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【コミカライズ】夫に愛されなかった公爵夫人の離婚調停  作者: りょうと かえ
2-2 残されたモノ

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76.暗号

「そろそろ本題に入るか」


 ロダンはレモネードの瓶を取り、エミリアのグラスに注ごうとした。

 すすっとエミリアはそれに甘える。


 残された『アルシャンテ諸島 月の交差する岩壁 ふたつの首』という暗号。

 ロダンの母マルテは何を意図したのだろうか。


「まずアルシャンテ諸島はここからすぐ、船で数十分のところにある群島だ。人は住んでおらず、すべて無人島になる」


 そこまでは地図帳やらでエミリアも確認していた。

 面積としてはごくごく小さい。


「人が住んでいない理由は水源がないこと、切り立った崖の不便さが原因だな……。観光客はいるかもしれないが」

「じゃあ、ロダンのお母様が足を踏み入れた可能性はあるわけね?」

「小型船があれば容易に立ち入れただろう。ふたつの首、というのもおおよそわかった」


 ロダンが胸元から折りたたまれた紙を取り出す。

 それはアルシャンテ諸島の地図だった。


 小さな島が十数個、放射状に広がっている。

 どの島が特別に大きいということはない。

 どれもが大体似たり寄ったりの面積だった。


 ロダンのしなやかな指が地図のある地点を指差す。

 ……ちょこんとふたつの小さな島がある。


「地図ではわかりにくいが、ここにあるふたつの島。ここはほぼ岩壁といっていい。ふたつの首、というのはここだろう」

「ふむふむ……」


 正直、エミリアにはその辺はわからない。

 謎解きはロダンに任せるしかないのが現状だった。


「最後の一節はそうだとして『月の交差する岩壁』というのは?」

「……わからない。あとは現地を見てみるしかないな」


 ロダンは率直に不足を認めた。

 15年前のメッセージ……どのような意図があるのか、想像もつかない。


「いずれにしろ、確認しに行くのは夜だ。月が関係するらしいからな」


 その点はエミリアも同意する。

 昼間に行っても空振りに終わる可能性が高い。


 ……にしても、ならどうして昼間に呼んだのか。

 ロダンは猪突猛進なところと慎重なところが両極端だ。


(私が東の港にちゃんと来られるか、心配だったのね)


 今日の集まりは集合場所の確認ということだ。

 それがわからないエミリアではなかった。


「私はいつでも大丈夫よ」

「助かる。では、明日の夜はどうだ?」

「問題ないわ」


 ぱぱっと段取りを済ませるエミリアとロダン。

 アルシャンテ諸島に行くのは明日の夜と決まった。


 と、そこで解散の流れになったのだが……。

 エミリアはふとロダンが合流前に口走ったことが気になった。


「出会いを求めるなら、あちらの浜がいい――ってどこから出たフレーズなの?」

「それか……」


 ロダンらしからぬ言葉だったので、ちょっと気になったのだ。


 いや、別に他意はないのだが。

 まったく、これっぽっちも。


 むしろロダンの年齢では知っていたほうが健全でさえある。


「精霊ペンギンが鉄道をふさいだ時、俺の隣にいた金髪の男を覚えているか?」

「ん? あの副官っぽい人?」


 制服の着こなし、遠目ではあるがロダンへの態度。

 彼はそれなりの立場の人間だとエミリアは推測していた。


「そう、テリーと言うんだが。彼は常に結婚を考えていて、ふたりでいるとたまにそんな情報を俺に伝えてくる」

「そ、そうなんだ……」

「俺は正直、どうでもいいんだが……必死なあいつの言葉を遮るのも悪くてな。記憶力がいいのも困りものだ。どうでもいい情報を忘れることができない」


 はぁ……というロダンの顔が面白い。


 昔の彼なら、興味のない話題は無視しただろう。

 留学時代とは全然違う苦労が今の彼にあるようだ。


「でも役に立ったとも言えるんじゃない……?」

「あれが? まぁ、あの女性陣にいい出逢(であ)いがあれば、そうだろうな……」


 俺には関係ない、という雰囲気がありありと出ている。

 異性にあまり興味がないのは相変わらずらしい。


 というところで話し合いが終わる。


 開けたレモネードの瓶はまだ中身がかなり残っていたので、エミリアが持って帰ることにした。

 炭酸は抜けるが、良しとしよう……。


 次は明日の夜だ。

 アルシャンテ諸島に何が待っているのだろうか?

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子供さんと精霊ペンギンさんに 『炭酸抜きレモネード』 優しい大人の味
夜にまた4歳児を置いていくのはちょっと心配?
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