! でも、これ全部個別にスキル設定すると管理が面倒だから……そうだ!」
女神様はポンと手を叩き、悪戯っぽく笑った。
「全部、君の『真名』に定義として埋め込んじゃおう! 名前そのものが最強の術式になるの。素敵でしょ?」
「はあ、まあ……」
嫌な予感がした。
だが、俺が止める間もなく、女神様は高速でキーボード(なぜか空中に浮いている)を叩き始めた。
「えーと、永遠の命だから『エターナル』でしょ、無限だから『インフィニット』でしょ、あとカッコいいから『クロノス』も入れちゃえ! それから……」
カタカタカタカタッ! ッターン!
「できた! 完璧! それじゃあ行ってらっしゃーい!」
「ちょ、名前! 俺の名前なんてなっ……!?」
視界がホワイトアウトする。
意識が遠のく中、俺は最後に女神様のドヤ顔を見た気がした。
◇
気がつくと、俺は石畳の広場に立っていた。
中世ヨーロッパ風の街並み。行き交う人々は剣や杖を持っている。間違いなく異世界だ。
「とりあえず、ステータス確認だな」
俺は心の中で「ステータスオープン」と念じた。
目の前に半透明のウィンドウが現れる。
【名前】
エターナル・インフィニット・クロノス・オーバーロード、レジェンダリー・カタストロフィ・フェニックス・リバース、アビス・オーシャン・アンド・ギャラクシー・スターダスト・ウィズダム、アクア・エンド・クラウド・ハイ・ウィンド・デスティニー、サンクチュアリ・オブ・ヘヴンリー・フォートレス・イージス、カオス・ラビリンス・ヴォイド・ウォーカー・イン・ザ・ダークネス、エルドラド・パイポ・ゴッドスレイヤー・エクスカリバー・シューリンガン、ガーディアン・ドラゴン・バハムート・グーリンダイ、ファンタズム・スピリット・エレメンタル・ポンポコピー・アンド・ポンポコナ、アルティメット・ニルヴァーナ・サクセサー・ラスト・エンペラー・チョースケ
【職業】
村人A
「……バグってんじゃねーか!!」
名前欄がウィンドウを突き破り、視界の端まで埋め尽くしている。しかもスクロールしないと全部読めない。
最後の「チョースケ」ってなんだよ。急に和風だし。ドリフかよ。
そして、その下に小さく注釈があった。
※注:上記真名を一言一句間違えずに詠唱することで、全ステータスが神話級に覚醒します。噛んだら最初からやり直しです。
「ハードル高ぇよ!!」
俺の異世界生活は、前途多難なスタートを切った。




