357.ふたりだけの晩酌
それからエミリアとロダンは食べまくって、飲みまくった。
ヤバす。
でも気分が良くなって止められない。
チーズはねっとりと濃厚な旨味があり、芳醇なワインと一緒に頬張るとさらに引き立つ。
キャビアはいわずもがな……ぷちっとした食感と塩気。
海の香りとほんのりとした旨味は他にない。
薄いチーズの上なんかに乗せても、本当に素晴らしいのだ。
「結構飲んでるな」
「自宅だもの。すぐに寝られるわけだし」
「それはそうか」
ロダンも飲んでいるが、なんとなくわかる。手加減している。
なんという!
エミリアはロダンのグラスが空いた時、すすっとワインを注ぎ入れた。
どぼどぼどぼ……。
「もっと飲めるでしょ」
「それはそうだが……」
「心配なら、泊まっていけば?」
あ。
…………言っちゃった。
ロダンと居たいからの本心とアルコールで。
エミリアの言葉を聞いたロダンは、一瞬考えてから口を開いた。
「泊まっていっていいのか?」
「も、もちろんよ」
どもった。
でも、そうなら嬉しい。
今夜も明日の朝も一緒にいられるから。
「……なら、お言葉に甘えようか」
「仕事は――大丈夫よね?」
「むしろ休めと色々なところから言われている。仕事のしすぎだそうだ」
「それはそうね」
ロダンは真面目すぎるし、ワーカーホリックの気配がある。
まぁ、不真面目なのよりかはずっといいんだけれど。
「でも年末くらいは休まなくちゃ。働きすぎに慣れると、年を取ってから――辛くなるかも」
あぶない。前世の経験を語りそうになってしまった。
今の私はまだ二十代前半。
年を取った後のことを語り出すのは……。
「そうかもな。三十代後半になると、名うての騎士も途端に辛くなるらしい」
「そ、そうでしょ? ある程度は身体を労らないと」
「君は相変わらず視野が広い」
褒められた。
ロダンに褒められると、本当に嬉しい。
ワインもさらに飲んでしまう。
「いい飲みっぷりだな」
「飲む女は好き?」
「再会した時の君よりは、遥かに好ましい」
「あはは、そうね――今は心から幸せで、飲めるもの」
義実家では環境が悪すぎて、酒を飲むなんて不可能だった。
それに比べると今は最高だ。
年末で仕事も気にしなくていいんだし。
飲んでいると自然と距離も近くなってくる……いや、夜会のダンスよりは遠いのだけれど。
ただ、気の所為ではない。
ロダンもなんだか近寄ってくれている。
いつの間にかエミリアの頭はロダンのすぐそばにあり、傾けると彼の胸に当たりそうであった。
ロダンに包まれている……というのは誇張ではない。
「エミリア……」
彼の吐息が熱く感じる。
「……なぁに?」
深い意味なんてないことは、お互いに知っている。ただ、呼び合って触れるだけ。
それだけでよかった。
◆
黒髪を撫でる温かい感触。
高まり続ける熱。
彼の身体を感じる。
温かくて、安心する。
「――――」
酒精に情熱が溶けて、燃え盛る。
彼の手が荒々しくエミリアの黒髪を乱す。
「……んっ」
エミリアが手を伸ばす。
……もふ。
「あれ……?」
温かいのは、そうなのだが。
髪をさわさわされているのは、確かなんだけれど。
あまりにふわもっこで。
極上の毛布のような手触りで。
エミリアはベッドに寝て……うん?
「きゅ……」
「…………」
エミリアの顔に抱きついていたのは、ルルだった。
「うーん、お母さん……」
ちなみに胸に収まっているのはフォードだ。
ルルはフォードの肩に足を乗せて、エミリアにお腹を押し付けていた。
さっきの感触は、ルルの羽根がわさわさ動いてエミリアの髪をくしゃくしゃにせんとする試みだったのだ……!
全年齢なので、こちらでお許しください!
(もっと考えましたが没にいたしました)
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