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【コミカライズ】夫に愛されなかった公爵夫人の離婚調停  作者: りょうと かえ
4-2 ふたつの因縁

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351/363

351.年末の晩餐⑥

 小皿はエミリアも見たことがあるものばかりだった。


 メンマ、酢でパリっと焼き上げた鶏肉、きくらげの炒め物……。


「硬めだけど美味しい〜」

「きゅきゅー」


 メンマはタケノコの一種を発酵させたものだ。


(微妙に味が違う気もするけど、やっぱりメンマね)


 ウェイターから説明を受けたフォードが首を傾げる。


「そうだ、竹ってなにー?」

「すごーく早く伸びる植物よ。しかもすっごく硬いの」

「へぇー。この辺りにはないよね?」

「ウォリスやイセルナーレには生えていないわね」


 そうだ、竹はこの辺りには生えていない。だけど図鑑では見た気がする……。


「帰ったら図鑑を見てみましょうか」

「わーい!」


 フォードは知的好奇心旺盛だ。親として応えてあげなくては。


「竹は東方の不思議な植物だな。俺も少し見たことがあるが、不思議な植物だ」

「あら、ロダンも見たことがあるのね」

「うむ……東の諸国では竹が増えすぎて困っているらしい」


 エミリアは少し苦笑した。

 竹は繁殖スピードが凄く、現実世界の地球でも問題になっている。


(つくづく同じような世界なのね)


「イセルナーレは温暖だ。竹は自生していないが、持ち込まれる可能性はある」

「きゅるーん」


 ルルがフォークでメンマをごっそりつまみ、もっきゅと食べる。


「食べちゃだめなのってルルが聞いてるー」

「食べられる竹はほんのちょっとなの。大半の竹は硬すぎて食べられないわ」

「そうなんだー」

「ほう、なるほどな……」


 ロダンもさすがに東方の植物まではそこまで知らないようだ。

 少しだけ得意気になってみる……のはアルコールのせいもあるだろうか。


(この酢で焼いた鶏肉も美味しい〜)


 鶏肉は半口サイズだ。

 皮は音が鳴るほどパリっと、中は……酢の酸味が染みつつも肉自体はジューシー。淡い醤油の味が素晴らしい。


「お酒にはよく合う……!」


 紅焼肉はしっかり濃厚甘め、メンマはさっぱりしてやや硬め。

 酢の鶏肉は三品目としてふさわしい酸味がある。


 レッドルビーをパカパカ飲み進めて、もう空になってしまった。


(ちょっとペースが早い……? いえ、大丈夫なはず!)


 年末で明日も明後日も仕事はない。

 今日を逃したらいつ飲むんだーいという感じだ。


「なかなかのペースだな」

「ロダンも同じくらいじゃない」


 見るとロダンのグラスも空だった。

 

「酒に合うので、つい飲んでしまう」

「そうね。次のお酒は――」


 東方の酒があるとのことで、いい酒がないか頼んでみる。

 

 やってきたのは赤みがかった壺入りの……まさか紹興酒!?


「数日前に入荷いたしました特別なお酒でございます。紹興酒という名前で熟成されておりまして、良い飲み頃かと」


 う、うおー!

 飲むしかなーい! 飲んじゃえー!


 ということで頼む。


 東洋モチーフの歪んだ白い杯に氷が入れられる。その後、とくとくと紹興酒が注がれていった。


(イセルナーレでは普通はやらないんだけど……)


 氷に酒入れるのは邪道的な扱いを受ける。まぁ、ワインとビールが主な国でロックの飲み方は流行らないか。


 しかし紹興酒のロックなら苦味も抑制され、飲みやすくなる。

 東方の酒に慣れていない人への配慮だろう。


 ほのかなナッツの香りが漂い、琥珀色の液体が揺れる。


「うーん、いい感じね……」


 紅焼肉をフォークでつまみ、頬張る。その後に紹興酒でくいっと……。


 芳醇な香りと甘みによって引き立つ甘み。久し振りの紹興酒が旨味を持って暴れ回る。


 コクと甘み、氷のキレが中華料理の濃さをほどよく中和してくれる。


 これならもっと飲んで食べられそうだ……!


 今日はとことんまで飲んでしまおう、とエミリアは(紹興酒を飲んでから)決意するのだった。

飲んでから、さらに飲むことを!?

よくあることですよね……。


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― 新着の感想 ―
これは…最後は以前と同じ4人仲良く並んで寝てるパターンですよね!? (ロダンの腕枕付で♪)
良いなぁ、本当に美味しそうです
子連れの外食なので飲み過ぎ無いように… お土産で持ち帰って家飲みにして欲しい気持ち。 ま、酒あっての料理、料理あっての料理酒なのは、わかるけど。
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